F11
「これでどうやって戦えばいいんだ」
俺は、魔物に囲まれながら叫ぶ。
「お金が足りなかったから、仕方ないじゃないですか!」
メラも同じく叫ぶ。
メラの言う通り。手持ちの金が足りなかったので、結局、装備を買えなかった。
というよりかは、装備が高すぎた。
そして、今の俺の装備は、メラト同じローブと、ナイフ。
「とはいえ、この装備はダメだろ。速攻で死ぬ気がする」
ローブって、防御力ほとんどないだろ。
「それに関しては大丈夫です。
このローブは、防御力が高いのです」
メラが自信満々に言う。
「でもそれって、ローブの割には強いだけだろ?」
俺は魔法が使えないので、このナイフで直接刺すしかない。
そうなると、ちょっと防御力が高いローブだと、多分役に立たない。
・・・まぁ、あるだけマシか。
「それに、一応武器もあるんだし、どうにか頑張ってください」
メラは、俺が持っている包丁を見ながら、気楽そうに言う。
この包丁は、武具屋の店長さんのものだ。
「武器がないと、危険だろう」と言って、俺にタダでくれた。
店長さんによると、「割と強い」らしい。
「というか、だいぶまずい状況だろ、これ」
「かなりまずいですね、これは:
こんな気楽に話している場合ではない。
今、俺とメラは、草原の真ん中で魔物に囲まれ、逃げ場を失っている。
ちなみに、その魔物というのは、一番初めに出てくる魔物として有名なゴブリン。
最初に出てくる魔物だから、あまり強くないことが多い。
・・・ハズなのに、
「やっぱおかしいと思うんだ」
俺とメラを囲んでいるゴブリンは、俺の3倍ぐらいデカいんですよね。
ちなみに、俺の身長は、168cm。
中2だから、平均よりちょっと高い?かもしれない。
つまり、ゴブリンの大きさは、大体5mぐらい。
・・・デカすぎる!
「ちょっとメラ、どうにかしてくれ」
メラに頼りたくはないが、そんなことを言ってられない。
「どうにかできるにはできるんですけど・・・」
なんと!
こんな少女があれほど巨体なゴブリンを、しかも十何体も倒すことができるというのか。
「リスクなんて別に気にしないから、これをどうにかしてくれ!」
俺はメラに頼み込む。
「・・・未來にも危険が及びますがいいですね?」
「ああ。もちろんだとも」
俺は、間髪入れずに返事をした。
「どうなっても知りませんよ!」
メラの手元に杖が現れる。
そして、それを握り、杖の先を空へと向ける。
「真欲装填完了。発動準備に入リます」
杖の先に金黄色の光が灯り、それが空に真っ直ぐと飛んでいく。
青に澄んでいた空が、おどろおどろしい真っ黒な雲に覆われる。
辺りは真っ暗になり、メラの杖だけが眩しいほどに光り輝いている。
そして・・・
「発動準備完了。発動します。
・・・リテグ」
メラが唱えた瞬間、周りを囲んでいたゴブリン達に巨大な雷が降りかかった。
ゴブリン達は一瞬で消し炭になり、地面は大きく抉れている。
「グロ・・・くない」
てっきり、なんかこう、血が大量に飛び散ったりするのかと思った。
でも、消し炭になったから血とかも無い。
威力高すぎだろ、あの雷。
「メラって、あんなすごい魔法使えたのか」
俺は、珍しく、メラを褒める。
「・・・何を言ってるんですか。
あれぐらいの魔法、普通ですよ?」
あれ〜?照れてるのかな〜?
と一瞬思ったが、多分これ違う。
だって、ゴブリンさえもすっごい強そうだったし。
魔法も、あれぐらいの威力が普通・・・?
なぜか納得いかない。
「それはともかく、無事に切り抜けられたので、街の戻りましょう」
「そうしよう。なんか疲れた」
俺とメラは、街に帰った。
____________
「戻ってまいりました!街!」
俺とメラは、無事に街に帰ってきた。
ちなみに、今いるのは、街の北でございます。
「『街』じゃなくて、ちゃんと名前で読んだ方がいいと思います」
メラがツッコんでくる。
「いや、俺、この街の名前知らない」
「・・・・え?」
「うん、知らない」
「・・・ユニオンの正面口に書かれてありましたよ」
メラが、哀れな人を見るような目で俺を見る。
「・・・まぁいいや。それで、この街の名前は?」
俺は、切り替えが早いのだ。
メラはため息を吐き、
「・・・この街の名前は、グラブです」
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