078 精霊王
77話の続きです。
説明回です。
とりあえず、ウチに帰ってコトの顛末をマール達に話す。
「愛の精霊…ですか」
「愛?」
「ワタシハユキサマスキナノ!」
ミク…、その語尾に『なの』をつけるのはやめてくれ…。
しかし、どうしたものか…。精霊なんて召喚したことも育てたことも無い。精霊…か…。
「そうだ!ムスターファ!」
「先生、どうかしました?」
「ちょっと世界樹へ行ってくる!」
私はすぐに転移した。
「ムスターファ!なんとかしろ!」
「なっ、なんですかいきなり!」
いつも通り胸ぐらを掴む。
「とりあえず、落ち着いてください!」
私は渋々ソファーに腰を落とし脚を組む。
「ムスターファはハイエルフだろう?」
「もちろんそうですが…?」
「ならば、精霊について詳しいだろう!」
「ま、まぁ、他者よりかは…」
なんか口淀んでいる…。
「それなら愛の精霊とはなんだ?」
「教科書どおりなら『愛を司り周りに愛を振りまく存在』ですが…、私も詳しくは無いので…」
「ハイエルフは精霊と仲がいいのでは無かったか?」
「ハイ、仲がいい。その程度なので性格や存在について詳細を知る訳では無いのです」
…使えないヤツめ。
「しかし…なんでまた愛の精霊なんですか?」
「実は…」
話を聞いたムスターファは…。
「クッククク…」
笑いを堪えてる…!ムカつく‼︎
「なっ、なるほど…、クフッ…。いや失礼…グハァ!」
スッゴくムカついたのでとりあえず蹴っ飛ばした。
「いや失礼しました。…そうですね、それでしたらある方に聞いてみましょう!」
「ある方?」
「はい、精霊王オベロン…全ての精霊の上に立つものです」
「精霊王…世界図書館で記述は見たことはあるが…、実在するのか?」
「ええ、私も会うのは2度目ですが…」
私達は世界樹の上部に上がる。私もこの上は初めて入る。
30層は上がったのか?大きな広間へ出た。床には巨大な魔方陣…いや、召喚陣か?
ムスターファは魔力を注ぐと呪文…召喚の言葉を口にする。
「全て精霊を治めるもの、身体無き者よ!古よりの盟約においてこの場所へ現れ給へ!」
召喚陣の中央に草…いや蔦が生える。蔦が丸い形を作るとその中から1mくらいの少年?が姿を現わす。
「久しぶりの現世だなぁ。何か用かい身体が在る者の代表よ」
なんとなくわかる。おそらくコイツはこの世界が出来た時より存在している。
「ん…?珍しい存在がいるね。その魂…まだ覚せ…‼︎」
なんだ…?アオからかなりのプレッシャーが…!
「いや、失礼した。なるほど、君が持つ愛の精霊について聞きたいのかな?」
「ん…?ああ、そうだが…」
なんだこの間は…。アオのプレッシャーは今はない…。
「その子はもともと気まぐれだが、気に入ったものは離さないだろう。君というより君を取り巻く環境が気に入ったようだよ。この世界に入ったばかりだからしばらくは大した奇跡は起こせないだろうし、今は出現で力は使い果たしたらしいから当分休眠しているんじゃないかな?」
「…?」
「僕達精霊は気に入った者がいたら名前を告げる。名を呼ばれれば力を貸す。君達が精霊召喚とか呼んでいるのは精霊の名前を読んでいるだけだ。しかし、呼ばれれば力を貸さざる得ない。しかし、この世界に出現する場合何かに宿る必要がある。それが無いと精霊は元の世界、『精霊界』に戻らなければならない。いわば違う世界を渡る為にかなりのエネルギーがいる。そういうことさ」
うーむ、なんとなくわかったけど聞きたいのはそこじゃ無い!
「それで、私は精霊を育てたコトなんて無いのだが…?」
「特に何もしなくても大丈夫。君は久しぶりに精霊に愛された者ってことになる。それが『愛の精霊』てのは皮肉かねぇ。まぁ、精霊の魂は不変だから育てるとか考えなくていい。飽きたりすれば勝手に出て行くさ…。多分」
多分とか…いい加減だな!
まぁ、精霊についてはわかった。とりあえず休眠中だというコトも…。しかし…、私を取り巻く愛…とかホント勘弁してもらいたい…。
愛…気恥ずかしさ大爆発なユキ様です。




