青年期24
半年以上ぶりに帰宅した我が家は、甥と姪に占拠されていた。奴らのギャン泣きには勝てん。
そもそもが家で暮らした時間より、教会で暮らしてた方が長かったと思い、そっちで暮らす事にした。
妹夫婦は申し訳無さそうにしてたけど、寝る場所が有れば良いと教会に塒を移す。改めて教会の方に宿舎兼宿坊みたいのを整えて、そこで寝泊まりすれば良いやと思いつく。
「大工さーん、ちょっとお願いがあるんだけど!」
大工さんに発注したら、暫くは住居の建築が続くとの事だったので、暇になってからで良いと諦める。
うーん、何か噛み合わないなぁ。
仔馬を従えて、馬小屋に行き、群れの仲間を紹介していく。ここがお前たちの新しい棲家だ。そうやって安心させるために、今夜はコイツらの側で寝る事にする。ゴルもハルも近くに寄せて、帰りの道中と同じ様に1人と4匹で休む。
コイツらが大きくなる頃、ここはどう変わってるんだろう?
その事を想像してみるけど、何故か上手く想像出来なかった。
農地が広がり、人が増え、研究もある程度形になり…
「あぁ、そうか。俺は今回ここを出る時、帰ってくる事をあんまり考えてなかったんだ。俺は今、ある程度満足してるのか…」
俺も所詮は勇者君と同じ穴の狢ってわけだ。
勇者君は冒険RPGをこの世界の根幹に置いて活動していた。
俺は都市開発系をこの世界の根幹に置いて活動していた。
彼らの結末は何処にあるのだろう?俺の結末は何処なんだ?
魔王を倒す程強くなっても、水に困らない広い農地と立派な家ができても、物語は終わらずに続いてく。
ここに来て、俺は初めて深刻な悩みに直面しているのかもしれない。最初期はある程度、力技で解決出来ていた。でも、それもここで行き詰まった感じだ。それだけじゃ無く、行き詰まった結果に納得して、満足してしまってる。
現状の持てる手段と資本で、過去の村よりも遥かな発展を遂げさせた結果、これ以上は俺個人の力でどうこうできない処まできた。これ以上を求めるなら社会と文明の成熟を待たないと無理だろうな。
鉄の鍋釜を重宝している様じゃ、これ以上の発展なんかはちょっと無理筋に思える。
馬達を撫でながら更ける夜に、俺は初めてのコッチの世界での行き詰まりを感じていた。
漠然とした不安を紛らわせる為に抱きしめた仔馬は迷惑そうにしていたけど、その高い体温がいつしか俺を眠りに誘っていた。
村に帰ってから、暫くぼんやりした時間が続いた。
その間に、広がり続ける農地に対応する為の水場の開拓や井戸掘りなどが起きた。しかし、過去にあれ程苦労したイベントが起きても、何年も掛けて苦労する事なくすんなりと物事が進んでいく。
人も育ち、専門職もそれなりに増えた。補修や建築に口や手を出す事もめっきり減り、いよいよ準備が整った。
村に帰還して悩める夜を過ごしてから5年の月日が経っていた。




