拠点暮らし33
「なんかやたらと画期的な物を作ったって言うじゃないか?絶対に売れるなんて言うから来てみたんだが、本当か?取り敢えず来れば体調はタダで見てくれるって言うし、どうなんだい?」
先行投資や、タダより高いもん無いって教えちゃるぞ。
「あぁ、そんな物で良いならいくらでも見てやるよ店主!はい『回復』っと。こっちだ、見てくれ!ただ、店主がショボい反応だったら他に持っていくつもりだ。この先見性を理解出来ないなら、付き合い方も考え直す。悪いがそこは了承してくれ。ほんと、そこだけは気をつけてくれ。ブラフを噛ませて安くしようとするのも無しだ。悪いんだが、コレが絶対に儲かるって確信が、こっちには有るからな。それと商談がある程度纏まるまでは、機械の詳細は見せられないと了承してくれ。実演の結果だけで判断して欲しい。結構造りは簡単なんでね」
「うーん、難しい注文だな。とはいえ、ここまでわざわざ出てきたんだ。その実演ってのは見れるんだろう?」
「あぁ、今直ぐにでも見せることは出来るぞ?直ぐに見てみるか?」
「そうだな、自信満々なその態度だ。それなりの物なんだろ、先生?少しは楽しみにして来てるんだ。長くお預けされるのも趣味じゃないからな。その自信作とやらを見せてくれよ」
「モノが見えない様に少し魔法を使うが構わないか、店主?一応、アンタの前で使う事で少しでもイカサマをしていないと証明するための配慮なんだけど、危険を感じるなら距離をとってやるが?」
「先生にその気があれば、いつでも出来ただろ?気にせずやって良いさ」
「それはそうか。じゃ、遠慮なく。この隣の部屋が物のある場所だ。おーい、目隠しの魔法使うから、お前らも配置につけー」
隣の部屋に呼びかけてから、闇ちゃんにお願いして唐箕を隠して貰い、実が流れ落ちてくる箱の所だけ見える様にする。それじゃ、どうぞと店主を部屋の中に案内する。
「あの黒いモヤの中に機械があるんだが、アイツはちょっとした手間で穀物の選別をしてくれる。今回は前に実験で試したライ麦でやるよ。ガイ君、使うライ麦を持ってきて」
わざわざグチャグチャに混ぜ直したライ麦の袋を持ってきてもらう。
「店主、確認してくれ。収穫直後とは言えんが、それに近い状態にしたライ麦だ。中を確認してくれ。ちゃんとごちゃ混ぜになっているかの確認だ」
「ああ、こりゃ商品として出したら店の看板に泥を塗る様な、ひでぇ混ざり具合だ」
手を突っ込んで、下の方まで掬ってみているが、その混ざり具合は変わらない。それを確認しているようだ。
「イカサマがないか確認したかったら、ここでその袋をぶち撒けて、入れ直しても一向に構わないぞ。なんなら、その為に選別し終わっていた籾殻や屑麦もここにある。好きに混ぜて構わないぞ」
「ほう、凄い自信だな。それなら是非混ぜさせてくれ。どんな結果になるか、楽しみだ」
そう言って、店主は丁稚に命じて袋を撒かして、トッピングマシマシにしたライ麦袋を作った。俺たちはその無駄な作業にニヤついた顔をしていて、店主もそれに気づいていた。
「なんだなんだ、お前らのそのツラは。随分とニヤついてるじゃないか?」
「いやー、ウェインさんも無駄な努力をなさるなぁと」
「そうだな、ガイ。ウェインの旦那、もっと混ぜなくて良いのか?もしかしたらもっと混ぜれば違う結果になって、買い叩けるかもしれないぞ?」
お、2人も言うねぇ!煽りスタイル、好きやでぇ。
「なに、構わんさ。ここまで自信満々なんだ。失敗しても成功しても、良い物は見れそうだ。そろそろやってれ」
「はいよ、店主!じゃあ皆んな、始めて!」
回り始める水車(風)
漏斗に投入されるライ麦
吐き出される猫
猫?
ふにゃーー!
ストップ!ストーーーーップ‼︎




