013 報告会
ユキ様ブラックの巻
世界崩壊の当面の危機は去った。
とはいえ、崩壊を簡単に起こせる存在が私の手の内にいるままである。
この世界は3日前より危うい均衡で保たれるようになってしまった。
「ハイ、ミクちゃん、あーん!」
「アーンッ」
マールとミクは2人で1つのモンブランケーキを食べている。といっても、ミクはサイズが小さくちょっとの量で満足している。
アオから聞いたところこの世界では超存在となるミクは食事の必要は無い。が、私の記憶を同期したせいか食べる欲求ができたそうだ。
…もともと意識レベルではこの世界ではトップであるミクは今後落ちるしかない。『水は低きに流れ、人の心もまた、低きに流れる』というヤツである。
決して『私が食いしん坊で、それが影響した』訳では無いっ!
っと、そろそろ出かけるか。
嫌なことはサッサと済まそう。
「マール、それとミク、今日は出掛けるぞ。早く食べてしまいなさい」
「「ハーイ」」
さて、中央の世界樹である。
既にハイエルフやエルフの長老、ドワーフ王国の大王、人族ではカッツネラ教国から聖女、東の大陸のクルーゼ帝国の帝王等が円卓を囲んでいる。
『転移』を使える魔術師がいる国の代表達である。
…新魔王は流石に来てはないか…。
うーん、視線が痛い…。皆私に注目している。
よし、とっとと終わらせて帰ろう。
私は入り口近くの空いている席に座り口を開く。
「さて、先日の緊急通報の件だが…、火焔山の炎が消えた」
「確か火焔山には『封印の地』があるのだったか?」
「…世界各地に『封印の地』があるなど天魔殿が言っているだけであろう?自作自演か?」
「我が国としては主神以外の神など認められない!」
案の定、各国言いたい放題である。
まあ、想定の範囲内であるが…、ムカつく。
「ミク」
「ハイナノデス」
打ち合わせ通りミクが『神威』を放つ。
円卓は私とマール以外声も出せないでいる。
フン、ざまあみろ…、ゲフン、ゲフン。
「コレが今回の状況だ。出現の際に火焔山の『次元の狭間』は消失した。元の世界へ帰還を急ぐと世界は簡単に滅ぶ。現状私の管理下にある。私達に何かあっても世界は滅ぶだろう」
さて、このまま言いたいことだけ言って帰るか…。
「信じようと信じまいと、この『神威』は見ての通りだ。この世界の力では、コレに対抗する手段は無いだろう。何か言いたいコトはあるかね?…、特に質問も無いようなのでこれにて失礼」
私達は『転移』で帰還した。
とりあえず我が家へ帰還して一息つく…。
さて、今日の夕飯はなんだろう?
この後、ハイエルフには連絡を入れておいた。
「ユキ様、アレはヒドイです」
「悪かったよ、ムスターファ。ちょっとキレただけだって」
「人族はともかく…、まぁ、それはおいといて…当面の不安は無いと?」
「うみゅ、とりあえずすぐに出る結果では無い…かな?」
「しばらくは様子見ですか…」
「まぁ、接触した私を含め、そうなるかな?」
「幸い時間はあることだし…、また何かありましたらご連絡ください」
ムスターファとの遠話を切りふと思う。
こういうことを見込んでエルフを通じ世界樹の苗木を私に寄越したんだろうな…。
食えないヤツである。
誤字脱字があればご指摘ください。




