第22層「迷宮称号とアラーネの異変」
8000文字を超えてしまいました。
分けるか悩んだのですが、一気に投稿することに。
ガラケーの方ホント、すいません。
とても照れくさいイベントを経験してしまった後、俺はサラリーたちD.Cの事務方を伴ってパパの部屋へと戻ってきた。
そこで迷宮で起こったことの概要などを聞いた。
「親子だったのか、ラーレンとアルムは......それでか。なるほど......ね」
俺は、以前ファナから聞いた旅の最中での父親の突然死、砦に向かう途中に聞いた『傭兵長の暗殺』というキーワードでアルムに殺されたのかと判断した。
その上で、病弱になったというアルムのために捕まって見目麗しい部類のファナがそういった目的の奴隷ではなく、農奴となった経緯からなぜかたまたま通りかかったソウリョに買い取られる形で迷宮へとやってきたという経緯。
そして迷宮に来てからの行動とその後にやってきたあの踏破者たちの仲間らしいローブ男と、アルムの俺達が忌避していたことで監視対象から外されていた性交渉用の部屋での密会。
話を総合して点を線でつなぎ合わせるかのように、まとめると今回のラーレンによる物語《道筋》とやらはなるほどなという思いだった。
それにこれらの計画は、主に俺の庇護欲を利用したラーレンが母親を利用し、フェニャに割符を持たせた上できっかけを作り、俺を砦へと招き寄せた上で迷宮の制圧、それから傭兵長の娘にして彼女の年齢らしくない強さに脅威を抱いたがゆえの殺害計画すらも含まれていたことに俺は、さすがは東南司令という役職についた男だなと関心すらできた。
しかも、ジャックスがここに来てからバーレンの件、あの蛾みたいな商人との出来事まで含めての情報収集から整理と道筋とかいう分析能力とそこからの計画立案力にあれが帝国の――それも、東南司令を任されるほどの器なのかとしてため息が出た。
――正直舐めすぎていたなと思う。
あのアホとしか言えない使者ってのも、そうなると怪しい。
帝国ってのはああいう使者しかいない低脳な国だとこちらを油断させて、俺が留守にしやすい環境を作った......みたいな。
考えすぎか。
ま、結局奴は触れてはならないものに触れた上で死んだ。
奴は死んで正解だ。
悪は消滅だ、なんて高尚な思いからくるものではなく生きていたら、俺がする必要もないガキっぽい八つ当たりをしそうだからだ。
あの激しい怒りに目覚めてからどうも俺はそんな焦燥に駆られてしまう。
堪えが効かないと言うか......これは一体なんなんだろうと今でも考えている。
俺はレティに聞いてみる。
「お前、いつそういう違和感みたいなのに気付いたんだ?」
その問いにレティは、モニターを指差してニコっと笑いながら伝えてきた。
「......パパが、ジンジャエールを振舞って去っていった後、2人のやり取り後に喜色に富んだファナちゃんが監視眼に映ったんだけどね、その横でたまたま映りこんでたアルムの"おじさん"が子供らしくない顔で笑ってたから、おかしいな~って」
「そ、そんなところからか......」
うちの娘長を自称するレティもあのラーレンに負けず劣らずの洞察力を持っているらしい。
「まぁ、奴隷の人たちにちょっと痛い目に合ってもらっちゃったのは、申し訳ないけどね! でもこれで、安全そうなラウンジ内においてもいつ危険が及ぶのかっていういい訓練にはなったでしょ?」
「く、訓練?」
俺はまさかと思ってレティを強めに見つめる。
そんな俺の視線に意地悪そうな顔をして当人はあっけらかんと伝えてきた。
「そうだよ!パパの生まれた世界でもあった避難訓練とか、災害訓練とか、そういうのを1度やってみたかったから丁度良かったの!」
それでしばらくは手を出さずにいたということだった。
「あとは~......パパのポリシーであるところの罠を張って待ち構えてたってところもあるよ!......迷宮内で死ぬような攻撃受けても、パパのルールやレティの力でいくらでもカバーできるからね!今のところ、MVPはファナで決まりかな」
パチンという可愛くウインクするレティに俺は、やれやれと思った。
ラーレンもラーレンだが、うちの娘も娘ってことか。
レティさえも気付かなかった監視の不備を洗い出す意味で、こいつはわざと泳がしていた一方で、罠を張って待ち構えていたという俺のポリシーも守ったことになる。なんていうか、便りになる娘だと思った。
「......そういえば、フェニャはなんで怯えていたんだ?」
俺の問いにレティが答える。
「昔、あの子の母親と一緒にファナのパパの施設『孤児院』に行商に来たことがあるんだけど――」
