第十二話 不安
「いっけなーい!遅刻遅刻ー!」
まだ半焼けのパンをくわえたまま家を飛び出した。
のりこさんが帰ったあと、私は変身から戻るために――
◇
チャーム……胸の宝石に手を当ててみた。
これまでを振り返ると、やっぱりチャームが変身の原因だったから。
「戻って!」
って強く気持ちを込めて、お願いしてみる……
「……あっ!」
元の姿に戻っていた。
気持ちの問題なのかな?
もう一度変身してみたら……
と思ったけど、もし戻れなかったら困るし……
そんなことを考えながら、帰路につく。
家に帰ってご飯食べたり、お風呂入ったり。
何をしてても、このことが頭から離れなかった。
……この石が、なにかを伝えようとしてる?
石の奥から感じた、あの苦しみ、悲しみ。
やっぱりあれは……。
「怪物と同じ……」
それと、モヤが流れていった先はどこなんだろう?
行き先がわかった怪物は、苦しまなくなって穏やかになってた。
だから、また違うところへ暴れに行ったってことはないと思うけど……。
「あの場所が嫌だったのかなー?」
うーん……。
◇
「うーん……」
休みの間ずっとそんなことを考えて、あんまり眠れなかった。
家を飛び出してからも、遅刻しそうなことも忘れて……ってそんな場合じゃないよね!
食パンを詰め込むように食べ終えて、また必死に走り始める。
駅に着くと、電車はホームに到着していた。
「はあ……はあ……」
息を整えながら、親友の姿を探す。
「いない?」
先に行ったのかな?
そう思い、スマートフォンを見てみる。
『少し体調悪いから、明日は学校休むね。』
……あっ!
受信時間は昨日の夜。
思えば、ずっと考え事ばかりで通知をまったく見てなかった……。
『ごめん!全然見てなかった!』
『大丈夫?』
急いで返信すると、返事はすぐ返ってきた。
『大丈夫だよ、ありがとう。』
『もしかして、また寝坊したんじゃない?』
さすが親友……。
『口の周り、見ておいてね。』
口周りを触ると、手にはジャムが付いていた。
え……どこかで見てる?
『超能力者なの?』
そう返信し、お手洗いでジャムを落としてから学校へ向かった。
◇
「今日はちょっと寂しかったね〜」
今日の授業が終わり、ほなみと校門まで歩く。
「うん、でも病気とかじゃないみたいだし、良かったよー!」
みのりとは休み時間に何度か連絡をとったけど、風邪や事故でもなく、本当になんでもないみたい。
じゃあ何があったの?って聞いてみたんだけど……。
『んー……たいしたことじゃないから。
明日言うね。』
……って。
なんだろう?
「でも今日のかほ、面白かったよ〜」
「それはもう言わないでー!」
今日一日、いつものように隣にみのりがいると思って、何度も誰もいない空間に話しかけてしまった……。
恥ずかしい……。
思えば入学から今日まで、私たち誰も休んでなかったな。
校門に着く。
「じゃあまた明日!」
「またね〜」
ほなみと別れ、そのまま1人で歩き出す。
その帰り道は、いつもより時間がちょっと長く感じた。
駅を過ぎ、商店街を過ぎて。
「あっ!」
初めて変身した、あの森の入り口を見て思い出す。
「のりこさん探すの忘れてたー!」
みのりが休んだって衝撃ですっかり忘れてた……。
私って鈍い……というか危機感が無さすぎなんじゃ……。
また、いつ怪物が出てくるかもわからないのにー!
それに、のりこさんも変身してたってことは、このチャームと同じようなものを持ってる……?
なんか詳しそうだったし……同じ服だったし……。
「あれ?」
ふと頭をよぎる。
みのりが休んだのって、この石と関係してる?
プレゼントしたチャームは、私のものとまったく同じ材料で作ってある。
何もないって言ってたけど……心配かけないように隠してるのかも!?
スマートフォンを取り出し、慌ててみのりにメッセージを送る。
『みのり! もしかして、何かに襲われたりしてないよね!?』
返事はすぐ返ってきた。
『うん……実は……――




