第十六話 お弁当会
「のりこさん……! そのチャームどうしたんですか!?」
「川で拾ったんだ」
私とみのりのチャームに視線を向ける。
「教室で見たときに、そう思ったが」
「もしかして、お前が持ち主なのか?」
「はい……」
「そうか……持ち主が見つかれば返すつもりだったが、そういうわけにもいかなくなった」
「わかるな?」
……!
「ね〜、食べようよ〜」
ほなみの言葉にはっとする。
「あっ! のりこさんはここ座ってください!」
のりこさんはレジャーシートの空いていたとこに座って、手に持っていた菓子パンとペットボトルのお茶を置いた。
「いただきま〜す」
ほなみはいつもどおり、大きなおにぎりにかぶりついた。
みのりは……固まってる。
「それで、なにを聞きたい?」
「……というより、このチャームがお前のものなら私が聞きたいくらいなんだが」
そうだよね。
今の話が本当なら、のりこさんも偶然、魔法少女になったってことだ。
でもなんで私の作ったチャームが?
「この石はなんだ?」
「あ……家の近所の滝で拾った石です!」
「そこにこんな綺麗な石がよく落ちてて!」
「パワーストーンのようなものか……」
のりこさんは菓子パンを食べながら少し考え込んでる。
パワーストーンってたしか、雑貨屋さんによくある運気上昇みたいなやつだよね?
種類によって効果が違うってやつ!
「でも……どうして戦ってるんですか? 怖くないんですか?」
のりこさんは偶然じゃなくて、戦いに向かってる感じだった。
「あの怪物にこの町を壊されたくないからな」
「……怪物」
みのりが深刻そうにそうつぶやいた。
「最近頻発している異常のほとんどに、あいつが関係しているのはわかってる」
「戦う力がここにあるなら、私は止める」
すごい……
変身したら強くはなったけど、それでも危険なことには変わりない……と思う。
まだ私は『魔法少女』がどこまで戦えるか知らない。
ただ、のりこさんは自分よりも、守りたいもののために戦ってきたんだ!
「でも怪物なんて聞いたことないよ〜?」
お弁当を食べ終えたほなみも、ゴロゴロしながら話に入ってきた。
言われてみれば……誰かが見ていてニュースになっててもおかしくないよね。
「ああ、おそらく、この石の影響で怪物が見えているのだと思う」
「黒いモヤ……怪物が出る直前、近くに人がいたこともあったが、誰も認識していなかった」
「え〜でも、みのりは見たことないんだよね?」
「……えっと……うん」
「森の中や岩場の多い海……人があまり来ない場所に出現することが多いからな」
「わざわざ行かなければ見ることもまず無いだろう」
……ん?
なにか違和感がある……なんだろう。
「……あの……結局、怪物ってなんなんですか?」
「……のりこさんと……かほちゃんも魔法少女に変身して戦ったんですよね?」
「魔法少女…?」
少し眉をひそめたのりこさんにみのりがビビっちゃった……。
「そういう見方もあるか」
「怪物は……災害そのものだ」
「放っておけばいずれ、この町がなくなるかもしれない」
……。
本当にそうなのかな?
私が怪物から感じたのは、
苦しみ
悲しみ
……。
あんなことしたくないんじゃないかな?
「うーん……」
だめだめ! 今はそれより――
「みのり! ほなみ! わかってくれたかな!?」
「実際見てないからな〜」
「嘘っぽくはないけど、そんな漫画みたいなこと起こるとは思えないのが本音かな〜」
「みのりは!?」
「……私は……うん、信じるよ」
よかった……!
「チャームはどうする? 持っていたら巻き込まれるかも……」
「ううん! ……のりこさんの話聞いたら、持ってるだけなら大丈夫そうだし」
「でも……」
「……かほちゃんが作ってくれたプレゼント、手放したくないし」
「みのりー!」
私はみのりを抱きしめた!
「そういうことなら、むしろ持っていたほうが巻き込まれたとしても助かるかもしれない」
なるほど……のりこさんの言うとおりかも。
もしものときは対抗できる力はあったほうがいい……はず。
「でも〜、畑荒らされて倒れちゃったみのりが〜、その怪物見て耐えられるのかな〜?」
「……それ……恥ずかしいからあんまり言わないで」
最初は固まっていたみのりもいつも通りに戻ってきた。
お弁当にもやっと箸をつけ始めた、そのとき。
「荒らされた?」
のりこさんがその言葉に引っかかったみたい。
「……あの……最近家の近くに、よくイノシシが山から降りてきて……その子たちが」
「最近か……」
「近くで異変が起きているかもしれないな」




