第三話 導かれた先
家まではあと、大小三つほど、丘を越えた先だ。
毎回、ここを全力で走ってるんだなー……自分の脚力に感心しちゃう!
あたりを見回しながら、
……そのまま森の茂みへ、足を踏み入れた。
……。
……って、なんで!?
考えごとをしていたからか、無意識に歩道から逸れていたみたいだ。
そう思いながらも、なぜか茂みをかき分け、森の奥へと入っていく。
なんだかこの感じ、遠足前のワクワク、ドキドキに似てるな。
でもワクワクとは真逆のような……?
おもむろに、胸に手を当てた。
木々の隙間から差し込む光が反射してるのか、胸元のチャームが怪しく輝いていた。
そのままゆっくりと、森の奥へ歩く。
その輝きに導かれるように。
「このあたり、よく昆虫採集しに来てたなー!」
ここから五分くらいかな? たしかそこに大きなクヌギの木があるんだよね。
そんなことを思い出しているうちに、そのクヌギの木までたどり着いた。
あたりはもうかなり暗い……まだそんな時間じゃないはずなんだけどな?
なんだかさみしいし、少しほこりっぽい。
風が無いせいかなぁ?
いや、違う。
よく見ると、あたりが不思議な黒い……モヤのようなもので覆われている。
黒いモヤはゆらゆらとうごめきながら、大きなクヌギの木の周りへ集まっていく。
それに合わせて、周りの石がカタカタと揺れ出す。
「……え?」
揺れていた石が、モヤに吸い込まれるように集まり、塊になっていく。
なに……?
でも、どこかで見たような……?
それも束の間。
そこには、まばらに石をまとった、巨大な黒い何かが立っていた。
◇
三メートルはありそうな、ボールに手足が生えたような見た目。
中央には、角張った大きな黄色い「宝石」。
綺麗……。
こんな異様な光景の中なのに、なぜかその宝石から目が離せなかった。
しかし――
「宝石」が怪しく光る。
すると突然、地響きが起きた。
乾いた地面に亀裂が走り、飲み込まれるように周囲の木々が倒れていく。
身体が動かない。
声も出ない。
得体の知れない恐怖にすくんで、しばらく呆然と座り込んでいたが、足元に亀裂が走ったとき、ようやく我に返ることができた。
逃げなきゃ……!
目の前の「何か」は、周囲を破壊しながら無差別に暴れている、というより、のたうち回ってるようにも見えた。
最初よりも石がまとわりついてゴツゴツしてきてるな。
なんか冷静だなー……って、自分でもちょっと驚く。
それでも、身体は怖くて動かせないんだけどね。
「何か」は地面をえぐり、周囲に石を飛び散らせる。
その破片の一つが、猛スピードで私に向かってくるのがわかった。
どうしよう。
こういうときってスローモーションに見えるって言うけど……ほんとなんだな。
そんな呑気なことを考えていた。
もう石は目の前。
――バシュ!
私の頭は砕け散った。




