拠点暮らし38
最悪だ。バカが暴れたおかげで大忙しだわ。研究とかそれどころじゃないってのもそうだけど、目の回る様な忙しさがさぁ
「先生!倉庫が足りなくなってきてる。次の倉庫を作っておいた方が良いぞ」
「そろそろ出荷も近いから、あんまりデカい倉庫はいらないぞ!小さいのを作っておいて!」
「アルス小父さん、応援が村から追加で来たよ。今回は12人だって!ハルとゴルも来るって!」
ネロ兄の倅のノールも応援に駆けつけてる。
組み立て助手や漁業なんかの食料生産に建築助手と、どんどこ人が押し寄せて来てる。ヤバい、もう言い訳が出来ないほど村になってる…
税とか言い逃れできん規模になってるけど、どうしよう…頭が痛い…
「教会の直轄領って事にして、お茶を濁しておこう。ネロ兄に丸投げしてたから、さっぱりその辺は分からん。研究だけしていたい人生だった…」
「おい、村長、飯がまた粥になってるぞ!パンはどうした⁉︎」
「うるせぇ!粉挽に回す時間なんか無いんじゃ!朝から晩まで製材所がフル稼働でそれどころじゃ無いんだっての!溜池の方の水車小屋に、石臼をいつまでも引越さないからそうなるんだ」
こればっかりはどうにもならん。製材台も増えていて、保守用、稼働用が出来た。
夜も遅くまで製材所が稼働しているのだ。以前の様に、夜間に粉挽を回す事が出来なくなってるのだ。
あれから1年半ほど経ち、最後の追い込みに入ってる。組み立てや、部品の作りを見て学んだ俺たちも独自に製造を行なっていたりで、こっちは支流の河下に流す予定。今頃はトゥールの伯父さんが商会で宣伝し始めてる頃だろう。
ウェインのオッサンも本流の下流域各町にプロモーションを打ちに行ってる。購買意欲を煽りに行ってるだろう。セロとフェリクスをウチから護衛に出してるので、そこそこ安心だ。機密が漏れそうなら破壊・焼却する様に頼んでもある。
情報を得られなければ、きっと大型契約を持って帰ってくる事だろう。
-------
「海に着く前に全ての契約が完了した…」
「おう、そいつは良かったな。じゃあ払うモン払ってもらおうか。俺らはまだ近いから良いけど、故郷の連中の分は払ってもらわにゃならんぞ?結構な額になるけど大丈夫か?」
金庫を覗き、現実感のない顔をした店主がコクコクと頷く。
「あぁ、全然大丈夫だ。生まれてこの方、こんな金額見た事がない程には大丈夫だ、問題ない」
「どうする?この先は爆発的に模造品が増えるけど、まだ作り続けるかい?俺はもう少しだけなら稼げるとは思うが、下流の狩場を荒らし過ぎるのは悪手じゃないかなとも思ってる。綺麗にここで納めるのが三方良しだと思うがどうだい?」
「そうだね、店の在庫を切らさない程度にしておこう。アルス殿の嗅覚を信じるよ」
「それじゃ、余裕もある様なら俺らの取り分も貰おうか。しばらく待って欲しいなら待つがどうする?」
「いや、全然払える。むしろこんな大金、持ち続けたくない…支払いを済ませて、少しでも減らさないと、心配で夜も眠れん…早く次の発注で金額を減らしたくらいだ。この半分でも前の金庫の中身より倍以上入ってるんだぞ⁉︎嬉しいを越えて怖いくらいだ…」
店主よぉ、肝っ玉ちいせぇなぁ…アンタは堅実に商売してるのが合ってるわ。




