拠点暮らし8
ケイン君は右半身がちょっとお見せ出来ない感じのアレコレになってる。曲がっちゃいけない方に二段階で曲がってたり、足から白いナニカがコンニチハ!ってしてる。
おい、神官女、お前そんなんで大丈夫かよ…生命維持で精一杯でってよぉ…
ちゃんと勇者君を回復してやらんと…秘薬を使い切ったとか、君らさぁ…
とにかく一番ヤバそうだった右足を急ぎで『修復』。腱や神経は完全にイカれてたし、場合によっては敗血症も患ってる。『解毒』も同時にかけて、何とか一命を取り留めた。洒落じゃなく、ギリギリだった。
「アルスさん、助かりました。まさかアルスさんがここの祠の神官だったなんて思いませんでしたよ。道理で強かったんですね!あれ?でもアルスさんて精霊魔法使いじゃ?」
祠って何や、祠って。歴とした教会じゃろが。
助けて貰っといて、微妙にディスるのなんなん?侮辱罪で料金上乗せしときますね。
どうやら向こうも俺を憶えていたようだ。というか、あの当時からあんまり見た目は変わってないからね。ケイン君だけはエルフ系だって事で、俺の容姿の変わらなさに何も疑問に思ってなさそうだけど。
「俺は元々から天秤神様の信徒で助祭なの。それで、ここは俺が整備した教会だ。ケイン君は随分と面変わりしたね。髭面がダンディ通り越して山賊みたいになってるよ?あと女性陣も少し酷いね、髪が鳥の巣みたいになってるよ。河で水でも浴びてきたらどうだい?」
長期間に及ぶ冒険だったのか、3人が3人とも小汚いし臭い。
俺がそんな感想を抱いてると、神官女が目を吊り上げて食ってかかってきた。
浄化を掛けるのも惜しまれる状況だった?ケイン君の命が掛かってた?
ほーん、でもそれって俺に関係なくね?
臭いし汚いなって感想抱いちゃうのも仕方ない形してるのよ、今の君たち。これでも控え目に言ってたんだけどなぁ。仕方ない、もう直截に言っちゃいますか!
「何でもいいから、目に染みる刺激臭してるんで、どうにかしてくれません?」
神官が顔真っ赤にして浄化かけてた。ウケる!
「それじゃ、お代を頂こうか。悪いけど、安くは無いよ。ケイン君はほとんど死にかけてたからね。冗談抜きで、あと半刻も到着が遅れてたら、この教会の裏がケイン君の家になる所だったよ?」
親指クイで窓から見える墓地を指差す。
急患受付ですんでね、中には移動中に間に合わない人もいる訳ですよ。
そういう人は火葬して、裏の共同墓地に埋葬している。これも神に仕える者としての勤めですんでね。
それで、お代ですよ!そろそろ水車を購入出来る、纏まった資金が欲しい。ちょこちょこ貯めてはいるんだけど、水路が完成する前には貯め切っておきたい。水路が出来たら、直ぐに稼働できるようにしておくのが理想だからな。
「アルスさん、私達、秘薬を買ったりで今お金が無くて…開拓者の皆さんが、それでも此処ならどうにかなるって…裏メニューの労働で返せませんか?」
だいぶお姉さんになった弓ちゃんが、申し訳なさそうに頼み込んでくる。
知ってたよ、此処にくるのは貧乏人ばかりだって…
「ケイン、アレをアルスさんに渡したらどうですか?以前、香りだけとか、鋳潰せないとか、換金用って言ってたアレです」
「あぁ、丁度良いかも!強欲な神官が求めているとか、コレってアルスさんの事だったのか。魔法使いだとばかり思ってたから、盲点だったね。コレで何かのフラグが立つかも」
なんかアッチでゴニョゴニョ言ってる。
風ちゃんがそういうの拾っちゃうから、秘密のお喋りとか無理なんだよなぁ
換金用とか聞こえたから、それなりの物が出てくるでしょ。それにしても強欲ってよぉ。人に生命を助けられておいて、言うに事欠いて、強欲とかよぉ…
碌でも無い物だったら魚の餌にしてやろうか、コイツら。
「アルスさん、今俺達が持っている手持ちで一番価値の有りそうなコレでどうでしょうか?」
其れを見た時、少し眩暈がした。




