第八話 再び
今日は雲ひとつない空。
探検日和だー!
いつもより早起きして、家族みんなで朝ご飯を食べる。
「お母さん、汚れても大丈夫な服ある?」
そう言うと、もう着ないからってベージュのツナギをくれた。
あちこち擦り切れているけど、まだまだ着れそうだ。
お母さんも昔は活発だったのかな?
この胸元のファスナー付きポケットに、チャームを入れよう。
落としたら、ちょっと不安だしね。
「よーし!」
リュックを背負い、鏡の前でくるっと一回転する。
「なんだかすごい冒険家みたい!」
鏡の前でそれっぽいポーズをとってみる。
なんか……かっこいい!
でも、目的地はここから歩いて二十分くらいなんだけどね。
玄関を出ると、お父さんとお母さんも外へ出てきた。
「いってきまーす!」
「いってらっしゃい」
二人はそのまま自宅の横に併設してあるパン屋、「こむぎのベーカリー」へ向かっていく。
土日も朝からお仕事、大変そうだな。
明日は、お店のお手伝いでもしようかな?
そんなことを考えながら、私は森へ向かって歩き始めた。
◇
森へ着くと、大きなクヌギの木を目指して歩く。
あの日、黒い怪物が現れた場所だ。
念のため、リュックからクマよけスプレーを取り出し、持っている。
……何も持ってないよりは、きっといいよね。
「うーん……」
到着し、立ち止まる。
なんだか、あの日より草や木が生い茂っているような気がする。
「やっぱり夢だったのかなー?」
あんなこと、本当に起こるわけないよね。
でも。
「もうちょっと探検してみよっと!」
クヌギの周りを歩き回ったり。
気になる茂みを覗いてみたり。
夢中になって森の中を歩き回っていると――。
なんか、お腹すいたな。
時計を確認してみると、お昼を過ぎていた。
「もうこんな時間だったんだ!」
特に変わったこともないし、お姉さんも見つからないし。
「お弁当食べたら帰ろっかな」
大きな石へ腰を下ろし、お弁当を広げる。
「いただきます!」
木漏れ日を浴びながら、ゆっくりとお弁当を食べ終えた。
……。
もうちょっと待ってたら、お姉さん来るかな?
でも、たまたま来たのかもしれないし、本当に夢だったかもだし……
「また来ればいいか!」
次は会えるかもしれない。
それに、外で食べるご飯もおいしかったし、みんな誘って行くのも楽しそう!
楽しいこと考えてたら、悩んでたこと吹き飛んじゃったな。
いつまでも、みのりやほなみに心配かけるわけにもいかないしね。
「よし! 帰ろう!」
リュックを背負い、森をあとにする。
近くの小川に沿って田んぼのあぜ道を進み、そのまま山の中へ……って、あれ?
「なんでこっち歩いてるんだろ?」
家は反対方向なんだけど!
でも、頭ではわかっているのに、足は自然と川の上流へ向かってしまう。
もしかして……
胸元のポケットからチャームを取り出す。
「やっぱり……!」
チャームは、あの日と同じように怪しく輝いていた。