その時にたまたま商売中の母と分かれて一人遊びをしていたフェニャが見かけたのが、自分よりもずっと子供のはずであるアルムだったそうだ。
そして、その後に見たアルムの残酷なところをたまたま見てしまったが故のことだったらしい。
それは、フェニャも経験した亜人迫害における残酷な笑みと同様の――その年では決して浮かべるはずがないアルムが残虐性を表情に写し取ったかのような笑みで、孤児院で飼われていた小動物をネチネチと痛めつけながら惨殺シーンだということだった。
あっちの世界でもあったらしい動物虐殺。
親友のオタクから聞いた話じゃ、某動画サイトに猫を溺死させるまでの動画、ハムスターを虐待する過程を動画に撮ってそれを投稿とかするひどい奴がいたそうだ。
あいつはその話をしながらものすごく憤慨していた。
その結果、あいつのそういう知識によって動画を挙げた奴は本人写真、名前、住所、メールアドレスなどをネットに『晒す』前に、動物団体、本人の親の会社、学校への抗議とありとあらゆる社会的な制裁を受ける場を作った後の『晒し』という、かなりエグイ方法をとったそうだ。
動物――特に獣耳が大好きな奴だったからこそのものだろうと言えることだが、人殺しの俺ですら、あいつの怒りほど買いたくないものはないと思った一幕だったのを思い出した。
ま、あいつとの付き合いで俺もその動物好きという要素を持つことにより、アベさんという相棒を得るきっかけにまた今回のようなことが起こったとも言えそうだ。
そんな俺の庇護者どストライクと、妹に似た雰囲気を持つ狐耳のフェニャはその強烈な記憶が頭に残っていたことで、所謂『モンタージュ』をしたことで、内乱陽動役がアルムだと分かったそうだ。
「だいたい、わかった」
そうして俺は締めた。
何はともあれ、結果的に襲撃を受けたが、こちらの犠牲者は存在せずということで、あちらは全滅に近い状態になったということだ。迷宮の森の中にもいたようだが外で作業していた竜爺の支援を受けた奴隷達が自力で倒していったらしい。
「さすがだな。俺の作った"賢者の石"を吐き出す――合わせ技『賢者の石息吹』作戦がうまくいったようでよかったよ」
そう――俺が用意したのは、何もプラカードだけではない。
もう1つ、もしものためにと用意しておいたのが大量の賢者の石である。
あれを少し改良して、当たった瞬間に思わず"ふぅ~"となってしまう効果をつけた魔石である。それを竜爺に口に含んでもらい、本人は決して戦いに参加することはなく奴隷達の自主性と自己防衛を高める意味でもお願いしておいたことが役に立ったようでよかった。
「竜爺には後で、大量の酒でも差し入れることにするよ」
そんな感じでこちらに起こったことや今回の出来事について纏めた後に、俺はあることを告げることにした。
「......容認――本当の意味で、監視付となるけどそういうのも許していくべきだろうな」
そんなことを考えながらも、やはり俺にとってはあのことが思い出されるだけに苦い思いとなる。
「レティもそう思うよ。......忌避、しすぎだったかもしれないね!」
「......そうだな」
そうして今後の運営内容の見直しなども含まれた話は続くことになった。
夜まで続けた話し合いは、ある程度決まったことで俺は部屋を出て今回こちら側で活躍をしてくれた少女の下へと向かった。
居住区の診療室となる場所へと赴く途中、ある連中が俺の前に立ち塞がった。
それは、初の踏破者にしてローブの男に操られる形で迷宮攻略をしていた者たちだ。
「迷宮主......」
「......何の用だ?」
気に入ってはいるが、1侵入者と馴れ合うつもりがない俺はそんな冷たい態度で踏破者たちへ問いかけた。
しかし彼らはそれを気にすることなく、俺に跪くようにして頭を下げた。
「......」
俺は、顔には出さないようにしたが内心では驚いていた。
なんで彼らがそんな態度なのかを。
「......あんた――いや、あんたの娘には借りが出来たが......帝国っていう呪縛を解いてもらった恩がある。娘が見当たらないから困り果てていた時に、あんたを見つけたから......代わりと言っては何だけど礼をと思って、な」
そう言うと旅装束に身を包んだ彼らは各々が俺へと感謝の言葉を投げかけた。
狩る者と狩られる者、俺の中でその考えは変わらずにいた。
しかし――奴らにとって、そんなことは関係ないとばかりに感謝するその行動に俺はどうすればいいのか分からなくただ立ち尽くすのみだった。
反応がないからだろうか、踏破者の男はため息をつくと話を続ける。
「あんたの俺達とのスタンスはなんとなく理解しているよ」
娘――おそらくレティのことを言っているんだろうけど、どういうことだ?
