第十五話 落とし物
1限目終了!
急げー!
チャイムと同時に三年一組へと走り出す。
休み時間短いし、早く行かなきゃ!
三年一組に着くと、ちょうど朝に声をかけた先輩が教室から出てきた。
「あっ! すいませーん!」
「あ……朝の子?」
覚えててくれたみたい!
「のりこさんどこですか?」
先輩はまた困った顔をしていたけど教えてくれた。
「黒岩さんなら、窓際一番後ろの角の席にいるけど……」
「ありがとうございます!」
教室に入り、角の席を見てみる……けど、
そこにのりこさんはいなくて、代わりに『金髪の怖そうな人』がいた。
窓際一番後ろの角って言ってたよね?
もしかして……偶然、同姓同名の人……?
そんなことを考えながら見ていると、『金髪の怖そうな人』と目が合った。
あ……。
そして席を立ち、私に向かって歩いてきた。
もしかして……やばいかも……?
「おまえか」
聞き覚えのある声にハッとする。
のりこさんだ!
無表情な顔。
キリッとクールな目付き。
よくよく見ると間違いなくのりこさん!
でもなんで金髪……?
「何かわかったのか?」
「いえ、今日は……」
ん?
気がついたら周りの注目はすべて、私たちに向いていた。
「ちょっと来てください!」
のりこさんの手を掴み、教室外へ連れ出した。
大勢の前で『魔法少女』なんて言えないし……。
階段の踊り場……ここでいいか!
「どうした?」
「いやー……ちょっと3年生の教室が落ち着かなくて……」
やっぱりのりこさんはヤンキーには……いや! 見えるんだけども!
「のりこさん、黒髪じゃなかったですか!?」
しまった! つい……。
「ああ……変身すると黒髪になるみたいだな」
そうなの?
もしかして私も色変わってるの?
「……じゃなくてっ!」
「のりこさんの知ってること! 教えてくれませんか!?」
「変身することとか……怪物のこととか……!」
友達が危ないかもしれないんだ……!
「知ってること……か」
「そうだな、私が――
その言葉と同時にチャイムが鳴る。
「あっ……!」
どうしよう……もう行かないと……。
そうだ!
「お昼休み!」
「一緒にお弁当食べませんか!?」
のりこさんは少し視線を落としたあと、
「わかった」
よかった!
「じゃあ、お昼休みに校庭の、一番大きな木の下で待ってますから!」
そう言い残し、急いで教室に向かった。
◇
「……大丈夫かなぁ」
お昼休み。
みのりとほなみとで、お弁当を広げてのりこさんを待つ。
みのりはずっとびくびく緊張してるみたい……。
「大丈夫だよ! 絶対そんな悪い人じゃないから!」
「噂は嘘だったってこと〜?」
うーん……そこまではわからないけど。
でも……!
「私のこと、助けてくれたのは本当だから!」
ほなみに話すかは迷ってたけど、私たちといる時間は多いしやっぱり聞いてもらうことにした。
「ふ〜ん……まあ今から来るわけだし、おもしろそ〜」
本人も楽しそうにしてるから……いいよね!
「それよりもうお腹すいたよ〜」
なんて、ほなみが駄々をこねだしたとき、校舎からのりこさんが出てくるのが見えた。
「こっちでーす!」
呼びかけに気づいたのりこさんが近づいてくる――
「……かほちゃん! ……リボン見て……!」
リボン?
みのりに言われて初めて気づいた。
「あっ!」
のりこさんの制服には、私が落として失くした青いチャームが付けられていた。




