第9話 対極では
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久保が本日最初に控えていた講義は1、2限の2コマ分だ。1限目は座学で、2限目は実習科目になる。
科目や講義形式は違えど、やっていることは前回までの講義の地続きである。従って、ちゃんと講壇に立つ教授の話を聞いて考えながらペンを走らせれば、内容が迷子になることはない。現在地にいる久保にも理解できるものであり、変わりない。
変化があるものとすれば、隣の席には美南が座って講義を受けている点だ。2人掛けや3人掛けが基本となる長机の3人掛けに久保等は席を下ろしているが、美南は平然と真隣にいる。3人掛けとなると余裕があれば基本的には両端に人が座り、真ん中は空席になることが多いのだが、態々久保が真ん中に座り美南が右隣に座っている状況だ。
空気読みが講義室にも充満するが、1人だけ机の真ん中に座っているのは異様な光景に見えるかもしれない。
長机の両端に座ったり、通路を挟んで隣に座ったりする方法もあった筈だが、先に端の席に着こうとした久保は美南の無言の圧に負けて真ん中に着席することになったのだ。もう一端の席に移ろうにも、美南に止められたのは言うまでもない。
ちらと隣の美南の講義の様子を窺ってみたが、彼女は恰も当然のように真面目に講義に耳を傾けていた。初回ならともかく既に何回かが終了している講義なのに、ポーズかは定かではないが、悩んだ様子もなく黙々と傾聴しているのだ。
結果、久保は美南に話しかけるわけにもいかず、悶々としながら講義を話半分に聞いていた。美南の様子や周囲の反応に気を取られ過ぎて、講義の内容まで頭に入ってこない。辛うじて、板書はメモしているのでリカバリは効く。それでも、大学の3年次の講義となると難易度も上がってくるので、後々苦しむことになるのは確定であろう。
そんなような状況が2コマとも続いた。
体感で非常に長い時間の講義が終了となったときには、久保の疲労は類を見ないものとなっていた。
「お疲れのようですね」
一呼吸おいて動き出した久保に、美南が労いの言葉をかけてくる。この場合、通常ならば講義に対する疲労を案じたように捉えるだろうが、本質は関係ない。久保に起きた衝撃が、いまだに引き摺って立ち直れていないのだ。
ただでさえ世界の変化が久保自身に因るものだと、嘘みたいな証言で釘を刺されていたのだ。心のどこかで信用していなかった久保に現状が突き付けられてしまえば、本格的に向き合わねばならなくなってしまった。余裕もなくなる。
しかし、美南は久保とは対照的に、どこ吹く風のように澄ました表情をしていた。まだ講義にすら慣れていないだろうに、淡々と熟していたのだ。負担を考えてみれば、大学の講義に護衛と久保よりも圧倒的に多い。
どこか敗北したように感じ、久保は肩を竦める。
「『講義が難しかったから』なら、どんなに良かったことでしょうね」
目の前に広げていたものを片し、鞄の中へ機械的に入れていく。
2コマ分の講義が終了した今ならば、漸く一息吐けるというものだ。1コマ90分のため、2限終了後は昼休憩の時間に入る。本日の講義は3限が空きで4限に入っているため、昼の時間も余裕がある。
周囲を見渡せば、昼食の確保のためにいそいそと教室から出ていく人もいれば、久保のように次の3限は空きなので寛いでいる人もいる。中には、食事場所としても機能している教室でお弁当を取り出している人も見かけた。大体は、購買近くに設置されたテーブルやフリースペースを活用する方が多いが、教室では食事に関する制限も特になく、次の講義の人の邪魔になる前に退散してしまえば意外と利用できるのだ。
久保はどちらかというと弁当は用意していないので、購入して食料を調達する必要がある。
昼休憩は今まで講義を受けていた学生が一斉に動くので、学食となると非常に混雑する。休憩時間も1時間程度なので、3限に講義が入っている場合は意外と急がねばならなくなるのだ。
