拠点暮らし21
歯車の摩耗は予想以上だった。ただ、作業中に破断する事なく使えたのは明るい話だね。
何が問題なんだろ?潤滑油的なものか?そもそもの金属の問題か?
油はオリーブっぽい奴の油を使ってるけど、蜜蝋とかラードみたいなもっとドロっとした奴のが良いのか?半固形みたいな奴を塗りたくってドロドロにしておくみたいな?なんか埃とか付着して詰まりそうなんだけど、そこんとこどうなんだろうな。
青銅も合金の割合的なものが絶対あるはずなんだよな。最適な配合とかはさっぱり分かりませんわ。それか、配合とかは関係なく不純物が多すぎるからとか?
摩耗した部分も、不純物が多いとこでしたみたいな?一回ゴリゴリ回しただけでこんなに早く摩耗するとも思えないしなぁ…
うーん、使えるうちはコレで十分だから、良いっちゃ良いか。
「先生よう、悩んでるところ悪いんだが、患者だ」
ガイ君もいつの間にか遠慮が全く無くなってきたな。良い事なんだけど、同時に最初は持たれてた尊敬の念みたいのも無くなってるような…
それはそれとして、今日のガイ君のこの感じは急患でも無いな。つまり、ちょっと待ってもらっても問題ないって事だな。
膝の猫を撫でながら、歯車をじっとりと見つめるのだった。
「ここに非常に腕のいい治療師の方が居ると聞いてきたのだが?ウェイン殿が腰をやった時、直ぐに治してもらったとか。私も長年、腰が持病でね…コレが治るならと尋ねて参った次第ですよ」
めっちゃ身なりの良い老紳士と従者っぽい若々しい美男子が、オンボロな診療所に居た。場違い感が半端ないな。俺なんて猫抱いて、今日はどんな貧乏人が来たんだって高括ってたんだ。油断しまくりで野良着みたいな格好してるしな。
んーーーー、まあええか。
「本日は腰の治療ですか?急患以外は受け付けていないのですが、そこは店主に聞いてないです?もし聞いてないなら店主をシバかにゃならんですし、聞いててここに来たんなら吹っかけますよ。今日は偶々行き詰まってて、息抜きでやっても良い気分ですけど、いつもならここで追い返してますね。紳士殿はなかなかに運がいいようだ」
お、従者君、俺の舐めた態度にイキってますね?ダメですよー。
「それと、ガキの躾もなってないみたいですので、その分も追加で頂きますけど?それで良ければやりますが?」
従者君の足を拘束して、光ちゃんに目の前でピカッとしてもらう。おう、失明しない程度で抑えてやったんだ、感謝しろよ?
「あぁ、済まないね、ヨハン。相手の実力も測れないのに喰ってかかるのは死に急ぐようなものだよ。今回は随分と手加減して教育をして貰えたようだし、感謝しなさい。それと、金でいいなら持って行きなさい。墓場にまで金は必要としないからね。生きてる間に使えるものは使うさ」
お、なかなかに覚悟完了してる系爺様だな。嫌いじゃないよ、そういうの。
少年従者もすいませんとか言ってるし、ええやろう。
「それじゃあ遠慮なく。腰だけでいいですか?いただくものはしっかりいただくので、他に不具合がある場所もついでに治しますよ?指が欠けていようが耳が欠けていようが、死んでさえいなければ治すがここのモットーなんでね」
「なら目もついでに頼もうか。最近は衰えたのか、目が良く見えんくてな」
少し白く濁って見えるので、白内障かな。良いでしょう!金持ってるなら治しましょう!
それでは、お財布の準備お願いしますね!




