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第26話 銀の髪、覚醒――「ユニに触れるな」


森の中。

ロッタの髪が、一本、また一本と銀色に変わっていく。

「ロッタ……?」

ユニが心配そうに近づく。

「ユニ、下がって!」

レオンが叫んだ。

「今のロッタは――」

「大丈夫!」

ユニは首を振った。

「ロッタだから」

その言葉に、ロッタの表情が一瞬だけ揺れた。

「……ユニ?」

いつもの声。

だが次の瞬間――。

「――っ!」

ロッタが頭を押さえる。

「誰だ……この声……」

頭の中に、知らない声が響く。

――守れ。

――逃がすな。

――銀の力を目覚めさせろ。

「うるさい……!」

ロッタが叫ぶ。

すると――。

ドンッ!!

強烈な魔力が爆発した。

黒い服の男たちが一斉に吹き飛ばされる。

「うわぁぁぁ!」

「何だ、この力は!」

木々が大きく揺れる。

賢者は興奮しながら杖を握りしめた。

「なんという魔力……!」

マリも目を輝かせる。

「先生! これは――!」

「間違いない!」

賢者が叫ぶ。

「途絶えたと思われていた銀の一族じゃ!」

レオンはロッタを見つめる。

「……人間の魔力量じゃない」

「レオン?」

「ユニと同じだ」

ユニの魔力とは違う。

けれど――。

どこか同じ「異質さ」を持っている。

黒い男が立ち上がった。

「まだだ!」

「!」

男がロッタへ向かって魔法を放つ。

巨大な炎。

しかし――。

ロッタが片手を上げた。

パァン!

炎が消えた。

「……え?」

男が呆然とする。

ロッタは静かに言った。

「帰れ」

「な……」

「二度と僕たちの前に現れるな」

男は剣を握り直す。

「ふざけるな!」

突進。

ロッタは動かない。

そして――。

「邪魔」

ドンッ!!

見えない衝撃波。

男は数十メートル吹き飛び、木に激突した。

「全員、無力化した」

レオンが呟く。

賢者は震えていた。

「まだ子供じゃというのに……」

ロッタの髪は完全に銀色になっていた。

瞳も、いつもの優しい色ではない。

「ロッタ……」

ユニがそっと近づく。

「戻ってきて」

「……」

ロッタはユニを見る。

「……ユニ」

その瞬間。

銀色の瞳が、ゆっくり元に戻った。

髪も少しずつ黒へ戻っていく。

「……僕、何を……?」

ユニが抱きつく。

「ロッタ!」

「うわっ……」

「怖かったよ!」

「ごめん……」

ロッタは困ったように笑う。

「でも、ユニが無事ならよかった」

その光景を見た賢者は――。

「……」

マリも――。

「……」

レオンも――。

三人とも言葉を失っていた。

やがて賢者が静かに口を開く。

「銀の一族が、なぜ今になって……」

そして倒れた男たちを見る。

「しかも、こやつらはロッタの正体を知っていた」

レオンが拾ったペンダントを見つめる。

「このペンダントが鍵なのかもしれない」

「……」

ロッタは胸元を見る。

「僕の家族が残した、唯一のもの……」

ユニが隣に立つ。

「じゃあ――」

「うん」

ロッタはペンダントを握る。

「僕も知りたい」

自分は何者なのか。

なぜ家族は自分を孤児院の前に置いたのか。

そして――

なぜ今、銀の一族を狙う者たちが現れたのか。

旅の目的が、また一つ増えた。

しかし――。

誰も気づいていなかった。

倒れていた男の一人が、意識を取り戻し――

小さく笑っていたことに。

「……見つけた」

「銀の少年を……」

そしてその手には、

王城の紋章が刻まれていた。

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