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第45層「森への侵入者たち」

日頃は稚拙な物語をお読みいただき、誠にありがとうございます。

皆様のおかげで、累計PV11万アクセス以上とユニーク16000人以上を

突破いたしました。


今は自分の力のなさを自覚し、改善を心がけながらも

唯、物語を完結させることただそれだけを目標として、書き進めていきます。

 15階層で"セーブ"され、一旦元の迷宮主の立場に戻った俺は仲間たちともに俺の職場としてダイク集団や小人族工作担当にチャマットに作られた施設――

 通称『パパの部屋』という札がかけられた俺のラウンジ内の部屋へと入った。


 中はとても広く作られていて、王座だったり、普通の椅子だったり、ベッドだったり、至る所に設置している監視カメラの映像が流れているテレビが並べられたりとわりとゴチャゴチャしている様子だったが、その中央にはまるで円卓の騎士を連想させるかのような大きな円の机が置かれている。


 なんのためにあるのか、誰も座らない王座だけがその中でひときわ寂しい印象だった。きっと置いた張本人――レティに聞けばこういうだろう。ノリだと。


「あ、おかえりー!どうだった?」


「......まぁ、今はそれを考えないようにしているんだから置いといて――」


「うん、森の侵入者だね。んと......入っていいよ!」


「......失礼」


 そう言って、入ってきたのは小人忍ミニンジャーの一員で現在は帝国への調査でソウリョに同行している不在の頭領・チャシブの代わりとして頭領代理としている小人族だった。彼はそっと近寄ると、膝を曲げて頭を下げ、忍びの報告然とした姿で簡潔に伝えてきた。


「主様。私どもの哨戒中に不審なものたちが森の周囲にて何かを探るためか、こちら側の森の至るところを探索している様子」


「そっか、お疲れ様。場所は?」


「あれだよ!」


 俺の問いにレティがそう言って指を差したのは、監視眼イービルアイの様子が映し出される3列で10台ほどのテレビがあり、その上側に調査で分かった部分が描かれた地図に赤いピンが刺さっていて、レティが差したテレビは、その不審者のいる所を映していた。


 現在、時間は17時くらいでまだ比較的に明るいが、そろそろ日の入りということもあってか少し薄暗い感じだった。その中にいた部隊と言ってもいい人族たちはみな傭兵然とした――あの闘賊たちがもう少しマシになった姿の装備を身につけ、辺りをうろうろとしていて、何やら探るようにしていた。


「ありゃ、傭兵だぜ」


「......やっぱそうか」


 俺の連想が当たったことに納得して答え返すと、今度はなぜここにという思いが浮かぶ。


「こいつらだけか?」


「ううん!あそことあそことあそこにもだよ!」


 そうして指を差したところは自動的にピンが刺さって、1~3とかかれたテレビのモニターが次から次へと映し出された。共感能力はそんなこともできるのかと関心すらするものだが今はどうでもいい。改めてみると、やはり先ほどの傭兵と、魔物狩りまでいるのか?そいつらと、前者の職とは全く違う独自の装備という感じの人族たちがいた。


 ゴトっという音がして振り向くが、音を立てたアラーネはなんでもないとだけ言って画面を見つめた。まぁ、それならいいかと俺も同じように見ると何者かをジャックスに聞いてみた。


「見かけたことは......ねぇな。服装からすりゃあ、潰れた国のどこかの兵士っぽい感じに見えないこともねぇがな」


 ジャックスにも心当たりはないらしい。

 てことは、帝国じゃないし潰れた国がなけなしの金で雇って再興とかそんな感じのやつか?と考えるが、何も分かることはないので頬をかくと一番近そうな場所にあたりをつけた。


「あそこの『3』の傭兵のいる場所って南に10分くらい歩いたところじゃないか?」


「おっしゃるとおりにございます」


 俺の問いに小人忍ミニンジャーの人が畏まって答えた。

 いや、そこまで畏まらんでも......。


 そんなことよりも、それならば検討はついた。

 なんせあそこは、俺が初めてこの世界にやってきた基点みたいな場所だ。

 中々近くにいるらしいそこならば、と俺は――


「ジャックス、ちょい手伝ってくれ」


「おう、取り押さえりゃいいのか?」


「ああ」


 頷いてわかったというと、俺はその場でデフォルトといってもいい場所の登録先のゲートを開けた。オーリエはああ、確かトレーニングルームで試したいことがあるとかなんとかで別れたっけ。じゃあと、


 いつものように最後のアラーネへと聞いてみる。


「来るか?」


「......いい。お腹空いたからご飯食べて先に寝る」


「そ、そっか。......お疲れさん、また明日な!」


 そうして、少し違和感を感じるも気のせいと改めてゲートを潜って外へ出た。

 迷宮の入り口を見上げた頃よりはだいぶ暖かくなったなと感じながらも、俺はそのままジャックスの匂いを頼りに後方へと気配を消しながら近づいた。


("数は、15人くらいだな。てことは他のところもだいたい似たようなものかな。......あれくらいなら、おめぇのあの棒で余裕だろ。貸りていいか?")


