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第38層「組織の設立」

 13人で全員とはいかないホムンクルスたちが一同にここ、ゲルの会議場へと集まっていた。それ以外には俺が中央に座り、その膝にはレティが座っている。


 俺は、レティの玉座か何かだろうか。


 そんなことを考えていると、何やらコホンと咳をしたサラリーが立ち上がり話し始める。


「全員ではないが......君たちに集まってもらったのは他でもない。今後迷宮が出来てからの運営組織についてだが――「......組織?」......父さん」


「え?あ、悪い話に割り込んだみたいで」


「いや、それは別にいいよ。それで、父さんはどうしてこういう場が開かれているのか理解できていないと、僕にはその表情と"勘"で推察をしたんだけど......実際のところ、どうなんだい?」


「えっと。わ、分からないかなー......なんて」


「やはり......か」


 ため息をつきながら呆れるようにメガネをくいっとあげるサラリーに俺は内心で、本当にどうしてこうなったのかと考えていた。


 温泉に入りリフレッシュして、ようやく楽しみにしていた迷宮試験攻略ができるとした矢先の出来事なのだ。それ以外で特に問題とかは......


「あれは父さんの爪の恩恵で僕らも部下を得ることができた時のこと......温泉前だよ。僕たちが自分たちの部下をあのオーブで生み出させることができた際に父さんが増えすぎだと相談してきたじゃないか」


「......あ」


 俺は、そんな間抜けな声を出すと当時のことを思い出した。


 確かあれは増える部下のことで悩んでいた温泉前のある時のことだったはず。

 温泉にでかけて、不意に思った提案をされた後にレティの発言で温泉でリフレッシュしたいへと至る事柄だったと思い出した。


 確かこんな会話だ。


『サラリー、増え続けるお前たちの子供たちをどうにかしたいんだけど』


『それなら、ある程度統制が取れて、纏まりのあるもの《組織》を作ればいいんだと思うけど』


『ある程度統制が取れて、纏まりのあるもの《部隊》......か。いいかもな、それ』


『じゃあ父さん、後は僕にまかせてもらってもいいかい?』


『(部隊を作ってくれるんだな)ああ。頼むよ』


 ――数日後


『パパ!迷宮の王様になるってホント?』


『え』


 こんな感じだったはずだ。

 理由を聞いた俺は思わず座っていた椅子から転げ落ちる結果となった。

 組織と部隊という勘違いの度合いじゃない。王のポジションだという意味だ。


 迷宮とは言わば町のようなもの、そしてそれらの中――特にラウンジの二階にあたる場所で生きる3氏族からすれば俺はその迷宮の長といえるという説明から、娘長の私一回お姫様になってみたかったの発言へと飛躍し、やがてこの迷宮を国の組織と同様にすると話されれば椅子からも転げだしたくなるものだ。


「あぁ、安心するといいよ。父さんに王の仕事をしろとかそういうのは言わない。そのための組織だからね。それに役職名が気に入らないなら、"迷宮創造主ダンジョンマイスター"にでもすればいいさ」


 そこからあの温泉へと繋がることとなる。

 温泉のおかげか、俺の度忘れか、その記憶が抜けることとなったけど。


 そして、それに気づいたために俺は今会議の今後についてというフレーズでなるほどと理解を深めることができた。


「父さんも理解してくれたことだから早速始めよう。......モジョ"姉さん"」


「うふふ......なぁに?これから父の乳でもとらせ――」


 ――ヒュン!


「ヘブッ!」


 お決まりのお手製折り紙"飛ぶチョップ"を歩いてくるモジョへとかました。

 そんな変態娘を姉と呼ぶ意味が理解できないところだが、彼らとしてはそんな感じらしい。


 彼らは彼らなりのそういうものがあるのだろうと納得している。

 

 そんなお決まりのやり取りを終えると、サラリーは特に気にすることなくモジョの頭へと手を当てて撫でながら耳元でボソりと何事かをつぶやいた。

 そうするとモジョの猫背癖のある立ち姿が急にシャンとなり、やがて長い髪をかきあげた時に見えた目はいつもの変態的な感じではなく理知的な眼差しでサラリーと俺と見ていた。