「俺達はこれから、一旦自分達の町に戻る。そして家族をエウレシアへ移すことにした。あんなことを平然とする帝国に残すにはリスクが高すぎるから」
そうして眼差しを強くして俺を見つめると、言い放つ。
「その上で戻ってきて......それから......改めて挑戦させてもらう」
「......」
「......今度は、仕方なくなんかじゃない。家族を養うため、自らを鍛えるため......あんたの作った迷宮挑戦のため......それから何よりも――」
踏破者たちは言葉を切ると、武器を各々掲げては俺へとそれを向ける。
「......あんたらへの恩返しのために、な!」
そうしていいたいことだけを言い放ち、俺とすれ違う形で去る踏破者たちに俺は何も言うことが出来なかった。
恩返し――その意味が分からなかったからだ。
だが、先ほどの光景を思い出したことで気付いたことがある。
俺へ向けて、各々武器を構えた時のその武器だ。
大男は、オーリエのために作った物より少し質が低いガンツ=オーガがドロップする重力制御属性の大剣『グラビティック=グレートソード』
小男は、俺が初めて作った火炎の効果を付与した包丁である『火炎包丁』。
紅一点となる女は、俺が悩んで作った水精石から各々の属性で作り、宝箱に設置した精霊石を嵌めた彼女が持っていたらしき見慣れぬ小剣。
少し太めの男は、俺がオーリエに作ったものよりも小さいが、男にとっては大盾とも言えるオーリエ用に作られた盾。
そして――
中央で、俺に話しかけたリーダー格の踏破者の男が持つ『Doの剣』。
その全てが、俺が迷宮創造の折から試行錯誤して作っていった時系列に沿ったかのような魔具だ。
「......なるほどな」
俺の呟きが聞こえたのか、踏破者の先頭を歩く男が振り返って爽やかに笑う。
「......待て」
俺はその笑顔になんだかイラっとしたので、思わず呼び止めた。
立ち止まる奴らに、俺は言い放った。
「階層を頑張って重ねてみろ。......その掲げた武器や防具以上の品質は約束するし、命をかけるだけの価値を今後も提供する」
そんな言葉に返す言葉はなく、踏破者たちは手を振るのみでやがて迷宮を去っていった。
それを見送る形でしばらく去っていった方を見つめていたが、なんだか照れくさくなった俺はファナの下へと歩いていった。
よくわからずに顔が歪んで仕方ないのを必死に治しながら。
「よ、体調は平気か?」
俺は、居住区――ファナが暮らす一室へやってきた。
扉に手を当てて着替えとかそういうのをチェックした上で開いた中には、ベッドで膝小僧を抱えて何やら落ち込んでいるファナの姿があった。
「タ、タクト様」
ファナは俺の呼びかけに、急いでベッドから降りると俺の前に跪く。
そして――
「お......弟のこと、それから......こんな私の命を救ってもらい......感謝の念も――」
「いいさ。頭を上げろ」
俺はそういうと、ベッドに腰かける。
部屋を見渡すとそこはあのラーレンの部屋とは違って、広さも外見も本当にみすぼらしい装いの部屋だ。しかし、こまめに清掃をしているせいかチリ1つ落ちていないこの部屋は俺にとっては馴染み深いとも言える雰囲気を醸し出す部屋だった。
「......お前の父親のことは聞いたし、なんていうか不憫だとは思う。だからこそ、俺がそんなお前に安易に語りかける言葉なんてのはないけど......」
そして立ち上がって、地べたに座ったままのファナへと近づいて頭に手をやると俺が伝えるべきことだけを伝えた。
「よく、迷宮を守ってくれたな。迷宮主として......あいつらの親として、とても感謝をしているよ、今後も励んでくれ!俺(が作った迷宮)のために」
キュピーンという何かの音がしたが、俺は気付くことなくそのまま撫でた。
そして立ち上がると照れくさくなったこともあり、部屋を出ることにする。
