青年期9
時は少し遡り、説明が終わって、村の連中と別れて砦を歩いている。村の連中は冒険者隊に預けられ、そっちで寝泊まりする。タコ部屋で雑魚寝みたいな暮らしらしい。ガンバレ!
一方俺は、隊長(将)の従者と思われる少年兵っぽい子に案内してもらっている個室。魔法兵様様だぜ!
「ここが貴方の部屋になります。氾濫が始まったら砦に拘束されますが、極力回復を邪魔しない様に休める部屋ですので、音が聞こえ辛い仕様になっています。緊急時には私が呼びに来ることも有るかと思いますので、お見知り置きを。また、父が軍議などで対応できない場合は私が言伝を預かります。申し遅れました、私は貴方が隊長と呼ぶマルクの子セシルです」
ちょっと甲高い声で説明を受けて、驚いた。隊長さんの子じゃったか…
「これはご丁寧に。俺はアルスと申しまして、前回の氾濫で隊長さんの部下だったんですよ。そのご縁で以前から良くして頂いてますよ。セシルさんは迷宮には潜って居られるので?それとも今回が初陣で?」
「私は今回が初陣になります。ここで何か有用な力が手に入れば嬉しいなと思っております」
「初陣ですか。セシルさんは壁上での弩がメインで比較的安全になるかと思います。でも、前回は最終的に壁を登り、あわやな展開も有りましたし、壁を飛び越える様な魔物も出ました。絶対の安全は無いので、気をつけてくださいね」
和かにセシル君に対応したけど、隊長には思う所が出て来た。隊長め、俺に護衛も兼任させるつもりだな。知らない仲でもないし良いんだけど、あんた部将になってんだから、部下に目ぼしい奴おらんかったんかい?
倅を任せるって言えば、喜ぶ奴なんていくらでも居る立場だろうに…
隊長は後で詰めるとして、伯父さんに砦で缶詰になるって伝えておかなきゃな。
あとは教会にお邪魔して、大司教様に顔でも見せに行くか。
街に戻り、ゴルとハルの事を一度伯父さんに頼み、砦に詰める事になると報告。差し入れよろしくね。
教会へ行って、大司教様に挨拶をしようとしたら3年前に他界されたと知らされ、街に来て一番のショックを受ける。コッチで腰を落ち着かせたら、そう思っていたのに…
墓前に訪れた、真摯に祈りを捧げて墓地を去る。案内をしてくれた老爺も目を細めて喜んでくれた。最高の手向けになったと。何がとは言わない。
一度、天秤を里帰りさせてあげようかと思っていたと、老爺に話したら、それは在るべき所に在るから持っていなさいと言われた。畏まりました、老師。
なんだろう、すごい説得力というか言葉に重みがあると言うか。老師感が滲んでる。たぶん、隠居した凄い人だろうな。詮索はお互い無しでお別れした。
あぁ、言ってなかったけど長期に村を空ける予定だから、最終兵器は持って来ていますよ。これは確かに俺の元に在るべきものだ。そういう感覚がある。
また伺わせていただきますと、老爺に挨拶して教会を後にした。
村の諸事から解放されたので、真理の探求に割ける時間も増えるので、ここは一つ奮発して金床と金槌、ヤスリに金属塊を購入して研究資料を揃える。
村から飛び出した俺の冒険はこれからだ‼︎