「あら、出番なのね。あのことかしら?」


 その喋り方も変わるいわゆる『OLモード』へと変化したモジョに俺は毎度毎度違和感を感じずにはいられない。左脳から生まれた子でこのままなら問題ないがなぜあっちがデフォルトなのかという点も含めて、だ。


 ちなみにサラリーは右脳――つまり、直感に秀でているが"現在"は理知的なままであることも不思議の一つであった。


「姉さんの"思考加速"と"あれ"を用意してほしくてね」


「相変わらずね、サラリー。まぁいいわ......今日は父にも見られていることだからね」


 そうして、若干モジョらしいことを呟くと、髪を掴みある言葉を言い放った。


「髪芸――"黒髪板"《ヘアーボード》」


 そうすると、髪が伸びまくりやがてそれは、学校でよく見るタイプの黒板へと編み上げられてゲルの家に板に固定された。


「じゃあ、手を」


「助かるよ」


 こうしててを繋ぐことで、右脳と左脳のやり取りをするかのように互いが互いの利点を増幅する力も2人は併せ持っている。左右部位があれば必ず男女に分かれる理由は知らないけど。


「僕が考えた組織表を書いていって、希望があれば埋めていくということでいいかい?」


 ブレーンであるサラリーの言葉に、それぞれが了承の旨で頷くなり返事をすると、迷宮運営委員会 組織表という見出しの後に順番に以下のように書いていった。


指に力を込めるだけで書き込むことができるモジョの黒板はいつ見ても、便利なものだなと思う。そんなことを考えつつも書いていくのを見守る。


 迷宮運営委員会 組織表

 ----------------------------------------------------------------------

 No  名前  役職     役割


 ☆  父さん 迷宮創造主  迷宮創造とみんなの世話

 1  姉さん 運営委員総長 迷宮管理と迷宮内施設総責任者

 2  僕   運営委員長

 3      

 4

 5

 6

 7

 8

 9

 10

 11

 12

 13

 14

 15

 16

 ----------------------------------------------------------------------


 って――


「おい、ちょっと待て。なんで名前が呼称なんだよ。あと、みんなの世話ってなんだ......みんなの世話って」


「ああ、うっかりしていたよ」


 そうしてまた書き直し、俺の名前、レティの名前、サラリーと書いた。

 訂正はそれだけだった。


 ......みんなの世話は、消さないのかよ。


 そんなことを思いつつ、No.3の横に迷宮副事務などと順番に書いていき、

 やがてそれを最後まで書き終わると俺は改めてみてみる。


 迷宮運営委員会 組織表

 ----------------------------------------------------------------------

 No  名前   役職      役割


 ☆  タクト  迷宮創造主   迷宮創造とみんなの世話役

 1  レティ  運営委員長   迷宮管理と迷宮内施設総責任者

 2  サラリー 運営事務委員長 迷宮の政に関する責任者

 3  モジョ  迷宮副事務   事務の補助、迷宮内の仕掛けに関すること

 4       迷宮警備総長  迷宮施設警備と迷宮歩軍の総責任者

 5       迷宮警邏総長  迷宮本丸警備と迷宮馬軍の総責任者

 6       迷宮警備長   警備総長の補助役

 7       迷宮警邏長   警邏総長の補助役

 8       迷宮ギルド総長 全ギルドの総責任者

 9       迷宮ギルド長  迷宮ギルドの責任者

 10      迷宮魔工部長  魔力の武防具や魔道具開発と生産責任者

 11      迷宮工作部長  一般の武防具や道具開発、生産責任者

 12      迷宮医院長   病気や傷の治療に関する総責任者

 13      迷宮奉仕婦長  料理、清掃、洗濯といった家事のまとめ役

 14      迷宮酒場店長  酒場の店長と酒場内での情報収集

 15      迷宮宿店主長  宿屋の店主と宿屋内での情報収集