それは嫌な予感というか、なんかゾッとした感覚が襲ったからだった。
* * * * *
タクトの出て行った部屋は静寂に包まれた。
そんな中で、1人その部屋で胸元に手を当てて震える少女がいた。
それはなぜなのか少女は理解していた。
「......タクト様。うふふ、タクト様に頭を撫でられたわ。うふふふふ」
ファナは思った。
自分に足りないのは、背と胸――具体的にはスタイルだ。
オーリエ様というもっとも分かりやすいスタイルの護衛を連れたタクト様は当然そういうのが好みだと思ったけど......あんな笑顔で頭を撫でられたからには脈アリだとファナは判断し、決心した。
今後もタクトのために、そして迷宮のために自分の心も身を捧げて尽くそうと。
「お父!見てて!ファナは......迷宮で最強の戦士になってタクト様を助けるわ!」
拳を振り上げて宣言する少女ファナの姿は、何よりも輝いているかのようだった。目に映る確固たる意思は今後の彼女に深く影響を与えることとなる。
後にこう呼ばれることによって。
『大迷宮騎士団――6の騎士団通称"戦乙女《ナイト オブ スピカ》"』
――と。
迷宮を飛び越えて轟くその名は、"魔法武器を一切振るわない最強の女性騎士"として歴史に深く広く響く名となることは未だこの時、この時代において誰も知る由もないことであった。
* * * * *
あれから数日が経過し、ラウンジ内も先の騒乱から落ち着きを取り戻した。
今俺がいるのは、D.C施設『パパの部屋』。
その中で今はサラリーたちによる進捗の報告を聞いていた。
「父さん、それじゃあ報告をするよ。まず、迷宮公道は順調に射手月(9月)始めに改装を終えそうだよ」
「なんていうかさすが竜爺のおかげだな。ま、改装終わったら追加の酒を差し入れてのんびりしてもらおう」
俺は今示した彼らへの考え方を実戦しながら頷くと、ため息とともにメガネをくいっとしたサラリーは続けて報告をした。
「迷宮水路、及び水源も......同じくらいに完成しそうだよ」
「......てことは迷宮運営において重要なのはひとまずは落ち着きそうか?」
「......うん。父さんの意見から生まれたレティ姉さんによる『資格者的な迷宮難易度調整』なども一段落しつつあるから、今後は迷宮生き残りも結構出て噂が幅広がると思うよ」
「まかせてよ!パパ」
「そっか」
資格者的な迷宮難易度というのは要するに、ただの侵入者から踏破者へと格上げするに値するかどうかのことだ。俺の考えを読んだレティによる、人族浄化作用も含む迷宮運営の一種となる。
侵入者を間引く――それは、こちらで間引く者、間引かずに活かす者というラウンジ内で働く奴隷達にも適用されているダンジョンライフ・ロンダリングシステムを応用して策定したものだ。
きっかけは、主にあの時の踏破者たちのやり取りによるものが大きい。
武器を示すことで遠巻きに協力すると伝えるかのようにしてかっこよく去っていったのは思うところがないわけじゃないが、こっちとしても返す言葉であんなことを言い返したんだと考えてのことでもあった。
「んじゃ、これからこんな感じで分けることにするか。んと――」
俺は、考えながら色々と妥当な称号というか彼ら侵入者の新たな呼び名ともいうべきものを次々書いたり、消したりして悩みながらも書き上げる。
そして、決定稿のノートを掲げながらレティたちに見せながら言い放った。
「10F以下は、みなが挑戦者。10F超えたら10F踏破者、20F踏破者、30F踏破者、40F踏破者、50F踏破者ってことにしよう」
「......あの侵入者たちへの態度から"ずいぶん"と地位が上がった感じだね」
俺はその問いかけに、舌打ちをしながらも相槌を打つと――
「......ま、意識転換ってのはいつの時代もってやつだ」