今回は時間に余裕があるため、人の流れを眺めながら緩慢な動きで立ち上がる。
見つめ直しの機会が巡ってきたと割り切るが、美南と話をしないといけない事項が増えたのだ。混雑に呑まれないようにするためと内心で言い訳しながら、美南を連れようとした。
そのとき――。
「久保! お疲れ」
不意に久保へ声がかかる。
特に驚きはない。相手が久保の聞き知っている声であるからだ。変化の前後でも変わり映えしない相手に、久保は妙な落ち着きができて振り向いた。
「お疲れ」
立っていたのは、久保のよく知る福島という、容姿が整っていて清潔感が見られる男子学生だ。
同じ学科であれば、取得する単位も近しいものになりやすい。同様に講義を受けていた友人を認めれば、久保も同じ挨拶で軽く返しておく。
久保は福島をじっと見つめる。
彼の姿にも変化は見られない。いつも通りの雰囲気を纏い、久保と接してきている。
しかし、久保の隣にいる美南に対しては、同じく挨拶をするのみで言及することはなかった。久保の期待していた反応とはいかず、内心で落胆してしまう。ここでも影響を受けているのだと。
「どうかしたか? 様子が変だけど、不調か?」
「いや。そんなことはないよ。それよりも福島はどうかした? いつもならお昼時はすぐに出て行ってたから」
黙っている久保を不審に思ったのか、それとも表情に出ていたのか、福島が首を傾げていたが、何とか別に話を逸らす。ただ、福島は久保に追及はせずに、久保の疑問に律儀に答えていた。
「いつもは3限にも講義が入っていたけど、今日は休講のメールが届いててさ。時間あるし、久保を昼飯にでも誘おうかなって」
「補講が土日とかだとやだなあ」と愚痴を吐きつつ、裏表のない調子で福島が提案する。福島とは時間が合えば、ちょくちょく昼食を共にしていた仲なので、今回も気軽に声をかけてきたのだろう。
けれど、今後の話もあるため、久保は難しい顔をした。残念だが、優先順位を組み立てれば、断りを入れるしかない。
「ごめん。今日は別件があるから無理かな。また、誘ってよ」
「ん。わかった。美南さんも一緒のようだし、また今度行こうぜ。……それに、ゴールデンウィークはできなかったけど、夏休みになったら遊びにでも行こうぜ。植松とか矢沢とかも呼ぶ予定だし、美南さんも参加できるなら秋山さんとか誘うのもアリかなって思ってる。来年は就活やら研究やらで厳しいかもしれないしさ」
久保の返答に、福島はあっさりと折れる。こうした相手の様子を読み取ってすぐに引き下がってくれる福島にありがたく感じつつ、別の誘いの計画を既に立てている行動力にも感心する。もしかしたら、夏季休暇の方が本題だったかもしれない。
「わかった。ありがとう」
「おう。今日は講義が1つ潰れたし、このあとも何もないからこのまま帰宅かな。お先に、じゃあな」
用件を伝え終わり、福島は久保と美南を置いてさっさと退出していく。彼の後ろ姿を眺めながら、溜息を吐いて久保は美南に顔を向けた。
「では、僕たちも行きましょうか」
「はい。そうですね」
周囲の変化に気後れはしているが、今後の話をしていかないと意味がない。
全体的に人が退出していった教室から出て、同様に別の教室から出ていき移動を始める学生を追うように2人で歩き始める。
そのまま最短経路で教室棟の出口に辿り着き、人の量で渋滞を起こしていた流れに合流して外へと出た。
昼時で気温は上がってきており、暑さがある。少し経てば梅雨のシーズンがやってくるであろうが、暑さに余力を持たせているようだった。
更に、ごった返す学生の集団の流れに乗れば、暑苦しさ感じてしまう。
警戒心が強くなった久保には、付近に多くの人がいれば尚更だ。
たった数時間で、自身が注意をしながら周囲に気を配るようになったと久保は変化を実感していた。どんなに些細なことでも、目に付くようになっている。
多くの人が一か所に集まれば、当然、様々な要素を持つ個性的な人格が集められると実感する。
