少年期37
「ごめん、なんか出掛けに変な空気になっちゃったね。」
「いや、そんな事ない!それにまさかジェフが…」
ジェフって言うのね。あの闇落ちしてる子。たぶん人ヤってるよ、あいつ。
住んでるって言ってた辺りに、縛り上げて面通ししに行ったけど、アイツを誰も知らなかった。
そうだろうね。今もコッチを伺ってる奴がいるって風が囁いてる。
アイツは偵察でここに潜り込んできた斥候だろうね。
「ネロ兄、落ち着いて聞いてね。アイツは絶対に人を殺してる。だから見せしめで吊るすか、最低でも片腕は切らないといけない。それに今もここを見張ってる奴が居る。毅然とした態度が必要だよ」
ここは平和な農村なんだけど、やっぱりこういうのが偶には出ては来る。道中の俺を狙いたかったのか?荷馬車の数が減れば、馬の数も減るから、荷物の入れ替えじゃなくてそっちが不服そうだった?潜入していて降って湧いた幸運に馬脚を現した?
俺が狙われる分にはどうとでもするけど、出発前に気付けて良かった。俺がいない間にここが狙われてたらと思うと、腑が煮えくりかえってきた。ゴミ掃除してから出るか。気付けてラッキーだったな。
「仲間はどこに居る?」
「何言ってんだよ!俺が何したって言うんだ!」
「仲間はどこに居る?」
まぁ分かってるけど。
「おい、お前、頭おかしいのギャアァァァ!」
「仲間はどこに居る?」
上半身を縛っていた蔦ごと肩からポロリと落ちた右腕が転がる。続けて傷の断面が焼けて止血される。ジェフは白目を剥いて気絶したけど、顔面を蹴り上げて叩き起こす。
「仲間はどこに居る?言えば楽に死ねる。言わなければ、寸刻みで死ぬまでコレが続く。仲間はどこだ?」
ジェフが適当な方角を残った腕で指し示したので、左足が膝下から転がった。そしてすかさず焼かれて止血。また泡を吹いて気絶したので、また気付をする。
「天秤に偽りは無く、言動に偽りあり。我が天秤は真実を計ると心せよ。自由を標榜する者よ、その自由を行使するに対価あり。天秤の片側に載せたのが他人の命ならば、もう片側には自らの命が載るのが自明の理」
「仲間はどこに居る?」
離れたところにある茂みを指す。
「真実なり。しかしまだ軽い。仲間はどこに居る?」
そこに目掛けて風ちゃんがスパッとやる。血飛沫と悲鳴が上がる。皆んなが駆け出して、捕縛に動くけど、たぶんG18になってるぞ。そんで、それを見ていた他の4人の強盗が逃げ出す。
無理なんだけどね。はい、スパッと。
「6人で全てか?」
ジェフが怯えた目で見てくる。仕方ないじゃん?そっちが仕掛けた事じゃん?返事しないから指が飛んじゃうじゃん。
「6人で全てか?」
泣きながら頷くジェフ。その首が落ちる。
「天秤は計量を終えた。此度はこの6名の命で贖われた!神の名の元に公正なる裁きであったと、天秤の使徒アルスが名言する!」
あー、後始末がだるいな。皆んなは怯えてるってより純粋に驚いてる?畏怖してる?
そりゃいつもの緩い雰囲気が全くない、神気すら纏ってるだろうからね。聖者に職業変えると雰囲気も思考も神職に引っ張られ過ぎるんよ…偉そうになり過ぎる……
死体集めて焼いたら、首持って街で検分しなきゃだ……塩漬けしなきゃだ…
首と旅とか聖者のメンタルじゃないと泣きそう




