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第41話 王城を出て、初めての朝

王城から遠く離れた森。

長い夜が明け、空が少しずつ明るくなっていた。

ユニは木の下で目を覚ました。

「……朝?」

隣を見る。

ロッタがまだ眠っている。

その少し離れたところでは、レオンも毛布にくるまっていた。

そして――

「ユニ様……」

「ユニ様ぁ……」

マリと賢者は、なぜかユニの寝ていた場所のすぐ近くで正座している。

「……何してるの?」

「見張りです」

マリが即答した。

「ユニ様がお休みになっている間、何者かが近づかないように……」

賢者も頷く。

「ワシらが交代で守っておった」

「交代って……」

ユニが周囲を見る。

二人とも目の下にクマがある。

「寝てないの?」

「ユニ様を守ることに比べれば、睡眠など些細なことです」

「いや、寝て!」

アオの朝

「お姉ちゃん……」

小さな声がした。

ユニが振り向く。

アオが毛布から顔を出していた。

「アオ、おはよう」

「おはよう……」

アオはまだ眠そうに目をこする。

ユニが笑う。

「よく眠れた?」

「うん」

「お腹空いてない?」

「ちょっと」

その瞬間――

マリが立ち上がった。

「お任せください!」

「何を?」

「ユニ様の弟君のお食事を!」

賢者も立ち上がる。

「ワシも手伝おう」

「師匠、料理できます?」

「……」

「できます?」

「……パンを温めるくらいなら」

「それ料理じゃないですよ」

ロッタの朝ごはん

ロッタが起きてくる。

「おはよう」

「ロッタ、おはよう」

アオがロッタを見る。

「お兄ちゃん?」

「え?」

ロッタが固まった。

ユニも驚く。

「アオ、ロッタはお兄ちゃんじゃないよ」

「でも昨日からずっと僕のこと見てた」

「……」

ロッタが照れながら頭をかく。

「放っておけなかっただけだよ」

アオが笑う。

「じゃあ、お兄ちゃんでいい?」

ロッタは少し考えて――

「……うん」

ユニが微笑む。

「なんだか兄弟が増えたみたい」

レオンが朝食を食べながら呟いた。

「僕は?」

ユニが振り返る。

「レオンは?」

「僕も兄でいいよ」

「じゃあ、みんなお兄ちゃん?」

「それは多すぎない?」

四人で笑った。

新しい旅へ

朝食を終えると、一行は再び歩き始めた。

目指すのは、王城から離れた小さな町。

「次の町までどれくらい?」

ユニが聞く。

カイルが地図を見る。

「歩いて半日ほどです」

「半日!」

ユニは目を輝かせた。

「どんな町かな?」

ロッタが笑う。

「楽しみだね」

レオンも地図を覗く。

「宿屋もあるみたい」

「宿屋!」

ユニは嬉しそうだ。

以前働いた宿屋を思い出す。

「またお仕事できるかな?」

「ユニ様が働く必要はありません!」

マリが即座に叫ぶ。

「旅費は私が――」

賢者が割り込む。

「いや、ワシが払う!」

カイルも、

「騎士として私が――」

ロッタが呆れる。

「ユニ一人の旅費で、三人とも張り合わないでよ」

その時――

ユニが突然立ち止まった。

「……あれ?」

「どうした?」

ユニは自分の足を見る。

「なんだか……変」

ロッタが覗き込む。

「痛い?」

「違う」

ユニは首を傾げる。

「足が……冷たい」

「冷たい?」

ユニが靴を脱ぐ。

「え?」

足元に――

小さな水滴が落ちている。

「水……?」

レオンが魔力を感じ取る。

「これは魔法じゃない」

賢者の顔が変わる。

「……海の魔力じゃ」

「海?」

ユニの足元に、青い光が広がっていく。

アオが突然叫んだ。

「お姉ちゃん!」

「どうしたの?」

「海の匂いがする!」

ユニも気づいた。

「……本当だ」

遠くには海などない。

それなのに――

潮の香りがする。

波の音まで聞こえてくる。

「どうして……?」

その瞬間。

ユニのポシェットの中から、貝殻が光った。

『ユニ……』

「誰?」

聞こえてきた声は――

アオでもない。

お母さんでもない。

もっと遠い場所から響いている。

『海へ……』

『帰ってきて……』

ユニが貝殻を握る。

「誰なの?」

返事はなかった。

ただ一言。

『8時間8分が始まるよ』

青い光がユニの足を包み込む。

「え……?」

ロッタが叫ぶ。

「ユニ!」

ユニの足元から――

ゆっくりと、

尾びれの光が現れ始めた。

マリが大慌てで杖を取り出す。

「ユニ様のお着替えを!」

「そこ!?」

賢者も叫ぶ。

「ついに始まったか!」

レオンが時計を見る。

「時間を測る!」

カイルは周囲を警戒する。

「誰か来ます!」

新しい旅が始まったばかりなのに――

またしてもユニの秘密が、

一行を追いかけてきた。

そしてユニは――

「……今度は、何時間で戻るの?」

誰も答えられなかった。

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