――その中でも、とりわけ異彩を放つ人物がこの大学の敷地内に存在していた。
ふと歩を進めていると、とある女子が変哲もないベンチに座っていたのだ。やけに目についた理由は、学生にはあまりいないタイプの奇抜な格好をしているからである。髪型をツインテールにしていて、その一部分が赤に染まっている。服装はフリルやリボンが誂えてあり、アイドルが着用するような衣装に纏まっている。背格好は小さく見え、童顔が際立つ。
周囲も目を惹くようで、久保と同じくちらちらと視線が誘導されていた。明らかに目立つ。何をするでもなく、あさっての方向をぼんやりと眺めているのだが、空気感としては話しかけづらさが漂っている。透明板に守られた誘蛾灯の如く、光源本体までは虫を寄せ付けていない。
唯一、格好と合っていないのは、彼女の持つ荷物である。リュックサックをベンチの隣に置いているのだが、服装とは系統が違うものだ。通学を考えれば正しいのだが、その使い古された鞄だけが彼女とはずれている。
様子を見つつ、それどころではない久保は警戒を解く。あんな人もいるんだなと感想を抱いたまま、切り替えて前に進もうとした。初見であったので大学でいたかなと疑問に思うが、この広い敷地内ではそんな学生も中にはいるかとも納得している。
「耀壱さん、警戒を」
けれど、美南は違った。
ある1点の違和感を掬うように、あろうことか久保の腕を引いてベンチの少女へと方向を変えたのだ。
「ちょっ、深幸さん?」
指摘は届かずに遮られ、為すがままに美南に連れられる。そのまま、ナンパとは違うが少女の正面に2人で立っている構図となった。
「おっとっと」
状況を吞み込めないでいる久保を無視して、少女が先に声を上げた。ただ、声音はアイドルのような作ったものではなく、ナイフの鋭さがある一言だ。
「こちらから接触するつもりだったけど、些か分かり易かったかな?」
「ご冗談を。敢えてなのか興味はありませんが、よく姿を現せましたね。しばらくは観察を行動の主体にして、干渉してこないと思っていましたよ」
心のどこかではわかってはいたが、美南の突飛な所作に混乱が勝っていた。冷静に考えてみれば、すぐにわかるのだ。美南の行動そのものに意味があると仮定したならば、眼前の少女は久保へ干渉しようとする人間であることに辿り着く。即ち、久保のことを認知している相手であるのだ。
彼女はゆったりとした仕草で懐ろからモバイル端末を取り出すと、操作はせずにフリフリと久保の眼前に揺らしている。
「まずは自己紹介をしようかな。大槻藍莉。昨夜はお世話になったね。久保耀壱君?」
何の意図か考えればわかりやすい。傍にあるリュックサックも踏まえると久保ならば回答は簡単だ。
あの夜、取り落としてきた久保の私物である。
強襲してきた男の関係者だと確定し、久保は頭が痛くなる。想定外の敵対者の登場に、久保が立ち直る機会は更に先の話になりそうだった。
◇
日が昇り、もう昼にも差し掛かろうとしていた頃、スーツ姿の清水征成は「日本システムディベロップメント株式会社」の本社が構えるビルに出社をしていた。
暑くなり始めた季節にも関わらず、スーツは着崩さずきっちりと整えており、清潔さを保っている。昨日に起きた戦闘で使用したものでは無くスペアとして用意していたもののため、若干の真新しさが宿っている。と言うよりも昨夜の戦闘にて、スーツは使い物にならなくなっていたため、こうして替えに身を纏っている。
それに清水の職業柄、こうしたスーツが使い物にならなくなる機会は多くもないが少なくもない。会社もサポートしてくれる環境下のため、スペアは比較的楽に取り寄せることができていた。
スーツを着なければ良いのではと疑問に思われなくもないが、スーツを着用した人間は清潔感を保っていれば外から見ても良いイメージを持たれやすい。擬態しやすく、人混みに紛れやすい服装でもあるため、清水は仕事上ではスーツに限定している。
