012 火焔山
いつもより長文です。
「RRRR…」
ウルサイっ!何時だと思って…、
ってこの音はっ!
「先生っ!この音は一体?」
マールが可愛いピンクのネグリジェでやって来る。
「…なんかスっごくやな予感がするが…」
とりあえず『遠話』のクリスタルを会話状態にする。
「ユキ様っ!大変です!火焔山がっ!」
「わかった、ちょっと待て!」
チョット深呼吸…絶対ヤバいやつだこれ!なんか変な汗が…。
「で?火焔山がどうした?」
「火焔山の炎が…、消えてしまいましたっ!」
「なっ!」
ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい!
火焔山は言わずもがな『封印の地』!
一般に知られているのは尽きることのないガスが絶えず燃えているコトになっているが、実際はこの大陸ができる以前から『次元の狭間』より溢れる炎が山全体を覆っているのだ。コレが消えた…?
…可能性が高いのは『向こう』側で何か起きた…、若しくは何かがこちらに干渉している…。『神』か『悪魔』か…?
「先生…?」
マールが心配そうに私を伺っている。
そうだ、取り乱しても始まらない…。
「よしっ、そちらは現状維持っ!いやっ、今の位置より5km後退し監視を続行せよ!私もすぐ行くっ!」
通話を解除してマールと家妖精であるブラウニーに指示を出す。
「すぐに火焔山に向かうっ!装備は通常で構わん。どうせこの世界の武器など役にたたないだろう!」
「わかりました!」
「ブラウニー達は世界樹ネットワークを使いハイエルフへ伝達っ、現状シュチュエーションは『レッド』!」
「「「っ!イエスマムっ!」」」
状況は現在進行形で世界崩壊の危機である。
私は書庫へ向かい青い水晶を取り出す。
私にできるコトは『対話』して穏便に帰還してもらうしかないのだ…!
私は2度目の高位存在との対話へ向かうのであった。
火焔山…。普段なら絶えず煌々と炎が舞い上がる山だが、今は普通の禿山である。
まぁ、何千、何万年ぶりに炎が消えたのだ…。未だに熱気はおさまっていない。
といっても、現在深夜なので星空に黒いシルエットしか伺えない。
「ユキ様っ!」
影のリーダーであるジットがこちらへ走ってくる。
「うむ、現状は?」
「炎が消えて30分弱です」
「その間何か光や音などは無かったか?」
「我らが確認している範囲では…、これより火焔山周辺に展開して辺りを調査致します」
「何か変化があり次第すぐに私へ繋げっ!私は空から調査する!」
私は『飛空』を使い山頂へ向かう。今までそこにたどり着いたものはないだろう。が、以前感じた『存在感』があった。
炎の中にあった割にマグマ溜まりがある訳でなく、通常の山頂なのだが…。
「先生!あそこにっ」
月明かりのおかげで山頂の視界は良い。しかしその部分には黒い何かがあった。球状の何かである。
私達はその黒いモノの手前に降り立ち青い水晶を地面に叩きつける。
「なっ!」
「大丈夫!仮にも『神の使徒』なんだから割れたりしない…」
コレで傷ついたら大爆笑なのだが…。
水晶の中の炎が黒から白へ変化する。
「久しぶりだなっ、『アオ』!」
「うーん、よく寝た…。うん?ユキちゃんおっ久ー」
相変わらずカルいヤツである。
「アオ、久しぶりでいきなりなんだが、また通訳してもらうぞ」
「?…、また神様のご降臨?そんな予定は…、、、うん?ユキちゃん、この子は違うよ?」
「違う?何が?」
「∠ΣΣ≡∂?@⊇…」
「⊿↓∬®︎‰∃∬∩…」
なんかよくわからない音?の様な会話が始まった…。
「ふー、この子はね、私よりも次元の低い世界の迷い子みたい。といってもこの世界よりは上位の世界みたいだけど…」
「迷い子…?」
「今回の次元シフトが一方通行みたいで帰還の方法がわからないみたい」
「…?」
つまり今まであった次元の狭間が消失したってことか?
「強引な次元シフトをするとこの地点にブラックホールを作っちゃうかも?」
「待て待て待て待てっ!」
規模にもよるが次元シフトの残滓などこの惑星は簡単に飲み込まれること請け合いである!
「ココから離れて帰還はできないのか?」
「この次元では不安定だから今すぐにはムリみたい」
「じゃあどうしたら?」
「とりあえず、この次元に形を作って存在させる?かなぁ」
つまり形…身体を作ってこの次元で存在できるようにして帰還方法を考えるということか?
…できればすぐに帰ってもらいたいがこのままだと最悪滅ぶ…。
「…で?形を形成するにはどうしたらいい?」
「うーん、多分この世界の存在と意識を同期するのが安全かなぁ。つまりユキちゃんかその子の記憶と知識をコピーさせるってこと」
うみゅ、私は既に経験済みだけど…この際マールにさせて第2の私を作って…、って流石に酷か?
「わかった、私がやろう」
マールは明らかにホッとしている。
「そうしたら、ユキちゃんはこの子に新たな形…つまり名前と姿を想像しながらこの子に触ってあげて?」
…名前と姿か、うーん…よし!
私は黒い球体に触れる…。
「!!!!!!っ」
意識が、私の知らない、経験したことの無いコトが、聴こえて、視えて、溢れて、、、
ー、ー、ー、私はユキ!ユキだっ!天魔と呼ばれているユキだっ!!
「ハアっ、ハアっ、…私はどのくらい気絶していた?」
「…?いえ、2秒も経過して無いですよ?」
マールが答える。そうか、とりあえず自我崩壊はしていないようだ…。
私の前には小さな妖精、花妖精の姿をしたミクがいた。
「よろしく、ミク?」
「ユキサン、マールサン、ヨロシクデス」
成功のようである。
「とりあえず、帰還の方法は後から考えるとしてこの子の、ミクの定着は成功じゃないかしら」
「ふむ、しばらくは我が家の同居人として暮らすしかないか…」
「ミクさん、よろしくです!」
「ハイ!」
高位存在が同居人とか、私ますます無敵ぢゃね?
ミクさんは位的には『如来』とか『菩薩』的な神より下な超存在です。




