旅空16
梟村に辿り着き、墓参りに行く。途中、元我が家の果樹から良さそうな物をもぎり、墓前に添えてやる。生命力の強い雑草がもう茂りそうにそうになってきていて、場所が分からなく成りそうだった。慌てて石爺に転がってる岩で墓石を作ってもらう。コレで場所が分かるだろ。
「それじゃ、またな」
墓の周りを少し手入れして、ネロ兄に顔を見せに行く。ネロ兄の家に行く途中、元我が家の広い庭の方から、子供の笑い声と仔犬の甲高い鳴き声がしていた。
少しづつ夏めいてきた温度に、虫の声も混ざってきている。
ああ、そろそろ麦の収穫期だな。忙しい夏がもうそろそろやって来るのか…
「トゥールでの用事も済んだし、一旦帰るよ。村の方もこれから収穫で忙しくなるでしょ?その前に退散するね」
足元にホル君が寄ってきて、クンクンと匂いを嗅いで尻尾を振っている。お、覚えていてくれたのか?いい子だ、撫でてあげよう。どれ、お耳も吸ってあげましょうか。
あー、この香りだったわ。吸い溜めしとこ。
「忙しいって言っても、色んな便利な代物も増えたし、昔ほど忙しいって訳でもないさ。道具も満足に無かった昔と違って、今じゃ鉄の農具が当たり前に有るんだ。最近じゃ木材も潤沢で、薪にも困ってないとなりゃ、色々な加工にも回せるしで農具の新調や修繕も捗ってな。だいぶ楽なもんだよ。そうだ、それじゃあお前が居るうちに、あの石の農具でも作っておいてくれ。帰りの食料やら何やらの代金って事で、出来るだけ沢山作ってくれ」
ホル君がお耳をカシカシしてる。スマンスマン。ちょっと溜まっててね。やりすぎちゃったよ。
「作っても良いけど、出来るだけ沢山?出来なくはないけど、数揃えてどうするのさ?」
「上流の方へ、新しい村をどんどん伸ばす。今もそっちに力を入れてるが、村ができて、道が踏み固められていけば、あっちとの行き来もだいぶ楽になるだろ?今の道なんだか原っぱなんだか分からん所を通るんじゃ、荷車だって大変だしな」
道さえ整えば、此処らは場所的にセイルとトゥールとはそんなに変わらない距離なんじゃないか?
そんな事をネロ兄は呟いていた。
実際そうなんだよね。木材流してて気付いてた。
拠点から実家の村辺りまで、大体7日の川下りで、そこからトゥールまで5日かかるかどうかくらい。
実家村〜トゥール間が陸路(6日)と川路(5日)しか違わないのは、河が蛇行してるからかな?
逆に
実家村〜セイル間が未整備陸路(12日)と川路(7日)なら、どこまで削れるんだろう?
気になる…
あー、測量士さん、測量士は居られませんか?土木に強いローマ出身の測量技術を持つ、転生者さんは居られませんか?
光波とか無くても精密測量出来る変態民族はどこかに居ませんかー?
この件は拠点に帰ってからちゃんと考えても良いかもね。




