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終わりを告げるフィシクロニア  作者: 遅刻パン


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第十七話 安堵

 のりこさんとお昼に話した日の放課後。


 自然とみんな、教室に残って話をしていた。


「のりこさんキャラ違ったね〜」


 見た目は怖かったけど、私を助けてくれたときのイメージ通り根っこは優しい人だと思った。


 ほなみも噂とは違う雰囲気を感じたみたい。


「……うん、悪いことしてるようには見えなかったね」


「面白かったね〜」


 面白かった……それだけ見た目とギャップがあるから言いたいことはわかっちゃう。


 なんで金髪? 今度聞いてみようかな。


「喧嘩してるとか、本当にただの噂だったのかもね!」


「だね〜」


「……でも……私の家の近くで異変って言ってたの、ちょっと気になるな」


 イノシシや他の動物が山から降りてくるのは、ここ最近じゃ珍しいことじゃないけど、


 のりこさんが言ってたってことは、怪物と関係あるってこと?


「そういえばみのり〜、畑はどうしたの〜?」


「……うん、ぐちゃぐちゃになったから、次の休みに作り直そうかなって」


「え! 大変じゃない!?」


「……根っこが無事なのも多いし……畝を綺麗に直して植え直せば大丈夫かなって」


 大したことないならいいんだけど……。


「また荒らされたりしないかな?」


「……お父さんが空いた時間に柵の支柱立ててくれてるから……休みの日はネット張るだけかな」


「けっこう重労働じゃない!?」


「手伝いに行こうか〜?」


 ほなみ! ナイスアイデア!


「じゃあ、土曜日はみんなで畑直そうよ!」


 みんなでやれば作業も早く終わるし!


 それに、みのりの家も久しぶりに行きたいかも!


「……いいの?」


「やろ〜! みのりんちのフルーツ食べたいし〜」


「もしかして、それが目的!?」


 って言ったけど、みのりの両親がやってる果樹園や農園の作物は本当においしいんだよね。


 考えたら私もそっちに目的が流されそうになる。


「……ありがとう」

「……たくさんフルーツ用意しておくね」


「「やったー!」」


 その言葉を聞いて、私も簡単に目的が流されてしまった!


 食べ物は強い!


 こうして笑い合いながら、いつもどおりの日々は過ぎて、あっという間に土曜日になった。


 ◇


 ジリリリリリリリリリ!


 いつもどおり、学校の時間に合わせてセットした目覚ましが鳴り、二度寝することなく無事に起きた。


 今日は畑仕事だし、動きやすい格好がいいよね!


 前に探検……近所の森へ行くためにお母さんに貰ったベージュのツナギ。


 動きやすいし可愛いし気に入っちゃった!


 これにそれっぽい帽子を合わせて……。


「いってきまーす!」


 みのりの家に行くときはいつも、ほなみと駅で待ち合わせてる。


 なんだかちょっと新鮮だ。


 チャームは胸元のファスナー付きポケットに入れてある。


 のりこさんの言葉も少し引っかかっていたし、


 それに……。


 『あの怪物にこの町を壊されたくないからな』


 私も一緒だ。


 チャームの影響がわかったあとも外せなかったのは……無意識にそんな気持ちがあったんだと思う。


 今だって怖いけど、私にしかできないことがある。


 その力がここにあるなら、私は守る!


 見慣れた道を歩き、駅が見えてきた。


 そして駅前のベンチには見慣れたツインテールが座っていた。


「おはよー!」


「おはよ~、その服いい雰囲気してるね〜」


「冒険家スタイル!」


 手を腰に当てポーズをとる。


 やっぱりかっこいいよね!


「ほなみは……学校のジャージ!」


 ぶかぶかで指先がちょこんと出ている、これも見慣れたファッションだ。


「やっぱりこれが一番動きやすいから〜」


「えー? ぶかぶかで動きづらそうだよー?」


「ふふん〜、来年にはナイスバディになってこの服が悲鳴をあげる予定なんだぜ〜」


 卒業までにこのジャージがぴったりになることはあるのかな?

 

 そんないつもどおりの会話をしているうちに電車が来て、乗り込んだ。


 みのりの家までは十五分くらい。


 ガタゴト電車に合わせて揺れる、ポケットの中のチャームは少し居心地が悪そうに思えた。

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