青年期13
「アルスさんってどう言う人なんですか?」
勇者君と幼馴染がウチの連中と会話してる?
村の連中に差し入れを持って行こうとして歩いていたら、休憩場所の方から面白そうな話が聞こえてきた。風ちゃんナイスー。
少し隠れて話を聞いてみよう。セシルちゃん、少し待っててね。ジェスチャーでセシルちゃんに待ってをする。盗み聞きしちゃうぞー。
「アルス兄か?うーん、なんだろ、うーん…変人?」
「ひでぇ言いようだけど、それが一番しっくりくるのがなぁ」
「おい、お前ら。アルス兄に聞かれたら、また変な仕事に付き合わせられるぞ…」
変な仕事ってなんだよ。実験って言え、実験って。
「いや、アル兄ちゃんは立派だろ。あそこまで村を大きくしたのって、ほとんどアル兄ちゃんの力だろ?村を整えて、農地も滅茶苦茶広げたし。下手なお貴族様より土地持ちなんじゃないか?」
「もうただの農家とは呼べないんは確かだな。神父さん?金貸し?石工?村の顔役だってのは確かだけど、本人に自覚が薄いというかな」
幼馴染の神官ちゃんがピクリと反応した。
「なんでもこなせて、やっぱりアルスさんすごいじゃんか。皆んな何が不満なんだよ」
「そうなんだけど、そうじゃ無いんだよなぁ…言葉にするの難しいな…功績が足して引いたら、トントンに収まる評価なんだけど、やってる事が大きいって感じか?」
「あー、それは分かる。凄い行動力出したかと思ったら、身の回りの事が全然出来なかったり」
「凄い功績を残したかと思ったら、違法スレスレの手段でやってたとか、村長も言ってな」
そうね、お馬ちゃん捕獲とかスレスレってか完全に狙ってヤッタ感じだしね。
「よくそんな感じで彼の事を慕えますね…ちょっと分からないです」
勇者君の疑問はごもっともですわ。
「アルさんは悪い方じゃ無いですよ。器がデカいだけです。俺らじゃ計れないデカさの器なだけですよ」
「本人がよく言ってるからな…『俺は天秤の神様の信徒だから、いい事と悪い事の天秤を吊り合わせてる』って」
「そうだな…敬虔な信徒ではあるんじゃないかと?良く神様!って祈ってるし。大体は歯車関連で成功した時か失敗が続いてる時だけど」
俺は敬虔というか、歯車に狂ってるんです。神の回転に魅せられてしまったんだ…
「信心深いからか、結婚に夢でも見てるのか?あの人女っ気が全然無いよな。妹のカミラさんくらいしか影もないもんな」
「ウチの姉さんが、アル兄の気を引こうとした時も全く相手されてなかったな。神の真理とか呟きながら、脱穀機弄ってたって言ってた。あの人、顔は良いんだけど、色々おかしいからな…」
「俺の妹もアル兄を狙ってるって言ってたな。大富豪夫人の座についてやるって息巻いてたけど、あの変人の恋人って歯車だろ。もう添い遂げてるって諭したわ」
そうなんだ?研究の興が乗ってくると、周りが全く見えなくなるからなぁ。
勇者君は勇者君で「シスコンか、なら大丈夫かな?」とか呟いてる。
「洗浄機の時は酷かったな!毎回改造しては頭掻きむしって失敗してを繰り返してたしな!それこそ恋人に振られたみたいな有様だったよ!あの時は笑った、笑った‼︎」
「横で働いてた女衆に白い目で見られながら発狂してた、アレか。あれは確かに笑ったな!」
セシルさん、目が冷たくなってきてますよ?
「でも、便利になったのも村が豊かになったのもアルスさんのお陰なのは確かだろ?あんまり悪く言うなよ、俺は凄い人だと思ってんだ。気分悪くなる」
「そうだな、アル兄は凄い人なのは確かだ。でも凄いダメな人でもある。だから変人だな」
彼らの話が一段落した所で、顔を出す。「面白い話を聴かせてもらった」と。
みんなの慌てふためく姿や若干恥ずかしげな姿に笑みを浮かべながら、もっと聴かせろと絡みに行くのだった。




