旅空15
「こちらがご注文のあったチャームと、改めて仕上げ直した馬のロケットです」
「ありがとうございます…随分と格好良く仕上げてもらえて良かったな」
勇ましい軍馬が彫金されたロケットに、残りの2匹の毛を少しずつ撚って納める。
丁寧にお礼をし、幾ばくか多めに謝礼を払う。
「こんな素晴らしい仕上がりにしていただいて、感謝の念しか有りません。そこでなんですが…此処だけの話にして下さい…伯父の所で聞こえてきてしまったんですが…なんでも、次の目玉商品が作られてるとか何とかで…砦主のマルク様も乗り気だとか聞こえてきてしまったのですよ。あぁ、コレは独り言なんで、あまり気にしないでください。今回はなるべく上流の街の力を借りずにこの街主導で動きたい、なんて呟いてましたね。砦主様が乗り気でも、それなりの資金が他にも必要になると思うのに…あぁ、つい口が滑りましたね。この細工に非常に満足しています。ありがとうございました」
さてと、コレでこの町でやる事も済んだ。あ!セシルちゃんのゴタゴタの顛末をそういえば聞きそびれた。仕方ない、いつか隊長が隠居して暇になったら聞きに行こうか。
「それじゃあ伯父さん元気でね。もう良い歳なんだから、あんまり無理しちゃ駄目だよ?」
「バカ言うな。あと30年は生きて、この街一番の豪商になってから大往生するって決めてるんだ。そうそうくたばるものか」
この時代で90代目指すとか化け物かよ…やはりエルフの血脈なのでは?
「もしかしたら商売絡みでまた来るかもしれないけど、その時はよろしくね。その時まで、体に気を付けてね!」
伯父さん一家に見送られて、トゥールの街を後にする。一先ずは開拓村改めて、梟村に行きますか。
帰りの道中、行きでは心に余裕がなくて気付かなかった事に気付く事が出来た。
「なんかあの馬達…微妙にデカいな?」
道中すれ違った荷を引く馬がデカい事に気付く。通常の馬の2回りデカいのがウチの馬なんだけど、すれ違ったのはやや小ぶり程度の馬体差…産地の梟村はトゥールから離れて行く様に伸びていってるし、外に出すくらいなら、まだまだ仲間内で欲しがるくらいだから、こんなトゥールに近い所でおかしいな?
そう思っていたら、いつぞやの村が見えてきた…天秤が暴走した村だ…ゴルが勝手に種蒔きした村だ…
不意にあの時の、妙にスッキリした顔が思い浮かんできて、思わず笑ってしまった。
「おい、どうするんだよ。お前が勝手な事しでかしたせいで、この辺に魔物が繁栄しちまってるじゃないか。あの巨体、間違いなくお前の子孫だろうに。どうしてくれんだよ…おいハル、そこのバカを叱っておいてやれ。俺がそっちに行くまで、これ以上好きにさせない様に見張っとけよな…」
首に掛けたチャームとロケットに語りかける。
変な所でアイツの痕跡を見つけてしまい、思わず笑ってしまった。
お前はそういう奴だったよな、なんだよ、なんだよ…
色々思い出したけど、どれも俺を小馬鹿にした様な表情が最後について回る思い出ばかりだった。
締まらない奴め!
今まで…ご苦労さんでした‼︎




