少年期27
季節は冬、俺はもう諦めていた。
外はもう少ししたら暗くなり、梟が狩りを始める時刻になる。小屋の側面に巣穴っぽいの作っといたら、うちの小屋(小山)にも何羽か棲みついた。鼠取り頑張ってくれ。食害が馬鹿にならんのよ。
土ちゃん特製の罠にしこたまかかるから、餌はやる。いっぱい増えてくれ。
「アルス、終わったぞー」
ネロ兄はじめ、青年と呼べるようになってきた村の若衆部隊がゾロゾロ引き上げてくる。
「ご苦労さん!小屋でお茶沸かしてるから飲んで行って!」
若衆ももう俺の棲家に慣れて、そこらで寛いでる。最初はいきなり出来ていた小屋ってか小山に皆んな唖然としてたけど、何回も通う内に慣れた。
村の外れに魔物を使う魔法使いが住んでる
字面で切り取ると、やべー奴にしか感じられん。小屋に神棚みたいの作って、小さな神像でも作って置くか。忙しくて教会にも最近は行けてないし、丁度良かろう。
「また暫くしたら来るけど…それにしても広げ過ぎだろ…」
踏み踏みし過ぎで、うんざりしたかな?
俺は諦めた。自分の畑の管理を。無理!麦踏みとかさ、この広大な畑を俺の小さい足や足りない魔力使って土ちゃんにぶん投げるとか、色々終わる。
なんで農地がこんなに広がったかというと、農具の開発や改良の試運転でそこらじゅうを掘り返したからだ。そんで、ただ掘り返しただけじゃ勿体ないから種を蒔いた。
結果、馬鹿みたいに広大な麦畑が爆誕してしまったという訳だ。
皆んなには収穫の半分を約束して、もう色々ぶん投げた。僕と契約して、小作してよ!
手伝ってくれるんなら、馬達も優先的に貸すし。
そうそう、馬で一つ報告が。仔馬が2頭産まれた。それぞれの番から。ゴルは優秀なんだけど、気性がなー。あの図体で暴れると止められるのいるんか?
家畜が足りなかったから、馬が増えたのは朗報かな。兎増えても、あの面積はカバーしきれないわ。
羊とかも導入が急がれるけど、来春辺りに譲ってもらえないか交渉かな。
仔馬の飛び跳ねて遊ぶ姿に目を細めながら、コイツは気性が穏やかに育つと良いなと脳裏に親の姿を浮かべて眺めていた。
春になり羊がやって来た。畑を手伝う家から、収穫と相殺で手に入れた。何組かの番が出来るから、ここから増やしていくか…
地代と家産で稼いでるから、地主みたいになってる。仕方ないんや…労働力を売ってもらわないと、なんも進まないねん。
雑草を草ちゃんに処理してもらったら、それだけでガス欠になるほど、最近は農地が広がってる。馬パワーつおい。
回復を待つ間は、レンガの型に粘土詰めて整形とか、家畜を水場や放牧地に連れて行ったりする。
馬は勝手にやってる。賢い子達だから、仔馬に悪戯仕掛けなきゃ顔見知りなら進んで仕事に向かう。それ以外の時は放牧地に勝手に来て草食ってるか、水場でだらけてる。主に1匹が。
だらけてる駄馬のケツを叩いて、一次乾燥を終えて運べるようになったレンガを荷台に積んで、丘の登窯付近にある二次乾燥場所に運ぶ。そんで、余裕がある時を見計らって焼く段取りをしておく。ある程度回復してきたら、水を補給したり木ちゃんに特製車軸用の木を育ててもらったりと、細々した事をこなしてると1日が終わる。罠の鼠を水責めで処したら、梟の巣の前に投げて、帰宅。いっぱい食べて、いっぱい増えろよー。
最近は更にこっちで過ごすことが増えて、隔日くらで小屋に居る。
そろそろ本命に着手する時だ。




