第21話 町のお祭りと、初めての「友達」
町に到着したユニとロッタ。
二人が通りを歩いていると、どこからか楽しそうな音楽が聞こえてきた。
「ロッタ、あの音は何?」
「お祭りじゃないかな?」
「お祭り!」
ユニの目が輝く。
海の中にも魚たちが集まることはあった。
でも――。
人間の町のお祭りは、ユニにとって初めて。
「行ってみたい!」
「じゃあ、行こう」
広場には、色とりどりの屋台が並んでいた。
空には魔法で作られた光の玉。
子どもたちは走り回り、大人たちは笑っている。
「すごい……」
ユニは立ち止まった。
「こんなにたくさんの人が、一緒に笑ってる……」
ロッタはそんなユニを見て微笑んだ。
「楽しい?」
「うん!」
ユニは走り出す。
「ロッタ、あれ何?」
「お菓子」
「あっちは?」
「魔法の風船」
「これは?」
「……分からない」
「じゃあ見に行こう!」
ロッタは笑いながらユニについていった。
すると、一軒の屋台でユニが足を止める。
「これ……綺麗」
そこには小さなガラス細工が並んでいた。
魚。
貝殻。
イルカ。
そして――人魚。
「人魚だ……」
ユニが嬉しそうに手に取る。
店のおばさんが笑った。
「お嬢ちゃん、人魚が好きなのかい?」
「はい!」
「じゃあ、これあげるよ」
「え?」
「お祭りだからね」
小さな人魚のガラス細工を渡された。
「ありがとう!」
ユニは大切そうに胸に抱える。
そのとき――。
「ユニ」
ロッタが小さく笑う。
「それ、ユニみたいだね」
「私?」
「うん」
ユニは人形をじっと見る。
「……嬉しい」
その夜。
二人は祭りの明かりを眺めながら、町外れのベンチに座っていた。
「ねえ、ロッタ」
「ん?」
「私、陸に来てよかったかもしれない」
「どうして?」
「海しか知らなかった私が、知らないものをいっぱい見られたから」
ユニはガラスの人魚を握る。
「それに――」
ロッタを見る。
「ロッタにも会えた」
「……」
ロッタは少し照れた。
「僕も、ユニに会えてよかったよ」
「友達?」
「うん。友達」
ユニは嬉しそうに笑った。
「初めての友達!」
しかし――。
町の入口では。
「いたぞ!」
「ユニ様だ!」
「人魚様ーーー!」
王城の騎士たちがユニを探していた。
そして、そのさらに後ろ。
「ユニちゃーーーん!」
「人魚様ーーー!」
賢者とマリ。
さらにその後ろにはレオン。
「……三人とも、うるさい」
レオンはため息をつく。
だが――。
町の明かりを見つめながら、レオンはふと思った。
「……お祭り、か」
今までなら興味も持たなかった。
けれど今日は――。
「少しだけ、見てみたいな」
レオン自身も、まだ気づいていなかった。
ユニとの出会いによって、彼の閉じていた世界も少しずつ動き始めていることに。
そして翌朝――。
町を出ようとしたユニたちの前に、
見覚えのある三人がついに現れる。
「ユニちゃーーーん!」
「人魚様ーーー!」
「……やっと見つけた」
レオンが初めてユニを目にする瞬間が、やってくる。




