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終わりを告げるフィシクロニア  作者: 遅刻パン


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第九話 対立

 怪しく光るチャームを見つめ、あの日の出来事を思い出していた。


 間違いない……!


 急いでリュックからクマよけスプレーを取り出し、しっかりと握る。


「よし……」


 私は導かれるように、小川沿いの道から外れ、道なき道へ足を踏み入れる。


 木々は次第に密集し、頭上を覆い隠していく。


 差し込む光は少なく、辺りはだんだん薄暗くなっていった。


 周りを見回しながら歩いていると、ふと違和感を覚える。


 ほこりっぽいような、嫌な感じ……これって……! 


 よく見ると、周りの木々から薄く黒いモヤのようなものが立ち上っている。


「……やっぱり帰ったほうが――」


 ガサッ。


「っ!」


 突然、物音が聞こえる。


 えっ!怪物!?


 とっさに近くの大きな木の陰へ身を隠し、そっと様子をうかがう。


 ……人?


「……あっ!?」


 魔法少女のお姉さんだ!


 思わず声をかけようとした、そのとき。


 突然お姉さんは駆け出していった。


「ま、待って!」


 慌ててその後を追いかける。


 木々の間を抜けると、目の前に少し開けた場所があった。


 お姉さんは立ち止まり、なにかをじっと見つめている。


 その視線の先では、黒いモヤがゆっくりと一か所へ集まり始めていた。


 周りの木々がざわざわと揺れ、折れた枝や落ち葉、木から皮が剥がれ、黒いモヤと一緒に吸い寄せられていく。


 お姉さんは無言のまま右手を前へ出し、手のひらにモヤを集めている。


 どこからか水があふれだして、その手にはあのムチのような武器が握られていた。


 あの武器……!


 お姉さんは武器を構える。


「だ、だめ!」


 気づけばそう叫んでいた。


 お姉さんがゆっくりと振り返る。


「おまえは……」


 ひと呼吸置いて、そのまま淡々と口を開く。


「完成する前なら被害は少ない」


 落ち着いた声でそう言う。


「でも……」


 言葉が出てこない。

 

 なんでかわからないけど、それは違う気がする。


 でもこれじゃ説得力ないよね。


 それに、お姉さんのほうがずっと詳しい……と思うし。


 お姉さんはそんな迷ってる私を見つめていた。


 ……。


 そうしてる間に、黒いモヤはさらに大きくなっていく。


「……っ」

 

 バシュッ!


 しなるムチが黒いモヤを鋭く叩き裂く。


「あっ……!」


 モヤは大きく吹き飛び、辺りへ四散した。


 しかし、その一部が再び集まり——


 ズシン。


 地面が揺れる。


 人の背丈ほどの黒い怪物が姿を現した。


 まばらに木をまとい、中央には……赤い宝石。


 怪物が震えだす。

 

 すると、それと連動するように周りの木々がミシミシと音を立て始めた。


 やっぱり……苦しそう。


 あの時と同じ……。


 お姉さんは再び武器を構える。


「だめ!」


 手の中のチャームが強く輝く。


 光は一瞬で全身を包み込み――。


 光が弾けると、変身していた。


 でも今は……。 


 そのまま、お姉さんと怪物の間へ飛び込んだ。


 両手を広げ、お姉さんの前へ立ちはだかる。


「この子を……傷つけちゃだめ!」

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