071 分裂
70話の続きです。
私はその後、周辺国を回って、カッツネラ教国の現状を伝える。流通の禁止及び入国の禁止。
その為に強力な大結界を張ることを。
しばらく不便だがとりあえず1週間様子を見る。
「ユキ様、ちょっとやり過ぎなのでは?」
「ムスターファ、そのセリフ、負傷したミッドの兵士の前で言えるのか?」
「!それは…」
加害者がいれば被害者もいる。 こういう事は被害者を重視する方がいい。
所詮カッツネラ教国に自給自足は無理なのだ。そろそろ小麦や米と言った農作物が不足になる頃だろう。私の予測が正しければ、あの国の場合神への供物とか言って取り立てそうだ。結果内乱が起こるだろう。結界内の中を覗く事はできなくしている。周辺国の同情を引かせない為だ。また、周辺国にも信者がいるので余計な騒ぎを回避する為である。
さて、そろそろ頃合いか?
私は結界を緩めカッツネラ教国へ転移する。と、予想の斜め上を行っていた。
「教皇の持っている小麦を奪いとれ!コレは聖戦だ!」
「聖女が奪った米を取り返すのだ!奴は破門している!」
教皇と聖女がそれぞれ信者を煽って物資を奪い合っていた。
なんていうか…。
私はまた『拡声』で教国中に声を響かせる。
「私は天魔の魔女である。コレが君たちの…国の代表の教皇の選択だった!このまま滅ぶつもりか?」
「コレは私達の望んだことじゃない!どうか助けてくれ!」
「そうだ、聖女の真カーツ教は教皇とは違う!」
「なにを!この背信者め」
…なんかめんどくさいことになったね、コレは。
「君達の信仰は自由だが他国に迷惑をかけている以上この措置は止む終えん!」
「ならば私達は国を捨てる!我が信仰はこの国でなくてもできる!」
「フン、聖女側は勝手に出て行くがいい!」
「よろしい、聖女について行くものは南側に、教皇に着くものは北側に集合せよ!1時間待つ!」
私は両陣営から司祭を選び、放置されている金を分配する。1週間でこの国の金の価値は無くなっていたのできっちり1/2のできた。ただしミッドへの賠償金は先に確保しておいた。
私は簡易的な『門』を作り聖女について行く者を旧アルテ王国に移動させて『門』を閉じる。
「ココはかつてのアルテ王国の白鷺城だ。後は勝手にするがいい。ただし、他国もこの土地を狙っているし、食料も買わないと無いから」
「天魔の魔女が何を企んでいるの?」
「別に。後は君たちの信仰を勝手にやっているがいい。ただし、他国へ迷惑をかければ次こそ滅ぶと知れ!」
まあ、聖女なら勝手に生きながらえるだろう。
私はカッツネラ教国へ戻り結界を解く。
「結界は解いた。後は好きにするがいい!」
教皇達は我先に他国へ向かい食料を確保するようだ。多分価格は跳ね上がるだろうが…。
一度世界に敵対しているのだ。他国からもよく思われないだろう。それでも他国の信者同士で食べ物ぐらい確保はできるだろう。
まぁどちらも求心力は落ちたろうし、後は勝手にするがいい。
こうしてカッツネラ教国は瓦解したのであった。
細かいコトはムスターファに丸投げはいつものことである。
カッツネラ教国がその後さらに3分割するがそれは別のお話。




