第42話 新しい町、初めての市場――ユニ、買い物に挑戦!
王城を離れて、数時間。
一行はようやく次の町へたどり着いた。
大きな門をくぐった瞬間――
「わぁ……!」
ユニの目が輝いた。
道の両側には店が並び、色とりどりの果物、パン、魔法道具、服、アクセサリー。
人々の声が飛び交っている。
「こんなに人がいる!」
アオもユニの手を握った。
「お姉ちゃん、あれ何?」
「分からない!」
「じゃあ、あれは?」
「分からない!」
レオンが笑う。
「ユニ、異世界に来てから知らないものだらけだね」
「だって海の中には、こんなのないもの」
ロッタが町を見回す。
「まず宿を探そう」
カイルが地図を広げる。
「この町には宿屋が三軒あります」
マリが即座に言った。
「ユニ様が一番快適に過ごせる宿を探しましょう」
賢者も頷く。
「当然じゃ」
「二人とも、自分の宿代は自分で払ってよ」
カイルの一言に、
「……」
「……」
賢者とマリが同時に黙った。
お金がない!
宿屋に向かおうとしたところで、ユニが立ち止まった。
「ねえ、ロッタ」
「どうした?」
「私、お金持ってない」
「僕もあまりないよ」
レオンが財布を見る。
「僕も旅に必要な分しかない」
カイルも確認する。
「私も王城を出てきたので、自由に使えるお金は少ないです」
全員が賢者を見る。
賢者は胸を張った。
「ワシは大賢者じゃぞ」
「お金は?」
「……」
「師匠?」
「魔法ならある」
マリが頭を抱える。
「師匠……」
ユニ、働くことを決意
ユニは町を見回した。
そして――
「じゃあ、私、働く!」
「え?」
ロッタが驚く。
「前の宿屋みたいに?」
「うん!」
ユニは嬉しそうに笑った。
「働いたら、お金をもらえるんでしょう?」
「そうだけど……」
ユニは市場を見る。
「私、この町でいろんなことしてみたい!」
アオも手を上げる。
「僕も!」
「アオはまだ小さいから、無理しちゃダメ」
「じゃあ、お姉ちゃんを応援する!」
「うん!」
初めての市場
まずは市場で仕事を探すことにした。
すると、一軒の果物屋のおばさんがユニを見つけた。
「おや、旅の子かい?」
「はい!」
「仕事を探してるの?」
「はい!」
おばさんはユニを見て笑う。
「じゃあ、店番を手伝ってくれるかい?」
「やります!」
ユニはさっそく店先に立つ。
「いらっしゃいませ!」
しかし――
客が来ない。
ユニは首を傾げる。
「……誰も買わない」
おばさんが笑う。
「この町の人は、店員に慣れてるからね」
その時、小さな女の子がやってきた。
「りんご一個ください」
「はい!」
ユニがりんごを渡す。
女の子がユニを見る。
「お姉ちゃん、人魚みたい」
「え?」
ユニが固まる。
女の子は笑う。
「きれい」
「……ありがとう」
ユニは嬉しそうに笑った。
女の子は走っていく。
「お母さーん! 人魚みたいなお姉ちゃんがいる!」
その声が町中に響いた。
「人魚?」
「人魚だって?」
「この町に?」
人々が少しずつ集まってくる。
ユニは困惑する。
「え……?」
マリと賢者、即座に警戒
遠くから見ていたマリが立ち上がった。
「師匠」
「うむ」
「ユニ様が囲まれています」
「見れば分かる」
「助けますか?」
「当然じゃ」
二人が杖を握る。
カイルが慌てて止める。
「待ってください!」
「ユニ様に近づく者を排除します」
「ただ買い物に来た町の人ですよ!」
ロッタがため息をつく。
「この二人、王城から何も変わってない……」
そして、異変
その夜。
宿屋に泊まることができた一行。
ユニは窓から町を眺めていた。
「今日は楽しかった」
アオが隣で笑う。
「僕も!」
ロッタがベッドに座る。
「明日は何をする?」
「市場に行きたい!」
レオンも頷く。
「僕も町の魔法道具を見てみたい」
その時――
ユニの足元に、
ぽたり。
水滴が落ちた。
「……?」
もう一滴。
ぽたり。
ユニが足を見る。
「また……?」
足元に、小さな水たまりができている。
そして窓の外から――
聞こえるはずのない波の音。
ザァ……。
ザァ……。
ユニの表情が変わる。
「海……?」
ロッタが立ち上がる。
「ここは海からかなり離れてるよ」
レオンが魔力を感じ取る。
「違う」
「海が近づいてるんじゃない」
レオンがユニを見る。
「ユニの方に、海の世界が近づいてきてる」
ユニの足元に青い光が広がった。
そして――
時計の針が、
8時8分
を指した。
「……また始まる」
賢者が呟く。
「8時間8分が――」
新しい町での旅は、始まったばかりだった。