 16      迷宮外交長   外部との交渉役

 17      迷宮諜報部長  外部への諜報活動に関するまとめ役

 ----------------------------------------------------------------------


 色々あるもんだと関心した。モジョは副事務か。

 本人には失礼......でもないが、普段ああなのに本当に大丈夫か心配である。


「現在は、父さんからモジョ姉さん、まで決まっていることになる。希望があれば聞くよ」


 そうすると、いの一番に決まりそうなところから順番に決まっていく。

 錬金術師の娘、エロナは当然魔工部長で右腕のダイクも工作部長、医院長も当然ながら目診のジョイで、奉仕婦長は料理や家事に特化するオフクロだ。


「私に長なんて務まるのかなぁ~?」


「はっはぁ~、こりゃ腕がなるなぁ」


「ま、当然といえば当然かもね」


「あらあら~ここは踏ん張らなくちゃだわ~」


 と、先に決まった4人は思い思いに感想を述べていた。


「ここらへんは妥当なところだろう。あとはそうだな......ブシドウとプーは警備総長と警邏総長を推薦したいところだな」


と、俺が提案じゃないがなんとなく合っていそうだと思って口を出した。それに反応したのは着物のような羽織をした成人仕立てという印象の息子と、フード付パーカーのフードで顔を隠してガムを噛むという現代のちょっとした不良っぽい娘であった。


「む、それがしが?」


 ――プ~~~、パンッ!


「......あたし?」


 前者は、右足から生まれたなぜか武士のような話し方をして性格もまさに武士道という感じだったことから名づけたホムンクルスのブシドウだ。

 後者は、そのブシドウとは違いいかにも現代っ子でなおかつ跳ねっ返りっぽい感じでフード付きのパーカーでいつもそのフードで頭を隠し、風船ガムを好んで食べてはさっきのように膨らませてボソっと喋るのでプーと名づけたホムンクルスの娘である。


 いずれも、ふとももからではなく、"足"から生まれたこともあって各々それ系の力を有している。


「ああ。ブシドウは、あらゆる歩法と俺が作った刀で歩兵を率入れそうだし、逆にプーは色々な乗り物を乗りこなすこととその乗り物を利用したアクションスターのような足技が得意だからな。俺はそんな風に思ってるよ」


「む。ならば、父上の期待を裏切らぬように精進致す」


 ――プ~~、ペッ!


「ま、いいよ」


 礼儀正しく頷くブシドウに、ガムを紙へと吐き出しながらついっと視線を外して不真面目に答えるこの両極端の2人だが仕事はきちんとやるので安心である。


「オヤジィ~俺が総長ねらってたのにぃよぉ~!」


「んだぜぇ~!プーごときに――」


 そういった瞬間――


 見えない足先が、綺麗にレディースの前髪を切り裂いた。


「......お前さ、トトの言いつけやぶんの?」


「うっ、わ、分かったよ。あたいが悪かったぁ!」


「......お前は?」


「わ、わりぃ、......姉貴」


 力関係というのはどこでも似たようなものだなと思う俺だった。

 そしてトトとは俺のことで、この子もなんというか素直じゃないが、一応気にかけてくれていると理解できる分この中でもエロナに次いで、愛い妹のような娘だと思っている。


 そんな感じで一瞬空気が嫌な感じになるが、パンパンと手を叩いたレティが、


「まぁまぁ、落ち着いて!残ったのは......ギルド総長と迷宮ギルド長と外交長と諜報部長と店長、店主だね!」


 すると自然と空気が和らいだ。血の繋がった娘のその共感覚なのか天然なのか分からない力に感謝しながら引き続き見ていると、サラリーが今はここにいない2人の名前を外交長、諜報部長のところへと名前を書いた。


 "ソウリョ"と"シスター"と。


「この場合、今不在の"外交"のシスター姉さんと諜報活動に従事している小人忍ミニンジャー頭領のチャシブさんとともにいる虚無僧のソウリョ兄さん、が自然とこの役職となるね」


 最後に登場した俺の"あらゆる神経"から生まれたホムンクルスのソウリョと、俺の"喉"から生まれたホムンクルスのシスターはその力がそういう方面に役立つということもあり現在はこの森はおろか、エウレシア方面、帝国方面にも食指を伸ばしていた。


