第十四話 ヤンキー
学校の生徒玄関前。
私とみのりは鍵が開くのを待っている。
今日はなるべく早くのりこさんを探すために、みのりにいつもより一本早い電車で来てもらった。
のりこさんがいつ登校してるかわからないけど……先生とか、3年生の誰かに聞けば、どこのクラスかわかると思って。
鍵が開いて荷物を教室に置いてから、まず3年1組に向かってみると……。
一人の生徒が教室に入る直前だった。
「おはようございまーす!」
「あ、おはよう」
先輩は私たちに気づいて立ち止まる。
「すいません! のりこさんってこのクラスですか?」
「のりこさん……黒岩さんのことかな……?」
「あ! そうです!」
先輩は少し困ったような顔をして、
「黒岩さんなら最近ギリギリに来ることが多いけど……何かされたの?」
ん?
「い、いえ! ちょっと話聞きたかったので!」
「話? 黒岩さんと……?」
なんだか違和感があるな。
「教えてくれてありがとうございました!」
「また来ます!」
「……失礼しました」
のりこさんのクラスはわかった!
思ってた以上に早く見つかってよかった!
「……静かだね」
廊下を歩きながら、みのりがポツリと言った。
いつもより1時間以上早く登校しただけなのに、私たちだけ別世界に飛ばされたような孤立を感じる。
教室に戻ると……まだ誰も来てないみたい。
「……さっきの先輩、様子が変だったよね」
「だよね! なんか不思議な感じだったけど……」
「ギリギリに来るって言ってたし、一限目の休み時間にまた行こう!」
とりあえずの目的は終わったし、ちょっと安心したし!
今なら熱唱しても大丈夫だね!
次に入ってきた人脅かしてみようよ!
なんてことを話しているうちに、教室のドアが開いた。
「あれ〜? 珍しいね〜」
「あっ! ほなみ、おはよー!」
見慣れたツインテールの女の子が一番乗りで入ってきた。
「……ほなみちゃん、いつもこんなに早いの?」
「それはこっちのセリフだよ〜、どうしたん?」
たしかに、おかしいのはこっちか!
「先輩に話聞きたくてさ! 黒岩のりこさんって人探してたんだ!」
「へ〜、黒岩のりこさんってたしか、すっごいヤンキーの?」
「「え?」」
あ、みのりとハモった。
ヤンキー?
「知らないの〜?」
「毎日のように他校の生徒とケンカしてるとか〜」
「注意した先生に暴力して先生が何日か休んだとか〜」
「そういう話、いろいろ有名だよ〜?」
全然知らなかった!
たしかに目つきとかちょっとキリッとクールだったけど……そんな人には見えなかったけどな?
そういえば、さっきの先輩の様子……おかしかったのってそのせいかも?
「その人に用ってもしかして、かほもなにかされたとか〜?」
「ち、違うよー!」
ほなみには魔法少女のことは言わないほうがいいのかな……?
「んー、ほら! 最近私、ちょっとぼーっとしてたでしょ?」
「その話だよ!」
「あ〜…… って、やっぱりなにかされたん?」
「違うよー!」
でも、今の言い方だとそう聞こえるか……?
ふと横を見ると、みのりがガタガタ震えていた。
「……かほちゃん……私ちょっと怖くなってきた」
「大丈夫だよー!」
大丈夫……だよね?
「そんな怖い人じゃない……はずだから!」
今の話聞いたらちょっと不安になってきた……。
どうしよう……。
「うーん……じゃあ1回、私だけで話にいって確認してくるよ!」




