少年期48
難産&昨日の限界チャレンジで遅れましたわ
「つまり、こいつらの拠点は足元にあったってことです。なんなら迷宮で賊行為をしてるかも知れませんね。襲う事に手慣れている感じがしました」
隊長に尋問済みの情報を共有する。別に好き好んで引き返してる訳じゃ無くて、聞き捨てなら無かったって事ですよ。お分かり頂けました?
「その情報の信憑性が拷問の果てだとなると、非常に疑わしんだが?場合によってはお前をこそ拘束しなければならない」
あー、そうなるか…そっちに疑惑が行っちゃうのか…襲撃された事自体を疑われ始めてるのか、これ。襲撃自体は事実なんだけどなぁ。罠をかけて待ち構えてはいたけど。
前提条件が『知ってる』から始まってる俺と、現在調査中の隊長じゃ見えてるものが違うからな…
「勘弁してよ、隊長。俺がコイツら襲っても何の益も無いじゃん。むしろ樽と塩の代金、それと治安維持の報酬を請求するわ。あと隊長に侮辱されたんで、そこに色を付けてもらいます!ポケットマネーでお願いします!」
「拷問で強要された自白に、信憑性が無いって話なんだ。証拠が証拠足り得ない。もし明白な証拠が無ければお前を拘束する」
「隊長の言う証拠って、どこまでが証拠になるかな?一応証拠は出せるけど…隊長は奇跡を信じる?俺が出来るのはね、俺が嘘をついてないっていう『悪魔の証明』じゃなく、『神の御技の奇跡』なんだ」
突然何か言い始めた俺に、怪訝顔な隊長。
「とりあえず証明するよ。隊長は他の部隊の皆んなでも呼んできて。それで適当な事を皆んなに言わせてみてよ。それで判断して貰うね。まぁ端的に言って、俺って嘘が見抜けるんだ。そんなスキルが有ると思って」
半信半疑ながら始められた質疑応答だったけど、段々皆んなの表情が変わってきた。コレは本物じゃないかと思ってくれるようになったのかな?そんで、ある時からこの尋問の対処法が確立されてきた。質問された時に、それは顕著に現れるようになった。
「黙秘する」
はい、そうです。これをされると、真実か嘘かが分からないんだわ。
「隊長、そろそろ良い?で、この黙秘をされちゃうと真実が見抜けても宝の持ち腐れなんだよ。襲われて犯人確定してるこっちとしては、後は如何に聞き出すかだけなんだよね」
言わんとしてることが分かって、隊長は渋い顔ですわ。
「全部本当の事喋ってたら、あそこまでにはならなかったんだよ?喋らなかったり、嘘を咎めたらアレになったのよ。一応ちゃんと警告もしてるし」
「それにしても容赦が無いな…」
何言ってんだこの兵士のオッサン!頭沸いたか⁉︎
「多人数で、コッチを殺して、全てを奪おうとする奴に!容赦と⁉︎それで被害が出たら誰が助けてくれますか⁉︎俺は自力救済しただけだ‼︎流石にその発言は見逃せねーよ!」
隊長が執りなしで事なきを得たけど、俺は悪くないぞ、絶対に。
「そんな訳ですから、私は無罪で、敵拠点はトゥールと。今回の報酬と塩と樽代を下さい。村に荷物を早く届けたいので、ここで隊長に引き継いでもらえれば、俺も楽なんで」
「分かった分かったお前のとこの村はここから二つ先の所だったか?」
濡れ衣も晴れ、何とか無事に帰れそう。良かったわ。
「そうですよ。じゃぁ出すもの出して頂きましょうか?」
隊長に手を突き出して、報酬の催促。タダ働き回避でニッコリですわ。
「今は手持ちが無いから、後日、事の顛末と共に持って行かせる。お前もだいぶ巻き込まれただろうし、結果は知りたいだろう?」
「えぇ、それは知りたいですね。ですけど、隊長。報酬…というか対価を私は求めます。せめてそこの生残りの分は絶対に」
途中から雰囲気が変わり始めて戸惑う隊長。すまん、これは俺自身でも制御出来ないんじゃ。
手荷物袋から天秤を出し、コトリと置く。
「神の名の元、契約は為されてます。命に見合う対価を」
天秤は平衡しておらず、僅かに傾いていた。




