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終わりを告げるフィシクロニア  作者: 遅刻パン


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第十話 まかせて!

 居ても立ってもいられず、私は怪物を守るようにお姉さんの前に立っていた。


「何をしてる?」


「それを早く倒さないと、また成長して被害が拡大する」


 お姉さんは淡々と言った。


「わかってるけど……」


「壊すのじゃだめなんだよ!……きっと」


 お姉さんは何も言わず、少し考えるように私を見る。


 ……。


「わかった、お前のやり方を見せてくれ」


「気になることもあるしな」


「は、はい!」


 気になるって……?


 でも、よくわからないけど納得してくれたみたい!


「だが、なにかあればすぐに私が倒す」


「わかりました!」


 そうは言ったものの……私に何ができるんだろう?


 前はたしか……。


 そう思い、胸の宝石に手を当てる。


「わあ……」


 あらためて感じるとてつもない力。


 そして、どこかあたたかく懐かしいような……。


 深く意識を向ける。


 宝石の奥底。


 痛み。


 苦しみ。


 悲しみ。


 ……!


 この宝石も……きっとあの怪物と同じだ。


『……助けて。』


 これは夢なんかじゃない。


「まかせて!」


 もう迷わない!


 怪物に向かい走り出す。


 だけど、怪物は折れた木を振り回すように、周囲を破壊している。


 まともに近づくとひとたまりもないだろう。


 どうしよう……。


 お姉さんに頼る?


『できないのか?なら私が倒す』


 って言うよね……きっと。


 しかも、もう迷ってるし……。


 だめだめ!集中!


 怪物は周りのモヤ、砕けた木々を吸い込み続けて、もう2メートルを超えるほど大きくなっていた。


 そのとき、怪物の赤い宝石が光る。


 すると、周囲の木が一斉に枯れ、そのまま一気に倒れ始めた。

 

 ドスンッ! ドスンッ!


 あたりに鈍い音と衝撃が響き渡り、


 そして私の頭上にも――


 ……っ!


 ズバッ!


 ……ん?


 なんともない……?


 思わず閉じていた目を開ける。


「……お姉さん!」


 また守ってくれたんだ!


 って……まかせてって言ったのにこんなんじゃ、お姉さんも呆れてるかも……?


 恐る恐る、顔を上げる。


「おまえ、力の使い方を知らないのか?」


「力の使い方?」


 怒られるかと思った……。


 少しほっとする。


「説明するのは難しいんだが……」


「自然とひとつになるんだ」


 ……?


「私はそうやって戦ってる」


 ……えーっと。


「……まあいい」


「そろそろ危ない……私が倒す」


 お姉さんは再び武器を出し、怪物に振り下ろす。


 バキッ!


 怪物の木の皮のような外殻が割れ、黒い身体が見える。


 やっぱり……私には何もできないのかな?


 もう一度、あの日のことを思い出す。


 散らばったものを1つに集めて流すイメージ……。


 バキャンッ!


 お姉さんの攻撃で隠れていた怪物の赤い宝石が現れる。


 散った外殻はモヤとなり、空気に溶けるようにパラパラと消えていく。


 あっ!


 あのときと違う。


 モヤ……あの怪物はこの森から動いてない……?


 この子たちは帰る場所を……?


 じゃない!


 行き先がわからなくなってるんだ!


 あの日、穏やかになった怪物は、モヤになって風に流されていった!


 「お姉さんは!?」


 空を見上げる。


 遥か上空に、青い光が輝いていた。

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