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ミッション ドールのダンジョン40階層を攻略せよ。

現在は35階層だが、段々と訳が分からなくなって来ている。リビングウエポンがクロスボウとガントレットでリビングメイルがベージュのバスタオルと金属の大きめなバックルが着いた革のベルトだった。


クロスボウは矢が一発しかないし、ベルトやバスタオルのどこが防具なのかと言いたい。


ただ、このダンジョンの事なので、油断させて置いてなんらかの仕掛けがあるはずだと、ビクビクしていたが特に無かったと思う。カレンが発見後直ぐに燃やしていたので確実とは言い切れないが。


そして今は40階層まで降りて来ている。ここまでのリビングメイルとリビングウエポンはあくまでも単品でしか現れて来なかった。それはボスも同じだった。


しかし、40階層の始まりの部屋を出ると壁にカラフルな箱の絵が描かれている。大きいな物から小さな物まで様々だ。


カレンは壁の絵を手で叩きながら、俺に向かって話し掛けてくる。


「アンタは運が悪いわよね、誰が良いのかしら。」


「じゃあ、カレンが選べばいいだろ?だいたいどれを選んでも一緒かも知れないだろ。」


「じゃあ、ダンジョンがイカサマしてるって言うの。」


「ああ、俺ならそうする。」


「そうね、アンタはそういう奴だったわ。」


攻略本によると、40階層の敵はボス部屋のみで、そのボスも運によって決まると書いてある。具体的には部屋に入ると3つの大きなカラフルなボックスが並んでいると記載がある。


そして1つ目の箱には剣と鎧に代表される物理攻撃のセット。2つ目はローブと杖の魔法攻撃セット。そして3つ目は外れで大量のリビングメイルとリビングウエポンとの戦闘になるらしい。


そして部屋に入った採掘者が一番最初に開けた箱と戦闘になる流れになっている。そして俺たちの会話の議題はだれが箱を開けるのかと言う事だ。


俺自身はランダムってのが怪しいと思っているが、カレンはあくまでも、どの敵が出るかは選んだ箱の次第と信じている。


そしてボス部屋の前に俺たちは立っている。


「ほら、ここに書いてあるじゃないの。」


『3つの箱に詰めしは剣と杖と驚きなり、其方は何を望む。』


カレンが読み上げていく、文言や言い回しに別の解釈をする隙が無いか考えていく。箱に別々に詰めたとは書いていないし、どれを望むでは無く何を望むとなっている。いや、それは余りにも強引な解釈だろうか。



「…!!」


誰が俺の名前を呼んでいる?ハッとして見るとカレンだった。どうやらタリリは既に扉に手を掛けているし、エイミーさんも盾を構えていた。


「ああ、すまん。考え事をしていた。」


「何?いいの?」


「ああ、良い。」


色々と考えてみたが結論は出なかった。最悪を考えて行動しよう。カレンの指示でタリリとタイミングを合わせて扉を開くがボスはきちんと箱の中だった。


他の採掘者が全滅した場合には箱から既にボスが出ている場合があると攻略本に注記が記載されていたが、


どうして隅の方に小さくしか書かれていなかったのかが分かった気がした。


箱は3つ。カラフルな模様はどれも同じだ。箱のサイズが違うなら一番小さな箱を選んでいたのにと、同じ大きさの箱を眺めて残念に思う。


「これだ。」


タリリは俺たちを振り返りもせずに真ん中の蓋を開けた。フタが取られた箱は独りでにパタパタと展開していく。


「空だぞ。当たりか!」


タリリの言う通り箱の中には何も入っていない。タリリは笑顔で振り返った。その声はとても嬉しそうだ。


それは俺たちとは対照的に。


「タリリ、退がりなさい。早く!」


誰よりも先にマリリさんがタリリを呼ぶ。その声には明確な焦りが含まれていた。


ミカンちゃんがタリリを連れ戻そうと駆け出す。マリリさんは箱とタリリの間にストーンウォールで壁を作る。


次の瞬間、床に部屋を埋め尽くす数の魔方陣が輝く。その光の強さは最初から最大高輝度だ。


ミカンちゃんはタリリの腕を掴むと、入口に向かって走りだす。タリリは走りながらも床の魔方陣に気を取られていた。


ミカンちゃんと俺たちを遮る敵は2体のリビングメイルが出現した。


「えい、えい。」


掴みかかる小手ごとプレートアーマーを右から叩く。そのリビングメイルは床で跳ねたが、まだ進路を塞いでいた。その跳ね上がりを右手で払うように叩く。


もう一体は左側から道を塞ごうと幅を寄せてくるが、タリリが身体を滑り込ませるとラウンドシールドを叩きつけた。


「アンタ、閉めて!」


ミカンちゃんとタリリが入口を潜ったと同時に、俺とカレンが扉を閉める。しかしタリリのラウンドシールドを受けたリビングメイルが閉まっていく隙間小手を差し込もうと手を伸ばす。


