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幸運とスキルで転生先でも生き残る  作者: なお
旅立ち

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拠点暮らし7

水が上から流れてくるって事は、つまり勾配があるって事だ。

勾配が有るって事は、上流から水を引けば位置エネルギーを保持したまま持って来れるって事だ。


さて問題です!


ある人物の拠点である教会は、下の河川より高台にあります。その高台は河川から15メートルほどの高さにあり、大地の勾配が1%だったと仮定した場合、何メートル上流で同じ高さになるでしょうか?



答えは1500メートルです!



クソかな?クソだわ。

この1500メートルって、あくまで水平であってじゃな…

水を流すために、勾配付けて用水路を引こうとすれば、その距離は更に伸びる訳で… …

まず拠点の傍って案を採用したい場合、これが問題になってくる。


何で拠点の傍に拘るのかっていうと、純粋に洪水対策だ。大河怖い。マジ暴れたら絶対に手に負えない。普通に大河の氾濫とか人の手に負えんわ。

魔法で解決?

スキルで解決?

圧倒的物理で、一瞬で薙ぎ倒されて終わりや。秒も保たない、瞬や瞬。

魔物の氾濫とかいう次元じゃない。


支流なんて、大河の水の逃道なんだから、影響はモロに出るし、河川に隣接してたら被害をモロに被る。堤防もろくに無いんだぞ?

そんな危ない橋は渡りたく無い。


という訳で、水車は拠点の地下に設ける事にする。

岩盤層に5メートル掘り下げて水車室を設ければ、勾配1%見込みで、距離500メートルを削れる‼︎

河だって、全部が全部同じ勾配で流れてる訳でも無いので、なるべく高い場所から引水すれば、更に距離を削れる‼︎


ただ一つ、悲しいお知らせが。開拓者諸君に掘ってもらった拠点周りの水路予定の堀は、完全に日の目を見ないことが確定してしまった…すまぬ。

後日何か再利用できないか、改めて考えてみるか。


よし、この方向性で考えてみよう。

やはり魔法的土木工事込みの折衷案でしか解決の目処がたたなかったけど、最初からその気でいたからショックはない。やれるとこからやってみるか。

先ずは水を引き込むのに適した場所を…



---------


目ぼしい場所は直ぐに見つかった。というか妥協した。当たり前だけど、次のいい場所をとか選び始めると、際限なく距離が伸びる。伸びた距離に比例して得られる高度が本当に微々たるものなので、妥協しないとやってれん。


俺はあくまで金属歯車を開発、研究する実験場の為に、興味本意で水車を運用しようとしてるのであって、水車がメインでは無かったはずなのだ。

悪い癖で、興が乗ってきてしまい過ぎて、水車自体にも拘り始めてきてしまっている。でもこの拘りを突き詰めると、人生を賭けた土木工事が始まってしまう為、妥協しないといけない。

俺の人生は歯車と回転の探求であって、土木工事では無いのだ。

しかし、水車は回転していて、それ自体の可能性を探求するっていうのも吝かでは無い訳で…

コッチで初めて見た丸太を製材して板にする機構なんかも色々使い途が…

こっちは木材が豊富だから、色々と勉強になるわ。



「先生!急患ですよ‼︎」


ノアちゃん達が跳ねたり穴を掘ってみたりしてる長閑な作業場に、ガイ君が慌てて駆け込んできた。


どうも今日の切迫具合は本物だな。

最近は診療所と勘違いして訪ねてくる奴が多すぎて、急患以外はお断り状態なんだよね。軽い症状なら街で見てもらってくれよ。作業が捗らないんだよね。


どっこいしょ、と立ち上がって教会に向かう。もう俺も30歳のオジサンに近い年齢なんだよ。勘弁してや。


教会に辿り着くと、髭面の男が顔を土気色にしながら息も絶え絶えになって転がっていた。

傍には、長い髪もボサボサで、山姥も斯くやの女2人。


うーん…うーーーーーん

何処となく見覚えがあるぞ?垢まみれで身嗜みも死んでるけど、これは勇者ぱーちーですね。



おぉ、勇者よ、死んでしまうとは情け無い!


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