日本システムディベロップメント株式会社――通称JSDはどこにでもあるような会社である。似た企業名も何社か存在しているし、表向きはただのシステム開発などを生業とするエンジニアが集まる企業になっている。表向きでもそこそこの実績を持っており、専門とする担当者も何人か抱え込んでいるのだ。斯く言う清水もシステムに関する知識は齧る程度ではあるが持っており、職業を擬態として利用している。
つまり、JSDの活動内容は清水が体現しているものが正しいと、社内では専らの共通認識である。
そんな会社の本社に、清水は重役出勤が如く出社していた。
受付に挨拶のみで通り抜け、社員証を専用の機械に掲げて社員のみが入れるルートを歩いていく。
「あれっ? 清水さんじゃないですか」
不意に声がかかる。
清水は足を止めて振り向くと、見知った声の主とその同僚の2名がその場に立っている。声をかけてきた方は清水と比べてかなりラフな格好をしており、大学生を想起させる茶髪で猫目の青年だった。会社で髪を染めている人はあまり見かけないため、社内だとかなり目立つ風貌だ。
もう1人はどちらかと言えば清水寄りの格好である。きっちりとスーツを身に纏い、容姿も大人しめの背の高い男である。聞いたところによると190センチメートルを超えているらしく、いるだけで存在感が際立っている。
両名とも二周りも清水と年齢が離れている、期待の若手である。
さて、気安い口調で話しかけられては断る手段もないと内心諦め、清水も返事をする。
「お疲れ様です。薬袋さん、長澤さん」
「「お疲れ様です」」
軽い挨拶をすると、青年両名も同時に挨拶をかけてくれる。
すると、すぐに本題へと触れんとばかりに、ラフな格好の青年――薬袋文延が「それで、」と訊ねてくる。
「遅めの出勤のようですが、体調は大丈夫ですか?」
「……もともと昨日の件もあって、竹内さんには了承を得ているので、問題はありませんよ。後処理も大槻たちに任せてしまいましたからね」
「そちらは大変そうですね。大槻さん達のバックアップは確実でしょうが、相手が相手ですからね」
遠回りに訊ねてくる薬袋に、清水も当たり障りのない回答で返す。薬袋からは嫌味のような聞き方が含まれているように感じるが、清水はこういうような人間だからと納得している。現に、隣の高身長の男――長澤宗治から窘められている。
「のぶ、それだとただ嫌味を言っているだけだ。昨夜、清水さんからの報告書が上がっていただろう」
長澤が本人を目の前に言いにくそうなことをズバッと言っていることに、清水は内心焦る。普段は比較的寡黙で、上の空な様子が散見されているが、言いたいことは包み隠さず切り込んでくるのだ。
そんな注意に、薬袋は肩を竦める。
「わかっているさ。キックオフ資料を読ませていただいたときから、会社全体が我先にと賽を投げたって認識だよ。ただ、初動だし、報告内容的に清水さんが気を落としているかもしれないから、こうして声をかけたのさ」
長澤へ不敵な笑みを浮かべながら、薬袋は長澤の言を流し「それに」と清水の方を向いて続ける。それを見た長澤は表情が硬いが、それ以上の反論はせずに薬袋の言葉を待っていた。
「いずれにしても、清水さんはこれから上の人と打ち合わせですよね? 訊きたいことはあっても、まずは上の判断待ちに変わりないですから、そのあとにしますよ」
「……そうですか」
下手に清水を拘束する気もないのか、薬袋は引き下がると暗に清水へ伝えてくる。清水は苦笑して相槌を打つが、その瞬間、薬袋が半歩清水との距離を詰めてくる。
「まあ、清水さんが手に負えない案件なら、代わりに俺が引き継ぎますけどね」
薬袋は自信家にして野心家だ。こうして、清水の仕事も自分の功績に入れたいと思っているのか、清水を牽制する。
だが、それがイコール慢心とはならない。
「それも上が決めることでしょうね。私としてはお願いしたいくらいですよ。薬袋さんも長澤さんも若くて優秀ですから。こうして、私自身を飛び越えていく人材が会社にいるのは頼もしいものです。」
