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幸運とスキルで転生先でも生き残る  作者: なお
旅立ち

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旅空9

「あっちで楽な余生をなんて、良い迷惑だったね。ごめんよ。ゆっくりお休み」


いつもの様に、疲れたと横になるのでは無く、耐えていたものから解放された様に、膝を折った巨体。その日は皆が俺の所に来たけど、静かにしてもらうために帰ってもらった。群れの仲間も寄ってきて、ゴルとハルに別れを告げていく。側には長年の番だったハルが寄り添ってる。俺は感謝を込めて、昔の溌剌とした身体と違う、老いた背を撫で続けた。


夜、眠る様に息を引き取ったゴルにハルが一鳴き嘶いた。それを見届けたと思えば、ハルも調子を崩し始める。似た者夫婦だな…最後まで意地を張り続けるなんて。

オシドリ夫婦は故郷に帰り着いたらその晩、揃って、安心したのか息を引き取った。


朝、(たてがみ)を形見に一房づつ切り取り、亡骸を埋葬する事にする。

アイツの好きだった水場が良く見える、少し木の繁った場所に頑張って運ぶ。爺さん婆さんになっても、お前らは重いな…群れの仲間に手伝ってもらい、目的地に運んだら、穴を掘り2匹を沈める…


「今まで本当にありがとうな。コレからも仲良く眠りな」


土を被せて埋葬を終える。途中、別れを惜しむ様に嘶いて俺の服を引っ張る子もいた。でも、早く休ませてあげないとね。

群れの仲間らに見送られて、2匹は眠りについた。


親父の死よりよっぽど堪える。顔だってグジャグジャだ。今生で初めて号泣したかも知れん。

今から村の方に顔出して歓迎されるとか、少ししんどいな…

アイツはまぁ、なんだかんだ言って、俺の愛馬だった。村を出る時にはだいぶ爺さんになっていたから、無理させられないと連れて行かなかったけど、安定した今ら良いと呼んだ。でも、そんなのは俺のエゴでしか無かった訳だ…


アイツらの安心した様な最後の姿が、全てを物語ってた。

無理させてすまなかったね。

もう邪魔はしないからゆっくりお休み。



ネロ兄の所にしょんぼりしながら顔を出すと、だいぶ面変わりしたオヂサンが居た。誰やお前⁉︎


仔犬を抱えた福々しいその顔には面影はあったけど、認めたくないほど恰幅が良くなっていたオヂサンから、聞き慣れた声が出てくる。


「ゴルはもうだいぶ歳がいってたからな。仕方ないさ。失われる命が有れば、産まれてくる命もある。お前から譲って貰った子の次の世代だ。抱いてみろ」


仔犬はキュンキュン泣きながら暴れて、母犬を探し求めている。


「そうだね、そうだったね。今までは何も無いから増えて行くばっかりで、そんな事にも気付けていなかったよ」

「お前のその奇妙な体質じゃ、コレからはもっとだぞ?俺だってお前より先に逝くし、カミラだってそうだ。俺を見ろ、今じゃ立派な中年だ。なんなら、そろそろ爺さんって呼ばれるんだぞ?倅の結婚相手も決まったし、来年か再来年には確実に爺さん呼びされてるんだ。いちいち嘆いていたら、お前、この先で心が壊れちまうぞ?失うものより、産まれるモノに目を向けろ。コレは年長者として、若者のお前に忠告してやるわ」


そんなに年は離れてないんだけどね。ただ、ありがたくその言葉は胸に刻んでおくよ。


2匹の馬に献杯して、功績を讃える。最初の4匹はコレで全て死んでしまったらしいが、今やこの辺りにはアイツらの子孫が拡がり続けてる。今後ますます増えていくであろうアイツらの子孫に思いを馳せながら、今は静かに杯を重ねるのであった。

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