少年期42
馬具を求めに商会を訪ねると、ビビりまくられた。
何なら街歩いてるだけでもビビられた。馬体がデカいのもそうだけど、馬鹿が悪魔顔してビビる通行人見て喜んでたからだ。ヒヒーンじゃねーんだよ。ケツ叩こうとしたら尻尾であしらわれるし。
俺たちの掛け合いを見て、危険じゃないと思った好奇心旺盛な子供には、優しくハムるサービス精神まで発揮して、なんか負けた気分を味わった。
それはさておき、馬具を見せて貰うけど、やっぱりスケール感が違い過ぎてベルトが全然納まらない。お前ら最低二回りはデカいもんな。
なので既製品は無理なので、調整がいるとのこと。
鞍とか何種類もあるのね。少し乗って試してみても?
あー、コレはまぁまぁ。次は…あ、コレはだめだわ。俺の俺がフィットしない。コレだけはダメだわ。次は…
幾つか乗って、長時間乗れそうなフィットする物を選ぶ。ちょっと余裕を持たせたかったけど、使ってるうちに革も小慣れてくるでしょ。
よし、これをゴルに乗せて試してみるか!
おい、ゴル!ちょっとそこに座ってろ。コレ乗っけて、試しに乗ってみるから。立つなよ?フリじゃねぇからな?
股が痛い‼︎股に力入れて、馬体を挟め?デカ過ぎて力が入らん!プルプルして来た!そもそも足おっ広げるようなデカさの馬体ですよ、コイツ?体が成長すれば良い?今すぐは無理じゃないですか⁉︎慣れろ?はい…
馬具…どうしよう……
潤沢な革細工とか街じゃないと手に入らないのは分かるんだけど、コレ、今いるか?
あー、悩む。でも欲しいっちゃ欲しいんだ…
少年心でカッコイイに憧れるじゃん?馬体に立って、槍とか振り回したり…そういうのが良いんだよ。分かる、店員さん?でもコイツの馬体見てよ、俺のこの格好。無理じゃね?踏ん張れなくね?
「そもそも馬上で槍は振り回せないだろ。馬上槍は突撃だ。なんだ、その盛った与太話は」
「現実見せんなよ!子供には夢見せろよ!」
「子供に厳しい現実を見せるのが、大人の勤めだろ。騙して売られるより注意を促すおれは、よっぽど良い大人だと思うんだけどな…」
「英雄譚みたいに出来るかもしれないだろ!こう…カッコよく!」
腕を振り回したらゴルにバチンと当たった。迷惑そうにゴルが見てくる。
「それが答えだ」
はい、ごもっともで。
おい、じゃあどうすんだよ。カッコイイって購入意欲も薄れてきたぞ。
たぶん乗馬すれば歩くより早い。その代わり、歩くより疲れそう。使う筋肉が違いすぎるんだわ。慣れれば良いけど、慣れるほど馬に乗るのか?って疑問が…
俺が最初の勢いを失い悩み始めたから、セールストークが始まった。
いや、分かるのよ利点とか。それ考えて見に来てるんだから。でも、座った状態でコレよ?既に上手く乗れないのに、走らせたら飛ばされるんじゃない、俺?
他の馬に使えば良い?それなら既製品でいける?
ウチにはこの馬体の馬しかおらんから困っとるんじゃ‼︎コイツだけじゃなく、他のもこの馬種なんだよ!
最終的には買うことを決めた。研究資料と割り切って。