("ああ")


 そうして義兄弟級契約特典の念話で話をつけると、俺は身に着けたポーチから木刀を二本取り出して、一本をジャックスへと渡した。


 迷宮魔法・感電スタンガン付与の木刀である。


("さ、捕り物のスタートだ")


 そうして、先制の意味も込めて折り紙を取り出して放つ。


「折"電鳩"《スタンドーブ》」


 すると、数枚が鳩に折られてパチパチと静電気を伴って折り鳩へと変化すると、そのまま指定した者たちへと突っ込んでいった。漏れたものは、韋駄天の力によって速度を上げて近寄り、木刀でジャックスともども気絶をさせた。


「あ......ついやっちまった。 ま、いっか」


 間違えてジャックスも気絶させたが、久々の可愛がりと思ってもらえばいいと俺は監視眼イービルアイのある位置へ向かい合図をした。すると、木から扉が開いて数人のラウンジ内警備総長下の警備用魔獣『足軽』がやってきた。


「大殿。お疲れ様にございまする」


 ブシドウと同じく、膝を曲げて挨拶する姿を見ながらため息をつく。


 父上の次は殿か。それも大殿って!


 どこからくるんだろうその個性と今すぐネットで呟きたい気持ちに駆られるが、諦めて挨拶を返して監獄へ送らせることにした。


「......ジャックス様は?」


「ああ、部屋にでも押し込んでおいてくれればいいよ」


「御意」


 さてと、ぐぅ~となる腹を擦って久々のまともな食事でも食べるかと俺は食堂へと向かうことにした。


 夕飯のハンバーグ定食を娘達やオーリエと取っていると、やがて何で俺も気絶させやがったぁといきり立って来たジャックスに悪い悪いと謝りつつも、食事を終えた。アラーネの姿が見えなかったがもう食べて寝たのかなと思って、すっかり脂肪が取れて細マッチョをキープする自分の腹を擦りながら、監獄へとやってきた。


 監獄には常時10人ほどで定期的に見回りをしている。

 その見張り役の『足軽』たちに1人1人お疲れさんと声をかけていくと、やがて奥の牢屋に捕らえている傭兵達の下へとやってきた。

 もうすでに気絶から気がついた連中はここはどこだとかだせとかやいのやいのうるさかったので――


「はいはい。じゃ、沈黙令サイレントね」


 久々の迷宮魔法・沈黙令サイレントで彼らの声を消した。

 声の出なくなった口がパクパクという音しかしないまるで鯉のような状態になった彼らは驚愕したが気にすることなく、牢屋を開けると"動くな"と声をかけて先制を封じた上でそれぞれの手を繋がせていくと久々となる力を発動した。


生命契約ライフプロミシズレベル1」


 人形状態になるまで魔力を込めて発動すると光がそれぞれに伝達していき、収まるとみんなぼーっとした催眠状態へとなった。


「さ。それじゃあ、吐いてもらうか。なんでここらへんに来たのか」


 そうして情報を自白させていった。

 まとめてみると、何やら帝国領で商売をする割と大きめの商人に雇われている傭兵で俺があのテレビで見たどこかの兵士っぽい格好のもの――商人の私兵らしい――と、魔物狩りも仲間のようだった。目的は、アラーネの捕獲だ。


「なるほどな」


 そうして、後ろにいたのはジャックスだった。


「お、やっとお冠を取り除いたか」


「取れるとするなら、そりゃおめぇが心の底から悪いと謝った時だ!」


 どうやらまだらしい。

 とりあえずほっておいて、俺はさっきのなるほどなの意味を聞いた。


「お前って奴は......まぁいい。つまりは、あの洞穴で滅ぼした魔物狩りどもの連れ合いってことか?」


「ああ、どうやらそうなるらしいな」


 こいつらは、あの洞穴で倒した魔物狩りたちと同じ同系統の者たちで、なおかつもうすでに何らかの報告か調査かで知り得て行動に移しているのだろうと納得した。


 また、俺はあの不思議な夢で見た"気味悪い悪趣味な男"を思い出した。

 姿がボヤっとしていて見分けがつかない感じだが嫌な感じはしたのでなんとなく印象は残っていた。


「ま、それなら安心だろうぜ」


「ああ......あの子がこちらにいる限りはな」


 それこそ、あの子を連れ戻そうと乗り込んできても迷宮という場所に入った瞬間こちらのものである。


 レティの共感能力を使うまでもない結果となるだろう。


「それじゃ、そいつらはどうするんだ?」


「念のためにここに一日くらい放り込んでおいて、明日にでも旅立たせることにするか。もちろん、第3段階の情報撒き散らし要因としてな」


「......つくづく、俺は自分の選択を間違わないでよかったと思うぜ」


 そんなことを言うと、ため息をついて飲んでくらぁと手を振りながらジャックスは去っていった。


「安心しろ、これでも人の見る目はあるつもりだよ」


 と、完全に去っていったのを確認してボソっと呟いた。


「さて、それじゃ......足軽」


「はっ」


「こいつらにご飯を。そんで、翌日になったら向かえにくるから......まぁないとは思うけど一応見張りは頼むよ」


「御意!」


 甲冑の肩当てをポンポンと叩いて労って監獄を抜けると久々の平穏ゆえか、あくびが出たために今日は早く寝るかと部屋へと向かうことにした。


 丑三つ時くらいか。


 何やら衝撃が襲ってきたのを寝ぼけながら感じた。

 いつもレティと寝ているので、おそらくレティの仕業だろうが俺はまぶたを擦りながら寝返りか思ってレティのほうを見た、


 だが、レティは普段見せないような表情で呟いた。


「アラーネお姉ちゃんの反応が1時間くらい迷宮内からないの!」


「な......」


 驚愕するとともに、なぜだと俺の頭にそればかりが駆け巡る。

 

 こうして、俺の全く考えつかなかった展開となったアラーネの行方不明という予想外の方向へと話は進むのだった。

沈黙令サイレント

相手へ指を差して発動すると、喉が見えない空気で塞がれて発声ができなくなる。

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