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第4層「港町への旅」

 竜爺の下から去った俺は、通信を通じていの一番にまずは主要メンバーに収拾をかけて伝えた。


 "そうだ、東大陸にいこう"


 と。


 結果は――


「......父さん。父さんの言い出すことは今まで結構な唐突ぶりだったけどさ、今回の無茶――旅に出て"東大陸"の新天地で迷宮を開くって言うのは......さすがの僕でも予想外だよ」


「え、そうか?」


 散々俺は次の迷宮はどこにしようと言っていたはずだけど。


「......それは、おそらく同じ中央大陸のどこかだと思ってのことだよ。父さんのこういう突発的な思考についてはまるで勘が働かない自分の力が憎らしく思うよ」


 俺はその言葉になんか申し訳なくなって謝ろうとしたが、レティの言葉で場が静寂に包まれる。


「いいんじゃないかなって思うの。パパはもうここでやることってあんまりないし、正直――へその下に口をつけての魔力抑止方法だけの性行為もレティは見てて飽きちゃったからね!」


「性行為じゃなくて治療だ!」


 それに見てたってお前をそんな子供に育てた覚えはないぞ!


「......パパに育てられた覚えすらないよ?......遊んでもらったりしただけで教育とかもどっちかっていうとレティのほうがパパに"sekkyo"しているわけだしね。主に飲みすぎ暴走とか!」


「............はい」


 説教のニュアンスがなんか違っていることに思わないこともないが、返す言葉もないとはこの事だった。


 俺はこれでも頑張っているんだぞと思うが、結局のところはレティの言うことが全面的に合っているし、色々負い目もあるので何も言うことはできなかった。


「早く、アラーネさんの魔力暴走を癒してもらえるように頑張ってね!」


 その一言により、決議は採択されることとなった。




 やるべきことが起こると何よりも加速してしまう俺によって、リリィへの聞き取りから、今後やるべき準備やらその間のアラーネのいつもの治療と気がつくとすっかり月が替わった10月――山羊月となったある日、俺達はいつもの格好から旅装束ともいうべき衣装を着て出発のための見送りを受けていた。


 ま、砦よりもだいたい手前辺りであればゲートの設置によっていつでも迷宮"チュートリアル"には戻ってこれるんだけどな。


 これも前回の砦までの旅によって分かった範囲から言えることだった。

 土竜頭族の旅路では、途中に集落という迷宮があったりもしたのでいつでも可能だったみたいだが、さすがに砦までの距離で中継地点となるらしき場所がない場合は、それも無効だと分かったことである。


 よって、今回はその中継地点を作るために5m四方の囲いを港町と思われるところに着くまで設置していくつもりだ。


 無論、不可視効果ルール適用は当然だ。


 まぁ、こうした中継地点を置くのはもちろんそれだけではなく長旅になると思うので、急を要すること用にという対策のためなのは言うまでもない。

 海上はまた別のことを考えているのだけど。


「お、お父さん......本当にそんな格好で~?」


「お兄ちゃん......あ、あたし......」


「うん!ジャックスおじさんは......さすが、だね!」


「どういう意味だ、お嬢!!」


 子供達、そしてフェニャにも正気かとでも言えそうなその格好とは闘賊と同一の格好である。ご丁寧にも、俺が自作した魔道具『イカレのタトゥー』もちゃんとつけている。ま、そのタトゥの影響によってイカレたように見えているだけなんだけどな。


【アイテム情報】

 ----------------------------------------------------------------------

 アイテム名 :イカレのタトゥ


 効果    :このタトゥを張ると、見た目がすごいイカレた奴に見えて人を       遠ざけてしまう効果がある。


 アイテム説明:イカレは人の上に作らず、また人と同列であってはならないか       らイカレと言われるものであり、このタトゥはその胎動するあ       る種の奇跡である。

 ----------------------------------------------------------------------


 迷宮内でアイテム情報が表示されるとすればこんな感じだが、もちろんこんな格好をするのには理由がある。


 それは、1人だけ残しておいた人形族たちを捕らえて聞いた話から、どうやらあちらでは闘賊とか傭兵のような分かれた衣装が一般的らしいことを聞いた。

 またそういうイカレた格好のほうが絡まれることもないような穏やかな気性の者の方が多いとも。


 俺はその言葉を鵜呑みにはせずに、参考ということにしておいたのだが考えてみればイカレた格好の集団に絡むなんていう者たちのほうが少ないだろうと今後のことを考えた結果に思いつき、現状の格好となっている。


 羽織もわざわざ、白黒のグラデーションから派手めな色へと変更したし中に着るジャージも明るい色にした。一目見ればその格好は相当変であると言えるだろう。



「それじゃ早速行って来るぞ。と、いっても......ゲート経由でいつでも戻ってこれるようにしてあるけどな」


「でも、本当にリリィちゃん連れて行くの? パパ」


 今回の旅の同行者は、俺といつもの3人とアラーネ、それからリリィがついてくることになっている。結局どこにいるのか分からないアラーネの治療を頼む存在に心当たりがあるというリリィの言葉を信頼した上での判断だ。


 一応、彼女は旅の間にサラリーとモジョたちが用意した勉強用のテキストという役割を与えられているようで、彼女は言ってみれば俺が任せる学校の校長職をという事だが自分も学びたいという向上心もあってそのようにしている。


 なので、戻った際は答え合わせができると本人も楽しみなようだ。


「ま、そうじゃなきゃ連れて行かないし、迷宮"馬車"内は外よりも安全だと思うぞ。それに俺も強化しているしな!」


 そうしてポーチに収まっているまだ2つほどしかできていない改良された魔色紙をポンと叩いた。砦での出来事は当然、結果として反省をしなければいけないしあの時の魔剣を越えるような武器もいつか作り上げなければいけない。


 今のところ、オーリエとジャックスにはそれらの改良された武器、防具を渡しているので、急を要する出来事にも対応できるだろう。


「それじゃあ、迷宮"チュートリアル"は頼んだぞ」


 見送る者たちにそう告げると俺たちは、迷宮"馬車"の御者台に座り馬達を走らせると、目標となる西の大陸の玄関口となるらしい港町へと向かうのだった。


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