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ー4章ー 16話 「迫る危機と少年の覚悟」

その後オスカーさん達は護衛に付けていた数人を、自警団育成の指導者としてこの街に残して帰っていった。


今回の来訪でアステルド連合国との間に確かな絆が生まれたと言える。


元々商売のやり取りで繋がれればと思って、ボルン商会が動いていただけだったのだが……世の中何がキッカケで縁が結ばれるのか分からないものだ。


そしてこの森の外でも確実に異変が起こり始めているということだ。


封印の力が弱まっているのか、或いは封印されている中、魔王がそれを打ち破ろうとしているのか。


いずれにしても世界が再び危機に陥る兆しが高まっている事はハッキリした。


オルセアは以前、封印は持って20年と言っていたが……この感じで本当に後10年も持つのだろうか?


僕が焦ったところでどうにもならないのは分かっているが、やはり聞いて、知ってしまうと、どうしても心がザワついてしまう。


何とかしなければという思いと現実が噛み合っていない感覚。

それでも着実に進行してくる危機。


この世界に転生して、初めて心の底から怖いと思った。


魔王が存在する……それは聞いているが、どこか遠い世界の話の様に思えていたからだ。


魔物が居て、魔王種と呼ばれる存在とも戦った。


だから魔王も居るんだと分かってはいるが、この平和な日常が僕の危機感を薄めているように思えた。


今日、改めて世界は存亡の危機に立たされているのだと認識した。


その事を知っているのは、僕らとオスカーさん達という、ごく限られた人だけ。


魔物が出現している事に、グランゼル王国や、ベルムランド王国の人達も気が付いているのだろうか?


下手に恐怖を煽る必要はないが、何も対策をしていないとすれば、壊滅的な打撃を喰らう事になり兼ねないのではないだろうか。


「他国の心配より、まず自分の力をつけろ」とオルセアに怒られてしまいそうだが、それでもこの世界の危機を僕らだけが知っているだけで良いのだろうか?


……あぁ、何かモヤモヤする。


僕は広場に残っている皆に、気持ちをぶつけてみた。


「ねぇ、この事をグランゼルやベルムランドの人に伝えなくて良いの?」


すると、オルセアが優しい笑顔で僕の頭をポンと叩いた。


「大丈夫、心配するな。アレンの言いたい事は分かっている」


そう言ってオルセアはリゼルさんと二人、その場を離れた。


その姿を見て少しホッとしたと同時に、この危機をまるで僕一人の問題のようにどこかで思っていたのかもしれない。


何とも独りよがりのような考えに、少し反省した。


そうだよね、みんな同じ気持ちだよね……。


少し肩を落とした僕を後ろから優しく抱きしめてくる人がいた。


「アレンは優しいねぇ。でも、今は師匠に言われた事をキチンとできるようにならないとね。修行あるのみだよ!」


耳元で聞こえるメルフェリアさんの声が、不安を消し去り勇気をくれた。


そうだ……今やらなければならないのは修行だ!


色々と考えても事態が変わる訳じゃない。

僕以上にどうしなければならないのかは、オルセアたちの方が余程分かっている。


その事は皆に任せて、僕は一日も早く無影を習得するんだ!


この日、表面で固めていた覚悟は、確固たるものへと変わったのだと心の底で感じた。




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