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第40話 8時間8分の秘密――二人の魂が選ぶ未来

王城地下。

巨大な時計が、空中に浮かんでいた。

針は――

8時8分。

ユニと、もう一人の少女。

二人の間を青い光がつないでいる。

「私と一つになるか……」

少女がユニを見る。

「それとも、私をもう一度封印するか」

ユニは首を横に振った。

「どっちもしない」

少女が驚く。

「……どうして?」

「だって、あなたは私でしょう?」

ユニは胸に手を当てる。

「あなたを消したら、私の中の何かも消える気がする」

「だから、私はあなたを消さない」

「あなたも、私を消さないで」

少女はしばらく黙っていた。

そして小さく笑った。

「……変わらないのね」

賢者が語る真実

賢者がゆっくり前へ出る。

「ようやく話せる時が来たか」

マリが振り返る。

「師匠、知っていたんですか?」

「全部ではない」

賢者は首を振る。

「じゃが、8時間8分という時間が、ただの変身時間ではないことは分かっておった」

ユニが聞く。

「じゃあ、どういう意味なの?」

「8時間8分」

賢者は時計を見る。

「これは、前世のお主が境界を閉じるために設定した時間じゃ」

レオンが驚く。

「境界を閉じるため?」

「そうじゃ」

「人魚の世界と、この世界」

「二つの世界をつなぐ扉を、一時的に開く」

ロッタが気づく。

「だからユニは、この世界に来た時に足が生えた」

「その通りじゃ」

ユニが自分の足を見る。

「じゃあ、尾びれに戻るのは……」

「時間切れの合図じゃ」

8時間8分の本当の意味

レオンが魔法陣を調べる。

「でも、それだけじゃない」

「何?」

「この魔法陣……時間を測ってるだけじゃない」

レオンは魔法陣の文字を読む。

「魂の状態も測定してる」

ユニが驚く。

「魂?」

「ユニが誰なのか」

「この世界にいるべきなのか」

「それを8時間8分かけて判断している」

賢者が頷く。

「そして最後に選ばれる」

「人魚として海へ戻るか」

「この世界に残るか」

ユニは黙り込む。

ロッタの異変

その時。

ロッタが胸を押さえた。

「……うっ」

「ロッタ?」

ユニが駆け寄る。

ロッタの髪が――

黒から銀へ変わっていく。

「また……」

賢者が目を見開く。

「これは……」

レオンも魔力を感じ取る。

「ロッタの魔力が、ユニの魔力と反応してる」

銀色の光が二人を包む。

ロッタは苦しそうに目を閉じる。

「また、何か思い出しそうだ……」

そして――

前世の光景が浮かぶ。

海辺に立つ三人。

ユニ。

ロッタ。

レオン。

そしてもう一人。

四人は、何かを守っていた。

マリ、感動しすぎる

その光景を見たマリ。

「……素晴らしい」

「何が?」

ユニが振り返る。

マリは涙を流していた。

「ユニ様の前世まで尊い……」

「そこ!?」

マリは拳を握る。

「師匠!」

「なんじゃ」

「私、決めました」

「何を?」

「この旅が終わるまで、ユニ様の全人生を記録します」

「ワシもじゃ」

「師匠まで!?」

賢者が真剣な顔で頷く。

「研究対象として非常に貴重じゃ」

ユニが困った顔をする。

「研究対象……」

マリがすかさず言う。

「もちろん、愛すべき研究対象です!」

「もっと困るよ!」

カイルの決意

その様子を見ていたカイルは、静かに剣を納めた。

「私は……王城を出ます」

全員が振り返る。

「カイル?」

「この場所には、私の知らない秘密が多すぎる」

「それに――」

ユニを見る。

「あなたたちが危険にさらされるのを見ているだけというのは、騎士としてできません」

マリがニヤリとする。

「つまり?」

「……同行します」

賢者が笑う。

「また一人、ユニちゃんの護衛が増えたのう」

「護衛というより、仲間です」

ロッタが笑う。

「それなら歓迎するよ」

レオンも頷く。

「うん」

黒の賢者の最後の言葉

その時、ヴァルガスが静かに言った。

「だが、一つだけ覚えておけ」

ユニが振り返る。

「何?」

「8時間8分が終わった時――」

ヴァルガスは時計を見る。

「必ず一つの世界が選ばれる」

「そして選ばれなかった世界は――」

そこで言葉を止める。

賢者が叫ぶ。

「ヴァルガス!」

しかし、ヴァルガスは答えない。

代わりに、時計の針が動いた。

8時8分から――

8時9分へ。

ユニは時計を見つめる。

「……時間が動き始めた」

女性がユニの隣に立つ。

「そう」

「ここからが、本当の8時間8分」

ユニは彼女を見る。

「一緒に行こう」

「どこへ?」

「私たちがまだ知らない未来へ」

女性は少し驚いて――

「……うん」

初めて、ユニの手を握った。

その瞬間。

王城地下に響き渡っていた魔法陣が、静かに消えた。

そして遠くのどこかで――

誰かが目を覚ました。

「……やっと、始まった」

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