「冗談ですよ。清水さんレベルの前線で活躍できる能力者はJSDにはいません。本件は文字通り世界の命運を分ける可能性が高いですからね。外すなんて以ての外だ」
清水は下からの突き上げにプレッシャーもあるが、同時に頼もしくも感じていた。
根本的に、こんな話をしても影響はないだろうと清水は考える。提案をしても良いが、結論を出すのは清水の上司たちだ。直属の上司も若い人物であるが、年齢に縛られずに清水は評価している。いずれ最適解にも辿り着くのではないかと睨んでいる。
薬袋の物言いに「ははは」と笑い、お返しとばかりに薬袋たちへもプレッシャーをかけた。
「君たちが請け負っている案件もなかなか大変と聞いていますよ。進捗のほどはどうですか?」
清水の質問に、薬袋の表情が露骨に苦々しいものになり、言葉を濁す。薬袋と長澤は優秀であるが、彼らが言い渋るのを見て予測がつく。
「こちらはこちらで、どうしたものかってところです。雲を掴む感じですかね」
薬袋や長澤が受け持つ案件も難儀しているらしい。ただ、それについては清水も心当たりはある。何せ、今回清水に回ってきたものも関連しなくはないと踏んでいるからだ。
「今まではそうだったかもしれないですけど、これから変わってくる可能性があります。対象の件がありますので、冗談ですらありません。薬袋さんの言葉を借りるなら、既に賽は投げられている。周りが一気に動き出す可能性が高いですから、資料を見直すなど、お2人も準備をしておいた方が良いですね」
「ええ、そうですね」
清水の助言に、薬袋の表情は真剣なものに変化している。会話内容自体は当たり障りのないものではあるが、それ故に危機意識の共有に関してはしやすいというものだ。
「私の方から竹内さんに、上層部が持っている資料の展開範囲をウチにも共有してほしいと伝えておきますよ。ここに来て段階が1つ上がったかと思いますし、現場で動く分、その方が良いでしょう」
「それは助かりますね。何なら、内容の更新も下に降りてくるとありがたいですね。対象が対象ですし、今一度、状況の見直しが急務なんじゃないですかね」
「それもそうですね。竹内さんに話しておきます」
清水の提案に対し、薬袋から提案で返ってくる。久保耀壱の性質を考えれば、それもそうかと清水は納得する。報告の場にも上がる可能性はあるが、予め理解しておいた方が見落としもなくなる。
「おっと、清水さんもお忙しいでしょうし、俺たちももう行きますね」
そんなやり取りに一段落ついたかというところで、薬袋はすぐに我に返るようににこやかに笑うと、清水との会話を打ち切ろうとする。会社員然とはしていない見た目だが、彼らも忙しい身であるのだ。
「ええ。お2人はこれから外回りで?」
清水も彼らの様子に乗って、今日の予定だけ訊ねておく。苦い顔をしていた薬袋の案件のことであろうが、今は表情が読み取れなくなっている。意識的に切り替えた結果なのだろう。
「はい。その案件ですよ」
「そうですか。では、また近いうちに話しましょう。積もる話もあるでしょうし、長澤さんもそのときはよろしくお願いします」
「了解です」
ひと通りの会話を終え、ふたりを後にする。
薬袋と長澤はこれから2人の持っている案件への対応とのことだった。タフな仕事だと先ほどの薬袋の表情から想像しつつ、清水は2人の安全を願う。
~小話~
福島 稜平 (ふくしま りょうへい)
結果の改変前から久保の友人だった人物。容姿、清潔感、周囲への気遣い等でモテる要素のある男子学生だが、理系学科で女子学生が少ないため彼女はいない。ただ、バイト先の女子高生から矢印が向いていることもあり、どうなるかは今後次第。性格は落ち着いているが、物事を何かと楽しもうと努力している。
改変後、久保と美南が付き合っている認識となっている。人間関係に対しては淡白な印象を受けるが、人の好さも現れているため、次第に人が集まってくるタイプ。性格や趣向が異なる久保と付き合いがあるのかは謎。