「フランシスカ、エアリアルスマッシュ!」


「うわぁ!」


「きゃあ!」


リビングメイルは渦巻く暴風に吹き飛ばされ、床を転がっていく。扉の側にいた俺たちは隙間を抜けずに扉で跳ね返った風の余波で床に投げ出された。


「ああ!」


「フランシスカ、閉めるです。」


俺たちの姿を見て狼狽えていたフランシスカさんをミカンちゃんが叱責しながら、自らも扉へと手を掛けた。


「カレンさん、ヘンタイさん、申し訳有りませんでした。」


「ううん、あのまま出てこられて、扉を閉められない方が危なかったわ、ありがとうフランシスカさん。」


「そんな…。」


「もうそんな小さい事は気にするな。今はあの中をどうするかだ。」


カレンとフランシスカさんの会話をぶった斬ったのはタリリだ。お前は少しは気にしろと言いたい。最も誰が何処を開けても同じだったかも知れないが。


すると、ボワンと煙の中から執事のドールが現れた。


「臆病な皆さんにピッタリなお仕置きをご用意致しました。心ゆくまでお楽しみ下さいませ。」


と言葉を残して、再び辺りを真っ白に染めると姿を消した。


「えー?!」


「こんなの聞いてないわよ。」


「ああ、本にも書いてない。」


「あらあら。」


そんな会話をしながらも皆、緊張で表情が硬い。どんなトラップが仕掛けられたのか、どこから来るのか。空気が張り詰めていく。


しばらく待っても何も起きない。ミカンちゃんが壁に収納されたドールを叩き潰しても変化は無い。


仕方なくボス部屋を少しだけ

開けて中を見た。あれだけいたモンスターがいなくなっており、箱が3つに戻っていた。


「ん、ボスは倒すまでは残るって書いてあったよな。」


「そうね、パーティが全滅した時の注意書きに有ったわ。」


「なら、これがお仕置きか?」


カレンは首を振りながら、そんな事は知らないと、ぶっきらぼうに告げてくる。そうしてしばらく箱が並ぶ光景を眺めていた。罠と知って箱を再び開けるのは流石のタリリも危険を感じているのか、部屋に入ろうとはしなかった。


「ファイア。」


左の箱が炎の柱にに包まれる。しかし箱は真っ赤になるものの、消して崩れ去る事は無い。どのくらいの時間、青白い炎が箱を焼いていたのだろうか。それでも箱は原形を留めていた。


「箱はダンジョンの壁や床と同じで壊せない物質なのかもな。」


「ファイア、ファイア、ファイア」


今度は3本の火柱が左の箱を覆う。箱が真っ赤になっているのが見える。錯覚かもしれないが、箱の隙間が大きくなった気がした。


「カレン、ストップだ。」


「何よ?」


俺はカレンの腕をポンと叩いて彼女の注意を引いた。カレンは言葉とは裏腹に炎を消してくれた。


「煙です。モクモクです。」


ミカンちゃんの指摘通りに箱の隙間から白い煙が立ち昇っている。そして赤熱したままの箱が斜めに崩れ、真ん中の箱に寄りかかる形で止まる。


「フランシスカ、エアリアルスマッシュ。」


レイピアから生み出された、風の激流は左の箱を巻き込んで、その箱をバラバラに部屋中に飛び散らかした。中に入っていた炭の塊も一緒に風に乗った。


「外箱は無事でも、中身のリビングメイルは耐える事が出来なくて炭になってたみたいだな。」


「クリアよね?」


少し残念そうなカレンはそう問いかけながら、俺、ミカンちゃん、ヨナーちゃんを引き寄せだした。

ミカンちゃんとヨナーちゃんを左右の手で手を繋いだ後に俺に頷いた。


「ミカンちゃん、ヨナーちゃん何が有ってもこの手を離さない事いいわね?アンタはミカンちゃんに手を握ってもらいなさい。」


俺たち4人は手を繋いで列を成しながら、出口を目指した。もちろんこれはいざという時のワープの準備だ。何が異常や違和感を感じたら直ぐに跳ぶ事になっている。


「なあ、聞いていいか?」


「何、気は抜かないでよ、その質問は今じゃなきゃダメな訳?」


カレンは俺に目配せをしながら、そんな身も蓋もない事を言う。確かにそうなのだが、気付いたからには言いたい。


「ああ、カレンは俺たちを出口まで連れて行った後どうするんだ、1人で歩いてもどるのか?」


「そんな訳ないでしょ、跳ぶわよ。」


「なら、俺とカレンだけで良かったんじゃ無いのか?」


「え?」


カレンの足が止まり、両手で引いているミカンちゃんと、ヨナーちゃんを見る。


そうなのだ、カレンだけでも出口に辿り着けば跳ぶ為のポイント作りとしては問題無い。だからカレンが入口に戻り全員を連れて再び、跳ぶだけで良かったのた。


多分カレンは部屋の中を3回ぐらいに分けて、順にみんなを連れて歩くつもりだったに違いない。


「ぐ…。」


どうやら、図星だったようで真っ赤になって俯いて震えている。まぁ、部屋に入る前にカレンの意図に気付けなかった俺も同罪だ。


結局4人で次回層の始まりの部屋に降り立ったあとで、4人全員で跳んで皆と合流した。


「じゃあ、帰りましょ。」


ドールのお仕置きが未だ不明なまま、本日の探索はこれまでとしてリーリオの我が家へと戻るべく1階層へと跳んだのだった。

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