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第4話 「ロッタ、絶対にユニと行って!」

翌朝。

まだ空が薄暗い時間。

孤児院では、いつもより早く子どもたちが起きていた。

理由は一つ。

――ユニを、この街から逃がすためだ。

王城から出された捜索依頼は、街中に広がっていた。

「青い髪の少女を探せ」

「見つけたら知らせろ」

兵士たちも増えている。

このまま街にいれば、いつユニが見つかるか分からない。

「一年くらい経てば、王城も落ち着くかもしれない」

年長の子が地図を広げた。

「だから、一度街を出よう」

「一年後に戻ってくればいい」

ユニは頷いた。

「うん。私もそうしたい」

すると――。

「じゃあ、ロッタ」

「ん?」

ロッタが顔を上げる。

「ユニと一緒に行ってね」

「……え?」

「絶対だよ」

「いや、僕は孤児院に残って――」

「ダメ」

即答だった。

「え?」

別の子も言う。

「ロッタは絶対ユニについていくの」

「なんで?」

「絶対」

「いや、だから理由を――」

「絶対!」

「…………」

ロッタは困り果てた。

「僕が行かなきゃいけない理由って何?」

子どもたちは顔を見合わせる。

しかし――。

誰も答えない。

「……?」

ロッタが不思議そうに見る。

一番小さな子が、ぽつりと言った。

「……今は言えない」

「え?」

「でも、ロッタはユニと一緒に行かなきゃいけないの」

「どうして?」

「それも……まだ言えない」

ロッタはますます困惑した。

「みんな、何か隠してない?」

「隠してる!」

「認めるんだ!?」

孤児院中に笑い声が起こる。

けれど、子どもたちの目は真剣だった。

「ロッタ」

年長の子がロッタの肩を掴む。

「絶対にユニから離れないで」

「……分かった」

「絶対だよ」

「うん」

「何があっても」

「……何があるの?」

「それは――」

その子は口を閉じた。

「まだ秘密」

「また秘密!?」

ロッタは頭を抱えた。

その横で、ユニは首を傾げている。

「なんでロッタは、そんなに念を押されてるの?」

「僕にも分からない……」

「変なの」

ユニは笑った。

そして旅の準備を始める。

食料。

水。

毛布。

着替え。

そして、ユニの青い靴。

ロッタも自分の荷物をまとめる。

「じゃあ、行こう」

孤児院の子どもたちが玄関まで見送りに来る。

「ユニ!」

「なに?」

「絶対帰ってきてね!」

「うん!」

「一年後だよ!」

「約束!」

そして――。

「ロッタ!」

「はい!」

「ユニと一緒に行くんだよ!」

「分かってるって!」

「絶対だからね!」

「分かった!」

「何があっても!」

「分かったってば!」

ユニは思わず笑った。

「ロッタ、大人気だね」

「……僕、なんだか嫌な予感がする」

二人は街の出口へ歩き出した。

ロッタは一度だけ振り返る。

孤児院のみんなが、いつまでも手を振っている。

「……」

なぜだろう。

その顔を見ていると、胸の奥が少しだけざわついた。

まるで――。

「行かなければならない」

と、誰かに背中を押されているような感覚。

けれど、その理由を知る者はまだ誰もいない。

ユニも。

ロッタも。

そして、孤児院の子どもたちも。

ただ一つだけ、みんなが強く願っていた。

ロッタは絶対に、ユニと一緒に行くこと。

その本当の理由が明らかになるのは――

もう少し先。

二人はまだ知らない。

この旅が、ユニだけではなく――

ロッタ自身の秘密を探す旅にもなることを。

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