 後は試験攻略だけなので、情報展開のための"第三段階"を実行中なのだ。

 先日、ここを後にしたあの闘賊団ハウエル一行を案内役としてソウリョは、帝国方面へ向かい、シスターはエウレシア方面へ向かわせている。


 おそらくこちらへと戻ってくる頃には、迷宮開設の準備は全て終わっている頃だろうとサラリーは"勘"によって予測しているそうだ。


 というわけで残りの4つなんだけど、これも自然と決まりそうだった。


「うふん。ダディに期待されればご褒美もらえそうだし、ギルド総長はあたしでホスト、あなたは迷宮ギルドをまかせるわ。ん~あんたらは店長と店主ねぇ」


「え~~。あぁ~し(私)がテンチョーって超よんでんのに、あ~しがテンチョーって意味分かんないしぃ~」


「ヤベェって。マジ、超ダルそ~」


 その言葉には当然、彼らよりもヒエラルキーの高いホステスの睨みと"溶かすわよ"という脅迫で普通に決定がされた。そしてぼーっとしてながらも、何やらニコニコと笑っているだけのホストもうんうんと頷いて同意したことで全てが決定された。


 この息子ホストは大丈夫かと思うが、まぁこいつの取り巻きが割と優秀だしなんとかなるかな。


 なんていうか、予定調和というか......会議ってレベルじゃない感じでそれぞれの役職と役割が決定された。


「おっしゃるとおりだよ!パパ」


「......だよなぁ~」


「どうしたんだい?」


「いや、それじゃこれで決定だな」


「うん。先にも言ったけど、運営は僕らにまかせて父さんはともかくアベさん、オーリエさん、ジャックスさん、アラーネさんにも自由にしてもらっていいからさ」


 その言葉に俺は、ありがとうなと言って握手すると彼は照れているのか、メガネを何度もクイックイッと直しつつもまかせてと答えた。


「ハァ~......ハァ~......アァ~~サラリーったら羨ましすぎて髪芸で切り刻みたいわぁぁぁぁ!」


 と、元の変態に戻ったモジョが抱きついてこようとしたのを当然のように阻止すると、決まったばかりの迷宮運営委員会......後に呼ばれることとなる

通称――『D.C』の組織表を見ながらもこっそりみんなの世話役を消してあることを書き入れた組織はこうして始動することとなった。


 迷宮運営委員会 組織表

 ----------------------------------------------------------------------

 No  名前   役職      役割


 ☆  タクト  迷宮創造主   迷宮創造と全責任者

 1  レティ  運営委員長   迷宮管理と迷宮内施設総責任者

 2  サラリー 運営事務委員長 迷宮の政に関する責任者

 3  モジョ  迷宮副事務   事務の補佐、迷宮内の罠責任者

 4  ブシドウ 迷宮警備総長  迷宮施設警備と迷宮歩軍の総責任者

 5  プー   迷宮警邏総長  迷宮本丸警備と迷宮馬軍の総責任者

 6  ヤンキー 迷宮警備長   警備総長の補助役

 7  レディース迷宮警邏長   警邏総長の補助役

 8  ホステス 迷宮ギルド総長 全ギルドの総責任者

 9  ホスト  迷宮ギルド長  迷宮ギルドの責任者

 10 エロナ  迷宮魔工部長  魔力の武防具や魔道具開発と生産責任者

 11 ダイク  迷宮工作部長  一般の武防具や道具開発、生産責任者

 12 ジョイ  迷宮医院長   病気や傷の治療に関する総責任者

 13 オフクロ 迷宮奉仕婦長  料理、清掃、洗濯といった家事のまとめ役

 14 ギャルコ 迷宮酒場店長  酒場の店長と酒場内での情報収集

 15 ギャルオ 迷宮宿店主長  宿屋の店主と宿屋内での情報収集

 16 シスター 迷宮外交長   外部との交渉役

 17 ソウリョ 迷宮諜報部長  外部への諜報活動に関するまとめ役

 ----------------------------------------------------------------------

 ここまでじらされたのだと思った俺は、

 いよいよ、待ちに待った試験攻略開始に今度こそ胸を熱くさせるのだった。

これで16人全員(未登場2人含)のホムンクルスがでました。

個性を考えるというのは大変です。


(訂正)16人です。すいません。

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