旅空10
夜になると、ホーホーと喧しいほど梟が鳴き始める
「梟も随分と増えたね。この家にもどっかに巣でも作ってる?」
「あぁ、居るぞ。今じゃこの村は梟村なんて言われるくらい、そこらじゅうに巣を作ってるぞ。夜中にたまにバサバサ煩くて目が覚めるくらいだ。鼠もだいぶ喰われてるみたいだぞ。たまに兎も居なくなるけどな」
ま、そこは仕方ない。アイツら野生だから、狩りやすければやっちゃうよね。ちゃんと管理しないとご飯にされてしまうのだ。
仔犬は夜、危ないから家で保護しているそうだ。
嘘だな。ただ可愛いから愛でてるだけだろ。あの福々しい笑顔が全てを物語っているんだわ。
俺も2匹を看取った事だし、帰ったら新しい命を愛でよう。ノアちゃんとメアちゃんの仔犬を可愛がろう。
形見の毛を撫でながら、2匹を偲びながらも気持ちを立て直す。
頭では理解していた筈なんだけどね、時間の流れが違う事に。
身近なモノが居なくなると、やっぱり意識してたよりクルものがあるね…
昔の仲間達がその日はひっきりなしで訪れた。皆、歳食ったな…此処がまだ荒野だった時は、少年から青年って感じだったてのに…最初の馬達と苦労を分かち合ってきた皆は2匹に献杯を捧げ、葬送会を開いてくれた。昔話に花が咲き、しめやかとは言い難かったけど、気持ちの良い葬送会だった。
ネロ兄の所で一泊し、翌日は村を散策する。後で馬車に積んで来た見せたい物があるので、呼びに行くねと言って、村に繰り出す。馬車はまだあの水場に置いてきたままだから、取りにいかないとな。
すぐ側の果樹が沢山植えられている元我が家に顔を出すと、近所の子供達とそれを見守るふくよかなおばちゃんが居た…まさか…
カミラもしっかり歳をとっていて、今やおばs…立派な母親になっていた!
子供達も10歳を越えた子も居るんだ、そりゃそうか。
「伯父さんの今の研究を教えてよ!」
カミラの子のサラが纏わりついてせがんでくる。俺が贈った唐箕のハンドルを回させながら、風を顔で受けて遊んでいた元気な娘だ。手下の子供達もキャーキャー言いながら、玩具を回して遊んでる。
「良いぞ?でも次のやつはそこの物より危ないから、お母さんを呼んできな。お母さんと一緒に見ようね。あとネロ小父さんとノール君も呼んできて。一緒に見ようか」
ここなら馬車を着けても問題無い。それくらいの広さを取って作った張本人なんだから、どこに着ければ良いかなんてわかっているさ。
拠点から馬車を引かせてきた、若い馬に馬車を引かせて、煉瓦作りの元我が家に行く。
年月で所々劣化が見られる。それはそうか。完成したのが10年以上前で、その前から少しづつ作っていたんだ。古い箇所は15年くらい前に着工したんだっけか?いくら煉瓦とはいえ、ボロくなってもくるか。
果樹だってそうだ。若木だったものが、今や旬の果樹を沢山実らせており、近所の子供達はそれも目当てで集まってくるのだろう。あと純粋に敷地が広いし、教会もある。公民館みたいになってるのかも。
馬車を着けて、モノを引っ張り出すのを手伝ってもらう。
「なんだ、この変な樽みたいなのは?この金具?もよく分からんし」
ネロ兄が尋ねてくる。そりゃ、初見じゃそんな感想にもなるか。
「それは試作脱穀機3号だね。此処じゃ必要無いかも知れないけど、まだまだ広がってる開拓部だと必要になるんじゃ無いかと思って持ってきた。使い方を説明するよ。これはね、このペダルを踏むと………」
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「どう?工場が無い所でも、これなら脱穀が楽に出来ると思うんだけど、村長さん?」
俺が笑いながらネロ兄に尋ねると、大きく頷いてる。
「コレは良いな。お前は無理みたいだけど、俺たちなら持ち運びも出来るコレが有れば、扱箸使ったり、叩いて落とす手間がだいぶなくなる。コレは前みたいに沢山作れないのか?」
「アッチの伝手は胆っ玉が小さくてね…前の時に震え上がっちまって、もう奴は良いかなって。これをホセ伯父さんの伝手で量産出来ないか尋ねに行こうと思っててね。ネロ兄も行くかい?」
久々にトゥールへ行こうと思うんだ。ホセ伯父さんも、もうだいぶ歳だろうしさ。