そう言って頭をガシガシとかきながら立ち上がった。
それに戦後報告を聞いている分じゃ、帝国に組している傭兵らも多かったそうだが、こちらに手を貸したものも結構いたことも評価を改めている所以である。
「了解したよ。じゃあその"迷宮称号"は、こちらで周知させておくことにするよ」
迷宮称号か。
なんていうか、なんにでも迷宮がつけられている気がして妙な感じだ。
それなら、クエスト作ってそれを達成したら新たな迷宮称号を見たいなこともできそうだなとゲーム脳が働いた。
「......パパ?、"そこらへん"はまたあ・と・で!」
全然魅力的ではないそんななんちゃって艶姿をしながらも、レティは急に真面目な顔を作ると言い放った。
「パパ、さっきの報告からでも分かったと思うけど......エッチなこともそれなりに受け入れないとまた同じことを繰り返しちゃうかもしれないよ!」
「......」
宿屋の件だよな、それ。
俺のトラウマど真ん中に当たるそれを受け入れる......か。
その沈黙にモジョはどこか期待した目で事務作業の手を止めてこちらを見ている。なんだよ、その『父が乳を許容したら私の存在向上に繋がる』っていう期待の目は。
「......ま、俺も進むことは必要だなとは思ってたんだけどな」
強姦と同意の上でのそういうのとは違うとは理解しているんだ。
だからこそ、同意の上での行為は許容しているのだし。
「とりあえず、パパは恋をするところから始めたら?手頃な相手としては、オーリエさんとか......アラーネさんとか?」
手頃って......。
あの2人ならば確かにそういう目で見てしまう時は正直あるけど。
だがやはり――と、俺はそう考えてしまうのだ。
「......ま、考えるだけ考えとくよ。じゃ、ちょっと出てくるわ」
そうして話を打ち切ると、俺はそろそろフェニャも落ち着いた頃かなと思って迷宮"馬車"へと向かうことにした。
* * * * *
「......レティ姉さん。少し強引じゃないかな?」
「ううん。あのぐらいがちょうどいいんだよ!......パパを受け止めてくれるそんな対等な人がパパには必要だよ」
「それならアベさんとかジャックスさんとかでもいいのでは?」
「......も~。それじゃあ、モジョちゃんが喜ぶだけだよ? それに、私が見たいのはパパの本当の子供......だよ!」
そうしてじっと事務をしているらしきモジョは何やら妄想でもしているかのように顔を真っ赤にしながらハァハァと熱い吐息を滾らせていた。
「そ、そういうことなんだね。......ま、僕もそれには同意見なんだけど......果たして父さんの本当の子供が見れる日が来るのか」
「パパはああ見えて、相当性欲は強いほうだよ!......だから、10人、20人くらい娶っても余裕だよ、きっとね!」
「そ......そうかい?」
彼にとって、自らの生み出された材料の一つであるそれな立場からすればその回答は多少微妙な感じとなった。
「今後、パパには内緒でそこらへんも連携していくってことでよろしくね、サラリーくん?」
「はぁ~......。分かったよ、レティ姉さん」
この姉には敵わないと、そんなことを思うサラリーなのだった。
「ま、改装とか工事とか終わるくらいにはちょうど、まとまりそうなとあることも建築できそうだし!」
その言葉もあえて、聴かずにいたのは言うまでもないことである。
* * * * *
そうして転移して部屋へと入ろうとした俺へ、羽織越しの通信が入った。
("父さん、いいかしら?")
("ジョイか、どうしたんだ?")
何やら急を要するといった感じでジョイから通信が入ったのだ。
("アラーネちゃんがね、彼女急に高熱で倒れてしまったの")
熱中症じゃなかったのかと俺は急いで、急変したアラーネの下へと向かうことにした。




