少年期36
「待て待て、いきなり過ぎる。せめて荷馬車1台は置いて行ってくれ!」
ネロ兄が俺の奇行に振り回されるのはいつもだけど、荷馬車は俺のなんだが…
まぁ良いけど、お土産減るかもしれないからね!
せっかく積んだ荷物だけど、積み替えてもらう。もーしょうがないにゃー。
荷馬車の積み替えをさせてると、凄い不平そうな子がいた。あんま見ない子。生理的に受け付けない気配がバンバンする。
「ネロ兄、アレは誰?見ない子だけど」
「あぁ最近こっちにも顔出すようになった、川の方に住んでる奴だ」
「凄い不服そう。教育しといて。それかクビで。ウチにはいらないから、使うならネロ兄が責任持って使って。今のままじゃ俺はいらない」
なんだこのガキ、と食ってかかろうとする見かけない青年の足を土ちゃんが埋める。すかさず、草ちゃんが足を縛り上げ、転けそうになって手をつく。その手を更に土草コンビが拘束する。腹這いに拘束された奴の髪を掴んで顔を上げさせる。掴んだ手がぞわぞわしてくる。絶対何か変!
「ネロ兄、コイツは俺の仲間じゃ無い。おい、お前、今お前が見てるここはちょっと前まで何もなかった。そこを俺が拓いて、ネロ兄が来て、皆んなが来て…やっと今があるんだ。後から来て不満しか無いんだったら帰れ。お前が見てるここの殆どは俺のモノだ。皆んなの力で支えられてるけど、俺も皆んなを支えてる。家族だと。でもお前は違う。美味い匂いにすり寄って来ただけの駄目な奴の匂いがする。いや、この感じはそれ以上だ」
仲間が突然攻撃的で饒舌になった俺に驚いてる。まぁ、普段俺はぼんやりしてたり奇声を上げてたりで変人だと思われてるからな。仲間内で力を見せて尊大に振る舞ったこともない。いつも皆んなのダメだけど憎めない弟ポジ。そんで気付いたら皆んなを巻き込んでなんかやってる、そんな感じだった。でも今は違う。
神々しくもある裁定者の雰囲気が滲んでる。祈りの聖句を短く唱え、じっと奴の目を見る。アウトだな。相入れない感じがビンビンだ。
「ネロ兄、やっぱり前言撤回だ。コイツはここに入れてはならない。ここの主人として命じます。ここで使い続ければ、近いうちに後悔する事が起きます。生家へ確認を。嘘をついている可能性もあるので、面通しをした方が良いかも。それと凶状持ちかの確認も」
なんでバレたみたいな顔してるヤバ男。そりゃバレるわ。
「ここは天秤の治める地。過度な秩序も自由も許容しない。お前はここでこのまま拘束する」
断固としてお断りな奴や。聖印を切り、激ヤバ寄りの闇と自由の神の信徒を締め上げる。
この地は俺が守護る!
私、コレでも聖痕持ちの聖者なんですよ?




