青年期14
「皆さんからアルスさんの評判を聞いても、結局わかりませんでした。アルスさんてどんな人なんですか?何したんですか?」
おう、君は相変わらずメンタル強いね!
この空気の中でも続けるんかい。嫌いじゃないけど、そういう空気読み出来ない所が周りと馴染めない原因だとお兄さん思うな。
「どういう人かっていうなら、生い立ちからになってしまうな。まずはこの耳を見てくれ。皆から笹耳と呼ばれてるこの耳。そして成長してからは容姿もだが、両親とは余り似ていなくてね」
勇者君は「まさかエルフ⁉︎それともハーフの方かな⁉︎」とか言ってるけど、その種族はまだ邂逅してないんだよね。何で君は知ってるんだろうね?
「エルフとは何だね、ケイン君?君はまた何か知ってると言うのかい?言動が怪しかったり変な知識を持ってたりと…君は興味深いね…また後で少し話をしようか…」
ヤバイやつに捕まったと思った?君が勇者とか言い出した時点でロックオン済みだから、今更だよ。
「それはともかく、こんな形だから、父親とは折り合いが悪くてね。早くから独り立ちの準備をする様になってな。商人の伯父の伝手を使って、前回の氾濫討伐に潜り込んだ訳だ。そこで抜け駆けして得た力で、村を開拓したんだ。今から10年とか15年前の話か?」
「ガキじゃん」とか呟く勇者君を抑える弓幼馴染さん。おう、ガキやってん。なんか文句あるんけ?
「ガキで、しかも悪ガキだったのは確かだな。セシルちゃんのお父さんにも怒られたよ。そりゃそうだな。俺がケイン君を見てると怒りたくなる気持ちになるから、良く分かるよ。セシルちゃん、お父さんに悪ガキも大人になってますって伝えといて。あと、その節はご迷惑をお掛けしましたって」
俺の言い分にようやくセシルちゃんが納得したって顔してる。そうです、目の前のこの問題児はタチの悪さでは上だけど、過去の自分の所業に似てるんです。だからまぁ、面倒くらいは見てやろうかなと。俺がお父さんに御免なさいを伝えて、とお願いすると、笑っていた。
「所で、アルスさんは神の敬虔な信徒ですとか。私は光と秩序の神様を信仰しているのですが、先ほどのお話の中で少し聞き捨てならない話があったのですが」
「あぁ、教義の違いですね、秩序の子よ。俺は天秤の子なので、その手の話は不毛です。貴方は貴方の信仰を捧げれば良いじゃないですか。俺は俺の信仰を捧げていますので」
「神官が金貸しなんて…そんな悪徳を教義の違いで片付けるなんて…信じられません!そんな事は神がっ」
はい、プッツン‼︎殺す‼︎
「おい、そこの弓女。この女を黙らせろ。目障りだ。おい田舎者、警告だ。人が少ない閉塞的な田舎ならそれで通用したが、人の多い街でソレをするとどうなるかを教えてやる。先ずは指を落とす。それでも分からなければ腕を落とす。最後は首を落とす。女、我が教義に何か疑義が?」
「何ですか、そのものイィぃぃぃぃぃ!」
「「ナタリー‼︎」」
「警告だ、次は腕だ。まだこの不毛な会話を続けるなら容赦なく腕を落とす。我は天秤の子。秩序による過度な干渉を拒む」
手を抱えて泣き叫んでる女をゴミを見る目で
「良いか?この不毛な会話の先には己の譲れぬ教義を賭けた争いしか無い。だから不毛なんだ。絶対に調和しない。消えるか消すかしか無い会話を挑もうとしていた事は理解したか?だから俺は避けたのに、突っかかってきたのは思慮か教育が足りないからか?ならコレは、貴重な学びの機会だったな女!我が神の教義を愚弄した報いで、良い学びを得たな‼︎」
幾人かの村の衆以外、ドン引きしてる。セシルちゃんも引いてる。
引いて無いのは、割りかし年嵩の野盗襲撃を目撃した奴かな?
「どこまで話したっけか、ケイン君?そうそう、魔法の力を得たとこらだったかな?」
泣き叫ぶ女を無視して会話を再開しようとしたら、こいつ本気か?って目で見られた。本気ですよ?




