075 博士
74話の続きです。
私はフランとアクアの科学省へ向かった。
「フランの知識をここで役立てられるといいんだが」
「ん、フラン頑張れ」
「自分に対する時は『頑張る』が正しいかな」
逆に子供向けの学校で言葉を教えるのもアリか?
そんなことを考えながら歩いていたら目的地に着いた。
「おっと、ここだ。博士、入るよ!」
「この魔石回路を組み合わせればエネルギー変換は上手く行くはずなんだ…、いやそれではエネルギー消費に人がついてはいけない。そうか、魔力変換時にロスする魔素をここに取り入れる装置をつけて…
「はーかーせー!」
…な場合を考えると従来の変換では…」
ダメだ、いっちゃってる。
博士…本名は結局教えてもらえなかったが、みんな博士と呼んでいる。50歳過ぎの魔法研究者だったのを私が科学省へ引っ張った。サクセスを見せたら食いつき自らの理論を展開して量産に向けているみたい…。
軽くポカリと博士を小突くと。
「なんじゃい!ああ、ユキ様!実はこの間の研究で…」
「ハイハイ、ちょっと待て!」
博士はキョトンとフランを見る。
「この子は科学の申し子だ!ちょっと話さないか?」
「よろしく」
「何に詳しいのじゃ?」
「ではフラン、コレを見てくれる?」
私はサクセスをスタンモードで見せる。
「ああ、スタンブレードですね。古い型の様ですが…」
「「古い?」」
「私の装備に似たようなものがあります」
そういうとフランの右腿の部分が一瞬開き手に金属の輪を持っている。
「い、いまのはなんじゃー!」
「博士、ちょっとまって!」
フランは輪から1m程のレーザーの剣と20cm程の柄を出す。
「「なっ!」」
「コレが今のモデルです」
「…ちなみにスタンモード以外にもなれる?」
「いえコレはスタンブレードなのでこの機能だけです」
(ユキ様!アレをもう少し見せて貰えれば俺っちもなれます!)
(…いや、私は今のサクセスを気に入っているんだ。今のままがいい)
(ユキ様っ!)
「なんじゃそれは!お嬢ちゃん、ちょっと見せてもらっても良いか?」
「どうぞ」
フランはシュッと刃と柄をしまい金属の輪を博士に渡す。
「うーむ、コレのエネルギーはどうなっているんじゃ?」
「光子増幅変換装置が小型なのでこの部屋の光くらいで1日稼働できます」
「なんと!ではエネルギー変換によるパワーロスと大気分散効率における…」
私もわかるけどあまり専門的なコトは興味が無いので軽く聞き流す…。だって3時間も喋ってやんの、コイツら…。
「博士、別に今日だけというコトはないのでまた来るからそろそろいいか?」
「…そうですな。このままじゃわしの頭がパンクしてしまう。次までに整理しておくから必ず来るのだぞ!」
「わかったわかった」
このままではいつ帰れるかわからないのでココで打ち切りとした。
しかし…、やはりフランの科学知識はかなりのものだ。今日は疲れたけど次は保冷庫研究にも顔を出したい。
博士、場所が違えばセクハラになるので、顔を近づけないでください。




