第十三話 動物
「おはよー!」
「おはよう」
一日ぶりに駅でみのりと待ち合わせる。
無事に顔を見れて、なんだか安心した。
昨日、みのりの身になにか起きたんじゃ……って思ったんだけど――
『うん……実は……家の庭の畑がイノシシに荒らされて、ショックで倒れてたみたいなの。』
――それで気持ちが落ちすぎて休むことにしたみたい。
「あの畑、毎日すごく頑張ってお世話してたもんね! こらしめてやらなきゃ!」
「ううん、育てた野菜が誰かに……イノシシでも、食べてもらえたわけだし、もういいの」
みのりは少し寂しそうだけど、笑顔でそう答えた。
「それに、森に食べ物が少なくて仕方なく下りてきたんじゃないかって、お父さんも言ってたし……」
「でも、よくわかったね? 私が襲われたわけじゃないけど……襲われたの?って聞かれてびっくりしたよ」
「あー……そ、それは……ほら! 熊とかイノシシとか、最近よく聞くから!」
咄嗟に誤魔化しちゃった……。
『私は怪物に襲われたからさー!』なんて言っても急には信じられないだろうし……。
それに、実際今年になって野生動物がよく人里に下りてきてるらしい。
学校でも注意して登下校するようにって言われてる。
「たしかに……お父さんの農園でも何回か来た形跡があるみたいだし……イノシシはもう毎日のように見るって」
私のこと、ちょっと不思議そうに見てたけど、なんとか誤魔化せたかな?
だけど。
チャームのこと、言わないわけにいかないよね。
何かあってからじゃ遅いし……。
私は、うん!と、うなづいた。
「みのり、今日の放課後、話があるんだ!」
◇
学校はいつもどおり、何気なく過ぎていった。
2人で駅へ向かいながら私は話し始める……うーん……なんて言おう?
「……私が魔法少女だったらどうする?」
話題、間違えたかな?
「魔法少女……? んー…… 羨ましい……かな」
「えっ!? なんで!?」
「えー? やっぱり強いし、可愛い衣装に変身できるからかな」
私の衣装は……そんなに可愛くないかも……?
「でも敵と戦うの、みのりは怖くないの?」
「たしかに自信ないかな…… 昨日もショックで……倒れたし……」
そう言いながらわかりやすく落ち込んでしまった。
落ち込むみのりを励ましながら歩いていると、駅に着いてしまった!
しまったー! しかも話の目的がズレてきてる!?
「じゃあ、また明日ね」
「え! ちょっと待って!」
まだ一つも話せてないよー!
するとみのりも思い出したように、
「あ、そういえば…… 話したいことがあるって……何かあったの?」
「あのね!」
「えーと!」
「私!本当に魔法少女になったの!」
勢いで言っちゃったけど……これじゃ、さっきと同じだよー!
……。
「嘘ついてるわけじゃなさそうだけど……どういうこと?」
「このチャーム作ってきた次の日、私ぼーっとしてて……心配してくれてたでしょ?」
あぁ……とみのりはすぐに思い出したみたい。
「うん……あの日のかほちゃん、見たことないくらい元気なくて…… ほなみちゃんも『地球滅亡の予兆』って言ってて……」
とんでもないことになってたのは一旦置いといて!
「あの前日に森で大きな怪物に会って……怖くて動けなくて……助けてもらって……」
助けてもらって?
……あ!
のりこさん! また探すの忘れてた!
でもそうだ! のりこさんに会いにいけば……!
「大きな怪物って……熊じゃ――
みのりの言葉を遮るように、
「明日! 一緒にのりこさん探してほしい!」
「えっ……のりこ……さん?」
「学校の先輩! そしたらきっと全部わかる!」
みのりは戸惑ってたけど、少し考えてから、
「うん、わかった。 ……変身はまだ信じられないけど……」
「その人に会ってわかるなら…… 一緒に探すよ」




