拠点暮らし2
仔犬達の噛み跡がそこら中にできて、ヤンチャが増してきた。ママの躾が始まり、パパに甘える事が増えてニッコリなこの頃。
旧廃村に水の枯れた水路が出来た。水車で揚水しないと教会の方には水を引けないので、今は空堀みたいなものだけど。
廃村の下の方に引き入れる水路はとっくに出来てるのよ。開拓者も馬達もパワー系だから、穴掘りは得意みたい。
そんで、水路が出来たのは良いが、君ら居過ぎじゃね?
「アルスさん、余ってる木材貰って行っても良いですか?宿泊場所に少し手を加えたくて」
「良いけど、君らはアッチに戻らなくて良いんかい?もう10日以上此処で働いてもらってるけど、飯しか出ないぞ?」
「飯に文句なんかありませんよ。なんなら久々にマトモな飯食ったと思ってるくらいなんですから」
それならそれで良いんだけどさ。
仔犬に懐かれてる連中だから問題ないんだけど。
「そんなにやる事が欲しいんなら、この間見つけた農場跡地みたいのを藪漕ぎしたから、適当に食い物でも植えといてくれよ。どうせお前らも俺と同じで、農家の子供だろ?野菜でも今の季節に合う麦でも何でも良いからさ」
そうです、本流域の方に来て様々な麦にようやく出会えました。
というより今までは麦は売る物で、買う物じゃなかったわ。
だから目に入ってなかったの方が正しいのかも。トゥールの街でも探せばあったかもしれないけど、主食の大麦に満足してて、全く気にもしなかったってのが正確かも。
ライ麦だの小麦だのもあったけど、至高の大麦にはやはり敵わない。これらの品種はパンに適した麦なんだろうけど、麦粥こそ至高の俺にとってはあんまりなんだよな。最寄りの街で買ってきたパンもボソボソしてて、家で保存食を食ってる気になって好きになれなかった。
とはいえ、今は自分で農業してる訳ではないので、農地も人手も馬も余ってるなら、適当に食い物でも栽培しておこうと思った訳だ。
「暇になったら少し耕そうかと思って、買っておいた農具が納屋に有るから、適当にやってくれ。出来れば美味いもんを食いたいけど、俺の知らない食材も多いから、何とも言えんけどな」
それにこの食い物が収穫される頃には、お前さんらは居ないけどなと言えば「違いねぇぜ」と返された。
どの道暇してんだから気分転換で土でもいじってろっと農具を渡し、納屋に色々種が有るから、好きに植えてくれと託した。
何が出来てくるかは分からないガチャを楽しみに、草ちゃんに枯らさない程度にお世話をお願いする。
開拓者達も去り、仔犬達も拙い遠吠えを覚えた頃、街に来て水車を見学していた。
「動力はコレで良いとして、軸とか歯車の手元部分は金属製が良いよな。どうしても細かいパーツになってくると、耐久性に難がでてくるしなぁ…鉄の確保の目処はつきそうだし河の側なら、水車はやっぱり欲しいな」
仔犬達が道端に咲いてる花に止まってる蝶に挑むのを横目に、あーでもない、こーでもないと考える。
蝶を食べようとしたノアちゃんを取っ捕まえてスーハーしながら、水車の自作を想像してみる。
出来そうだけど、やりたくは無いが結論かな。出来る人、出来る手段が有るのに、わざわざ一からの自作は少し無駄かな…
ノアちゃんを助けようと、俺に襲いかかって来る仔犬達を順番に取っ捕まえて構い倒しながら、取り留めもなくそんな事を考えるのであった。




