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第31話 「三つ揃った」――謎の男が動き出す

町の外。

誰もいない丘の上に、一人の男が立っていた。

黒いローブ。

顔は深くフードで隠れている。

男の手には、古びた水晶玉。

そこに映っているのは――

ユニ。

そして、

ロッタ。

レオン。

「……三つ揃った」

男は小さく笑った。

「青の鍵」

「銀の守り手」

「そして――」

水晶玉の中のレオンを見つめる。

「最後の器」

その瞬間、水晶玉が大きく揺れた。

「……やはり」

男は嬉しそうに呟く。

「始まるぞ」

一方、その頃

宿屋では――。

「……なんか嫌な感じがする」

ロッタが窓の外を見る。

「どうしたの?」

ユニが聞く。

「分からない」

ロッタは胸元のペンダントを握った。

「誰かに見られてるような……」

レオンも顔を上げた。

「僕も感じる」

「え?」

「遠くから魔力を感じる」

賢者が立ち上がる。

「どんな魔力じゃ?」

レオンは目を閉じる。

「……分からない」

「お主でも?」

「うん」

レオンは珍しく険しい顔をした。

「でも――」

「僕たちを知ってる」

そのとき。

宿屋の扉が、

コン、コン。

と鳴った。

「はい?」

店のおばさんが扉を開ける。

そこには――

誰もいない。

ただ、床に小さな箱が置かれていた。

「何だろう?」

おばさんが拾おうとする。

「待て!」

賢者が叫ぶ。

「触るな!」

杖を向ける。

「これは魔法具じゃ」

レオンが近づく。

「かなり古い」

箱には三つの紋章。

青い波。

銀の月。

そして――

金色の目。

「……」

ユニが息を呑む。

「この青い波……私のブレスレットと同じ」

ロッタも驚く。

「銀の月は僕のペンダント……」

レオンが最後の紋章を見る。

「じゃあ、この目は……」

「お主じゃろうな」

賢者が答える。

「僕?」

「おそらくな」

レオンが箱に触れようとする。

「待って!」

ユニが止める。

「危ないかも」

「……うん」

レオンは手を引っ込める。

その瞬間――

箱が勝手に開いた。

カチッ。

中に入っていたのは――

一枚の古い紙。

そこには短い言葉だけが書かれていた。

『八時間八分後、境界は開く』

「……!」

ユニの顔が青ざめる。

「8時間8分……」

賢者が紙を握りしめる。

「これは偶然ではない」

マリが震える。

「じゃあ、誰かがユニ様を……」

「そうじゃ」

賢者は頷く。

「呼んだんじゃ」

その夜

ユニは一人、宿屋の部屋でポシェットを開いた。

「……海」

中から波の音が聞こえる。

懐かしい。

「みんな、元気かな……」

すると――

一枚の貝殻が青く光った。

「え?」

貝殻から声がする。

『ユニ……』

「魔法使いさん?」

『今から言うことを……絶対に忘れるな』

「うん」

『8時間8分というのは――』

声が震える。

『お前が陸にいられる時間じゃない』

「……!」

『正確には――』

そこで突然、声が遠くなる。

『境界が――』

「魔法使いさん!?」

『ユニ、お前は――』

ブツッ!

また切れた。

「……」

ユニは貝殻を握りしめる。

「一体、私は……」

その瞬間。

窓の外から――

カチッ。

小さな音。

ユニが振り返る。

窓の外。

誰かの影が――

一瞬だけ見えた。

「……誰?」

影は消えた。

ユニは慌てて窓を開ける。

誰もいない。

ただ、窓辺に――

小さな銀色の羽根が落ちていた。

翌朝。

ロッタがその羽根を見つけた。

「……これ」

レオンが触れる。

「魔力が残ってる」

賢者の顔色が変わった。

「これは……」

「知ってるの?」

「知っておる」

賢者は羽根を握りしめる。

「王城の禁魔法騎士が使う魔具じゃ」

ユニが振り返る。

「王城が来たの?」

「いや」

賢者は首を振った。

「これはもっと厄介じゃ」

「どういうこと?」

賢者は険しい顔で言った。

「王城ですら追っている存在を――」

「誰かが先に見つけた」

一行の旅は、ついに「追われる旅」へと変わり始めていた。

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