少年期21
「誓約」
魔物の氾濫は終わった。アレが最後の一波だったようで、迷宮は沈静化した。
俺は一足先に釈放して貰って、娑婆の空気を堪能してる。ケモノクサイ。
「おい、良い加減抵抗やめろ。あとはお前だけなんだから、サッサと屈服しろ」
あの夜の後、天馬もかくやと言わんばかりの跳躍を見せた馬魔物は忽然と姿を消した。あの脚力だ、逃げをうったら追えないだろうが、途中から足跡も追えなくなった。本当に空を飛んだんじゃ無いかと思われている。
暴れ馬の目撃情報が上がってくるのを待っているのだ。
「俺を主と認め、許可無く人に危害を加える事を禁ずる。了承するならばこれを神に誓え。誓約」
それにしても、新たな仲間の風ちゃんは良い仕事をした。まさか俺の突拍子もない提案を軽く実現できてしまうとは。さては風ちゃん、格の高い精霊さんか?お目付役か?まぁいい。俺の野望はもう実現間近だから。
「むりかー。これはむりかー!じゃあもう馬刺しだな‼︎お前食うわ。コレが最後な!」
奴も俺の目の色が変わって、捕食者の目付きになった事を敏感に感じたのだろう。一瞬ビクッとした後、すっごく不服そうにブルルってした後
「神に誓え。誓約」
馬刺し、馬刺し、馬刺し!服従ぅぅ⁉︎
「根性無しが!それなら無駄に抵抗してんじゃねぇよ‼︎今夜はパーティだと思ったのによ!お前、1番下っぱな。次反抗したら去勢、その次は馬刺しだからな!」
ま、ええか。フルコンプ達成やからな。
はい、じゃあ答え合わせね。
あの夜、俺に天啓が降りた!野生の馬が目の前にいる⁉︎堀を越えただと⁉︎これ、悪さしても気付かれないんじゃね⁉︎コレを天啓と言わずしてどうする⁉︎
ばん馬かと見紛う巨体に、魔物ならではの身体能力。アレが欲しい!村でめっちゃ重宝しそうなんだが⁉︎
粉挽とかでもすげぇ働きそう!農耕馬でも荷物引かせても、デカいはパワーで大正義だろ!パワー!
おい、風ちゃんよう、アイツら飛んだら城壁の外まで運んでくれよ。繁殖用に番が良いな!出来るだけ数飛ばせて!どしたん?そんな驚いた顔して?あー、1匹狩られた!早く早く!あぁ、またやられたら!
土ちゃん、デカい穴を石爺と協力して作って!アイツらが休息した時狙って!足が折れようが何しようが構わん。俺が治す!特別製の馬房を用意してあげて!監禁部屋ともいうけど!
草ちゃんと水ちゃんは食事の補助お願いします。屈服させたらご飯あげるけど、それまでは死なない程度で良いから!
最後、土ちゃん草ちゃんはあの群れがある程度進んだら、痕跡を消しながら追跡して!狩られたら堪らないからね。アイツらは俺の獲物だ!
6頭の馬が城壁を飛び越えた。内、2頭は着地に失敗して脚をやってしまい直ぐに狩られたけど。残りの4頭が俺の後ろを道草食いながらついてくる。鞍とか手綱ってどうしよう。村の荷馬車もコイツらの巨体とじゃ全く合わないしなぁ。
とりあえず村に帰ってから考えるか!呑気に今後の事を考えてたら街が見えてきた。
街の守備兵がすっ飛んできた。




